神獣様が住む国は
王城へ戻らされると今度は私に部屋まで与えてくれた。
「大変失礼いたしました。まだ名乗っておりませんでしたね。私は第一王子のアレクと申します。以後お見知りおきを」
「私はエリザベート。第一王子の婚約者であり、ハードル公爵家の娘でございます。失礼でなければあなたの名前を教えてはもらえないでしょうか」
「あ、ミーミルっす」
なんなんだこの人たち。
早く帰って依頼とか来てたらやりたいんだけど。
「あの、なんで私がこんな部屋に? すごく綺麗でなんでこの部屋に?」
「神獣様をテイムしたのならば扱いをよくしないとなりませんから。神獣がいる国は栄える証。この国を去ってしまったら我が国も…」
「あなたにはお願いがあります! ぜひこの国に居続けてはくれないでしょうか!」
「いや、まー、たまに遠出するくらいだしこの国から出ていってもこの国に拠点あるから戻るんだけどさ…」
なるほど、神獣がいる国は栄えていると。
私が他国へ渡るならジキルタイガーもついてくるだろうという考えだろうな。たぶんハイドはあそこからしばらくは離れないんじゃないだろうか。
あそこにいても召還はできるしな。
「ならよいのです…。すいません、神獣様をテイムした人がいるなんて初めてでどう対処していいのかわからないので…」
「いいよ。じゃ、帰るから私」
「馬車で住む街にお送りいたしましょうか?」
「ハイドの方が早いからいいよ」
私が王子たちを連れて外に出ると、ひひーんと馬のなく声が聞こえる。馬はこちらに近づいてきたのだった。
でかい馬だ。私は構えると馬は私の前で止まりほおずりしてくる。私は顔を撫でてやる。
「なに、私をはねたこと根に持ってんのか? 気にするなよ。私は強いから」
「ヒヒン!」
「背中に乗れ? うーん、少しだけな」
と、馬が乗れるようにしゃがむ。
私は馬にまたがると馬が立ち上がった。おー、馬の上から眺める景色はとても最高だな。私は首のあたりを撫でる。
「す、すいやせん王子様! 繋いでいた二匹がどこかに…って、ええ!? 私でも苦労する暴れ馬に…」
「ちょっくら走ってきますね」
手綱を握りしめ、馬を走らせる。
イギリスでおじいちゃん家でよく乗ってたなぁ。じいちゃん競馬も好きでよく見に行くし乗るのも好きだったな。私もそれを見て憧れるようになって、こっち来るぎりぎりくらいまでよく乗ってたもんよ。懐かしいなぁ。
馬は王都の中を駆けていく。門のあたりまで来ると私は引き返すことにした。
また来た道を戻り王城の前に停まる。馬は少しの走りでも満足したらしく嬉しそうに鳴きながら私を下ろした。
「それじゃ、また来るかもしれないんで!」
私はそう言って門のところに向かう。
今日の目的はナイフだけだったからな。いいナイフが手に入ってよかった。ビジュアル的にもかっこいいしこれからはナイフの練習をしよう。
ナイフと言えば投げナイフもしてみたいな。
時が止まった中でナイフで囲む…。どこのDI〇さまだ。
武器は使ったことないがナイフくらいなら私でも行けるはず!
私はそう思いながらもハイドを呼び出し、ハイドにまたがって始まりの街へ戻るのだった。




