アテナは、人間を辞めてるぞ!
今の季節は秋である。
秋といえば食欲の秋、芸術の秋。そして、スポーツの秋だ。
私は体育館でクラスメイトと特訓をしていた。というのも、球技大会があり、それに出る種目が決まったので私たち六人は特訓している。
私が出るのはバレー。男女混合可能で、私はバレーに出ることにした。三日月もバレーだ。
目の前はバレー部。バレー部に頼み相手してもらうことにした。
「アテナさん! あがった!」
と、クラスメイトの男子、安城 安吾くんがトスを上げる。
私は大きく飛び、そして思い切りアタック。バレー部員一人の腕に当たり、バレー部員が吹っ飛んでいく。
「すげーパワフル…」
ふっ、全力の力を込めたからな。
私は吹っ飛んでいったバレー部員に近寄る。
「ダイジョブ?」
「強いね…。いっつー…。ちょっとタイム」
といって冷却スプレーをかけていた。
だがしかし、赤くなった肌はまだ痛いらしく、保健室に行くといって抜けていく。私はなんとなく罪悪感を感じたのでぺこりと相手に向かって謝ると相手は怯えてるような表情をした。
「…私ってバレー向いてない?」
「殺人バレー…。いや、ゴリゴリの力技…」
「どこにそんな力が…」
まあ、スナップを聞かせて思い切りぶっ叩いただけなんだけど。
みんなが言うにはスポーツに関しては私は人間を辞めてるという。それはそれで心外なんだよな。私は人間だっての。
「アテナさん、このバレーボールあそこのゴールに入れれる?」
と、クラスの男子が指さしたのは遠くにあるバスケゴール。
少々遠いが…。
「やってみる」
私は思い切りぶん投げると、バレーコートの対角線上にあるバスケゴールのリングに当たり跳ね、そのままゴールに入る。
おお、入るもんだな。
「あれはいるかふつー…」
「ほんと人間やめてるわ」
「いやいやいや! 今のはまぐれだって!」
そうあそこに入るのはほとんど偶然みたいなもんだ。適当な力加減でぶん投げただけなので多少は狙いをつけたが絶対入るとは限らんしな。
そう弁明するともう一つバレーボールを手渡される。
「もっかいやってみて?」
「はいはい。まぐれだからねさっきのは」
私はまた思い切りボールをぶん投げる。
今度はリングをすんなり通っていく。バレーボールが再び地面に落ちた。
「……」
みんなの視線がこっちに向く。
「ば、バレーボールは軽いからね。バスケボールならそうもいかないよ。たぶん」
「ここにバスケボールがあります」
「…やれって?」
みんなが頷いたので私はバスケボールを一つ手に取る。
やっぱりバレーボールよりは重い。トラベリングはダメだから二歩まで歩いていいと。私は思い切りぶん投げるとリングにそのままボールが入った。
ええ?! なんで入るの!? わりとマジで適当に投げたんだけど!?
「……」
おい、こっちみんなよ。
「頼む、バレー以外にしてくれない? うちのクラスの大半が死にそう…」
「そうだな。話してみるよ」
「私が悪いの? これ私のせい?」
ちょっと心外です。




