木戸くんとデート ②
『』で閉じられてるのは英語で話してるということで…
スポーツ店につき、エスカレーターをのぼっていた。
エスカレーターを昇り切ると何やら金髪の女の子とすれ違う。すれ違うだけならまだしも…。
『木戸ッ!?』
「うわぁ…」
と、いきなり木戸くんを見るや抱きついたのだった。
木戸くんは戸惑っており、私と彼女をちらちら見る。知り合いなのか?
『ここでも会えるなんて偶然ね! 運命かしら?』
と英語でまくし立てているので木戸くんには伝わっていない。外国人…。アメリカか? アメリカ人は自由だからな…。
私はじーっと見ていると木戸くんが慌てだす。
「こ、この子は新たに女バスに入った子だ。英語しか喋れなくてな」
「なるほど、だから前英語教えてほしいと」
「それもあるが…」
ちらっとこちらを見てくる。
助けてくれということか。
『はいはい、木戸くんが困ってるから離れようか』
私は英語で喋り、引きはがす。
力任せに引きはがすとその女の子は私を睨んでくる。
『なにすんの? 邪魔しないで』
『迷惑してるから離れてねー。ここ日本だからむやみに抱きつかないの』
『好きな人に好意を現すのはどこでだっていいでしょう?』
ほう、好きなのか。木戸くんを。
『人目があるんだから少し憚りなさいよ。とりあえず今日は私と買い物してるんだから邪魔しないで』
「二人とも英語で俺何言ってるかわからねー…」
「俺もだよ…」
なんか一人増えてる。
木戸くんの隣にまた苦労してそうな男の子が立っていた。二人はさっぱりという顔をしている。
『二人…付き合ってんの?』
『いや? そういうわけじゃないけど誘われたんだよ。だから買い物に付き合ってんの』
『お前みたいなのが買い物に…? 身の程を知りなさい』
『いや、可愛さで言うと私のほうが断然上だし』
そういうと、相手が怒り始めた。
『勝負よ! バスケで勝負しなさい!』
『ええ…』
私は無理やり腕を引っ張られ近くの公園にあるバスケコートに連れていかれたのだった。
私は髪をまとめあげる。
目の前にはボールを手に持った木戸くんと私と睨みあう外国人女性がいる。彼女は多分アメリカ出身だろう。英語にだって訛りがあるしイギリスでは地方によって訛りが違う。その訛りがあるわけじゃなく、アメリカ英語を使っている。
ということはアメリカ人かそこらだろうな。
アメリカ人だとするとバスケが強そうだな…。
「じゃ、はじめ!」
ボールが天高く投げられた。
私はジャンプする。目の前の女の子も飛び上がり、ボールに手を伸ばす。先に取ったのは私だった。
私はドリブルをしつつゴールと目の前の女の子を見る。
バスケはそれほどしたことがないからプロには勝てないかもしれない。
このまま抜けるビジョンが見えないな。なら仕方ない。
私はボールを手に持ち、膝を曲げる。それを見た彼女はブロックしようと飛んだが…。
『なっ…』
「まだシュートは撃ちませーん。落下してるときにジャーンプ!」
私は飛び、片手でボールをぶん投げる。
粗暴に投げたボールがリングに入っていく。
「はい3P!」
「何で入るのあれ…」
『むうう、油断した! 今度こそはッ!』
と、ボールを取り、ドリブルして私を抜こうとしてくる。
私は行くところに現れ、そのまま通り抜ける。唖然とした様子で立ち止まっているが、私は既にボールを奪っている。
「あ、え? いつボールを取った?」
「もう人間業超えてきたぞ」
「ほらシュート!」
私はまた粗暴に投げたのだった。
ふっ、これでも運動は大得意なんだぜ。




