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アンダーワールドクロニクル  作者: 鳩胸 ぽっぽ
私たちの歴史の始まり
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ゴミに棲む竜 ③

 オルタナさんが貯めた力を解き放ち、剣をもって突撃していく。


「スキル:智帝ちていの叡智で貯め時間を半分にした大技、行くぞコラァ!」


 オルタナさんは高く飛び上がり、そのまま剣でヴァイツダスタードラゴンを切り裂いた…。

 勝った、のだろうか。もう動けるはずがなさそうだが…。


「どうだ? 勝った、のか?」

「動かなくなったし鑑定したら体力がゼロとなってるから勝った…と思うけどなんかおかしい」

「何か違和感がある。本当に勝ったのか?」


 いや、まだなのだ。


「ドロップ品とかまだ出てないってことはまだある。って、私以外全員地面に足つけたまま…?」


 と、その時だった。

 そのドラゴンの死体からなにかガスが湧き出てきた。あれを吸い込んだらやばいんじゃあないの? あれは触れちゃいけない気がする。

 それは正解のようで…。


「毒ガスだ! しかも猛毒…。体力が減っていく…逃げないとっ!」

「全員足がっ…」

「私は動かし続けていたし大丈夫だけど…」


 私は勝った後も少しばかり違和感があったから動けるように足を動かし続けていた。やはりなにかがあった。

 私はドラゴンを観察すると、何やら胸のあたりに光る宝石みたいなのがある。


「あの宝石を取らなきゃ勝ったことにはならないんじゃない!?」

「そうだろうな! だが、私たちは動けん!」

「ミーミルさん。任せた。動けないんだ」


 と、私に視線が向かう。

 私はレベルが低いからこの猛毒を吸い込んだら一瞬で絶命してしまいそうだ。体力がちょっと低いからな…。

 吸い込める時間は5秒近く…。息を止めなくちゃならないか。


「しょうがない、私が行く」


 この距離は時間がかかるし、あれをとるには結構な時間息を止める必要がありそうだ。肺活量には自信があるが…。

 やってみなきゃわからないだろう。


 私は毒ガスが充満していないところで深く息を吸い込む。


 そして私は走ってヴァイツダスタードラゴンに向かっていく。

 胸のあたりにある宝石に手を伸ばす。届かない。肉が邪魔しており、これをどかさないといけない。

 そう思っていると隣にナイフが刺さる。


「使って」


 私は頭を下げ、ナイフを突き刺した。

 肉を削いでいく。苦しい。息を止めて1分近くが経過している。一度呼吸しに行かなくては…。だがしかし、あそこまで走っていくのも時間がちょっとかかる。

 このまま気合いで乗り切るしかないっ!


 私は肉を結構そぎ落とし、手を伸ばす。

 手に宝石を掴んだ。私はそのまま引き抜こうとするが取れない。私は闇の二面性を発動させ、ヴァイツダスタードラゴンの死骸に足をついて力いっぱいで引き取ろうとすると、宝石が取れ、宙をまった。その瞬間、ヴァイツダスタードラゴンは塵となって消えて毒ガスが消えていく。


「ぷはぁ! あー、息止め二分…。もー無理…」

「お疲れ。ヴァイツダスタードラゴンが完全に死んだようで経験値が入ってきたよ。あとドロップ品。それぞれに落ちたようだから確認しようか」

「それにしても…勝てたな。久しぶりだから行動とか忘れていた」

「僕たちでも一撃は食らっちゃうからねー。あの腐らせの息が厄介なんだよ。あと床もじっとしていたら動けなくなるから動きながら考えるって言うのがむずいんだ」

「だが、ミーミルは得意なようだぞ。お手柄だ」


 私は褒められている中、ドロップ品を確認する。

 廃竜の鱗とかもあって、心玉しんぎょくというのもあった。たぶんレアドロップだろうな。


「レアドロはなしか…。ちぇー、頑張ったのになー」

「私もないぞ。廃竜の汚染物というのなら手に入った。いらないが」


 トッププレイヤーたちはドロップ品の会話をしている。

 私は自分のレベルを見てみた。


「レベル98…? すごいもらえたな!?」

「ああ、パーティのMVP制度だね」

「なにそれ?」

「簡単に言うとだな、パーティ組んで一番活躍した人がヴァイツダスタードラゴンを一人で倒した時と同じような経験値をもらえる。MVPじゃない人はその経験値をパーティの人数分で配分したときの者が手に入るんだ。ミーミルさんは今回一番活躍したからMVPとして選ばれたんだろう」

「ほえー」

「正確には一人で手に入る経験値+配分された経験値だからミーミルさんはものすごくレベルアップするはずだよ」


 なるほど。だから一気に60近くも…。これだけ経験値が多かったってことなんだろうな。


「パーティの人数が多いほど経験値は少なくなるからねー。かといって強い敵だと一人じゃきついしーって感じだからねぇ」

「ま、初心者がMVPになれるのは稀だがな。上手い人ほどMVPになりやすい。だからこそ狙った人をMVPにするのは少しばかりきついと聞いたことがあるな」


 知らない情報が増えていく…。

 始めたてだからな。知らないことが多くても仕方がないが…。


「とりあえず帰ろう。依頼料は取らないから安心しろ」

「僕たちも勝てたからねー。勝ち方はなんとなくわかったからいいとして…」


 全員の視線がこちらに向く。


「戦闘中に使用していたあの変身スキルは何だ? ジキルタイガーになっていたが」

「あー、あれはですね、今日ジキルタイガーにスキルくれない?とお願いしたらもらえたスキルで神獣化っていってジキルタイガーと同じステータスになれる変身スキルです。その代わりそれ以外のスキルは使えなくなるようですが…」

「だがジキルタイガーのステータスになるなら十分強いだろうな。あれは小さいジキルタイガーのようだった」


 だが今になって思うとあの泉はなんなんだろうな。進化のためだけかと思ったらスキルももらえるなんて。だがしかし自分で潜ったときは何ももらえなかった。ハイドに突き落とされないともらえないのかもしれないな。


「しゃあねえ。俺らも他の神獣を探してテイムしてみるか。デコイ、当面の目標はそれにするぞ」

「オーケー」

「じゃ、俺らは行くからな。楽しかったよ。また困ったら呼んでくれ」

「じゃあ俺もいくよ。ギルドの奴に無断で来ちゃったから探してるだろうし」

「ふむ、私は帰る理由もないな。このまま付き合うぞ」

「いや、私たちもログアウトするんで…」

「そうか。わかった。じゃ、またな」


 全員帰っていく。私たち三人は拠点に戻ると、疲れ切ったのかお別れの言葉を言ってそれぞれログアウトしていった。

 私もログアウトして、現実に戻ったのだった。




















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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[良い点] オルタナさんの技名が(´艸`)プップップッ おぉ、無事に倒せたか
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