ゴミに棲む竜 ②
私たちは動けずにいる。
このままだとブレスを受けることになりそうだ。それは何としても避けたい。私はもらったスキルを使ってみることにした。
もしかしたら行けるかもしれないということで。
「神獣化!」
私のからだが変化していく。
虎のように四足歩行になり、私は地面から足が離れたのだった。やっぱり! 変身系のスキルは体が変わるから強制的に足が離れるんだ。
私は虎の姿のままかけていく。そして、顎を狙ってアッパーをかました。ヴァイツダスタードラゴンはブレスを吐こうとしていたが、アッパーによりブレスが天井に向いてしまい、天井を攻撃した。
「とりあえずブレスの危機は去った!」
私は変身を解く。
みんなは驚いているような目でこちらを見ていた。
「い、今の…」
「後で説明しますから。クシナダ、私の足を放したようにできない? あの薬品はある?」
「見事に残ってるな。もしかすると酸は腐らせることができないのかもな」
「あれって酸だったの?」
「そうだ。攻撃用に持ってきたんだがここで使うとは思わなかったぞ」
なるほど。
クシナダは彼らの足下に酸を投げつける。本来なら痛いだろうがここはゲームだ。少しダメージを受けるだけかもしれないな。
「さて、攻撃開始!」
今度は腕だけ変化!
腕をジキルタイガーの腕にした。肉球がある。ぷにぷにしてる~。ちゃんと感覚があるゥ~。ぷにぷにぷにぷに…。
…遊んでる場合じゃないや。
「ジキルタイガーの攻撃力そのものだぜえ!」
闇の二面性は発動が解かれてしまった。
どうやらこれは二つ同時に発動ができないらしいな。ま、ジキルタイガーの攻撃力ならなくても大丈夫だろうが。
「”パワーモンキー”召還!」
と、ユーミールさんが何かを召還した。
現れたのは猿だった。猿はうきうきと鳴きつつ私たちの周りを駆け回る。そして、何か液体をかけてきた。
思わず濡れてしまったが、攻撃力が倍増している。
「ここからは攻撃に転向だ。守りのバフはもうしねえ」
「デコイ、アマツミカボシさん、ミーミルさん。五分足止めできるか?」
「任せて」
「や、やってみます!」
「頑張る」
オルタナさんが五分の足止めを要求する。
何をするつもりかは知らないが…。足止めか。攻撃させなきゃいいんだろう? 私はヴァイツダスタードラゴンめがけて走り出す。
懐に潜り込み、引っ掻いた。
「グギャギャッ」
気色悪い鳴き声をあげ、こちらを向く。
ヘイトが私に来たようだ。このドラゴン、あまり賢くはないようだ。私はヴァイツダスタードラゴンの後ろに回るとヴァイツダスタードラゴンは私のほうを向く。
五分間ずっとこっち向いておいてくれよ。
「おーにさんこーちらっ! こっこまーでおーいでっと」
「こっちにも来なよ。ほらほら」
「ふ、二人とも挑発…。とりあえずこっちに来て!」
二人ものっかってきて挑発を始めた。
だがしかしヴァイツダスタードラゴンはそっぽ向きオルタナさんの方を再び向いたのだった。オルタナさんは力を溜めて動けないようで。
ヴァイツダスタードラゴンは攻撃しようと足を振り下ろし…。
「お前らの相手はあっちだ」
と、クロムさんがでかいハンマーでぶん殴る。
ヴァイツダスタードラゴンはよろけて転ぶ。
「ありがとなクロム」
「気にするな。目的と敵が同じなだけだ」
「あと三分! 頑張って時間稼いでくれ」
「任せて」
私たちはヴァイツダスタードラゴンの首を押さえつける。
転んだのがチャンスだから活用しない方法はない。起き上がるのを防ぐために首に攻撃を重点的になぁ!
そして、三分が経過した。
「よし、溜まった!」
オルタナさんの力が溜まったようだった。




