帰って母親と言い合って
気が付くと夕方になっていた。
日が沈み、次第に暗くなっていく。今日はもう解散することにした。
「……」
デートというからには家まで送っていってほしいんだが…。
日本人はその場で解散することが多いって聞いたしな。送ってくれることはないだろうな…なんて思ったので、バイバイといって帰り道を歩く。
と、隣を木戸くんが歩いてきた。
「そ、その、送るぞ」
「…ありがとね!」
わかってるぅ。
私は木戸くんと帰り道を歩いた。
「今日は楽しかった。ありがとな」
「こっちも楽しかったよ。途中ちょっと邪魔が入ったけどね」
「ま、同じ街に住むんだからこういう偶然もあるだろうな。一応アイツもバスケ部員だし来ない理由はないからな」
たまたまかぶっただけなんだろうな。
バスケ部、あんな子が入部したんだから強くはなっただろうな。男子バスケ部は今年は全国に行けるぐらいには力をつけていると聞く。
なにせ中学からやっていた子が多いと聞いた。あの強豪、柄久多中から来た子が多いしな。
「バスケ今年めっちゃ強いでしょ」
「女バスも本場から来たサラブレッドもいれば強豪から来た子もいるしな。全国は狙えないわけじゃない」
「もしかしたら全校で応援に行くっていうのもあるかもねー。待ってるよ楽しみに」
「…ああ」
木戸くんがバスケするところはそれほど見たことがないから楽しみだな。
バスケは結構熱が入る。もちろん好きなスポーツは一番はフットボールで二番がベースボールなんだけどさ。
「…アテナさんは部活とか入ってないよな」
「まあ早く帰ってゲームとかやりたかったし部活やってる暇ないからいいかなーって」
「そうか。アテナさんの運動神経があれば運動部ならどこでも欲しがると思うが」
「見学はしたけどどれもピンとこなかった」
やってみたはいいけど満足できなかったから入らなかったのが一番かな。女バスも一応いってはみたけどあまり興味がわかなかった。
「あ、私こっちだからここらへんでいいよ。またねー」
「あ、おう」
私は家まで走って帰っていく。
玄関を開けると、靴が二つあった。一つは父さんのもので、もう一つは女性用…ということは母さんだろうな。
私はただいまといってリビングに行くと、母さんがビールを飲んで父さんと喧嘩していた。
「たまにはアテナのことも考えてやろうといってるんだ」
「ううさい私は忙しいのぉ! アテナもそりゃかわいいけど仕事が忙しいのぉ」
「忙しいからと言ってアテナをほったらかししてもいけないだろう! 私だって忙しいが最近は部下にも任せて帰ってきてるんだ。それくらいできないのか?」
「うう…。だって部下も上司も案件を私に放り投げてくるんだもん…」
私のことで喧嘩してるようだ。くだらねえ。
「アテナは俺とお前のことが嫌いになっている。それはわかるのか?」
「…えっ」
どうやら思ってなかったようだ。
「親は放り投げてはいけないんだよ。だから少しは帰ってくるようにしろ。な?」
「そうする」
「アテナが嫌いと言うと素直に言うこと聞くな…」
「そりゃ父さんも同じでしょ…」
私がそう言うと二人がこちらを向く。
「いつの間に帰ってきてたんだ!?」
「いや、さっきただいまつったし…」
すると、母さんが立ち上がる。
母さんは40なんだけどめっちゃ綺麗で。もともとはモデルをしていただけあるな。なんて思っていると母さんは私に縋りついてきた。
「私の事嫌いになってないよねぇ!? 嫌い…?」
「普通に嫌い」
「そんなっ…」
「そりゃこっちに来るまで可愛がってくれてたのに日本に来たらほったらかしとか嫌いになるっての。父さんは父さんで思春期がーとか勘違いして避けてたみたいだけど」
「うっ」
「それじゃ、私ゲームするから」
そういって母親を振りほどき二階へ上がっていく。
やりすぎたか? でもこうでも突き放さないとな。ま、なんでもいいか。




