事前準備
私はハイドのところに来ていた。
地下水路を一度見に行ったがハイドが入れるような大きさではなかったというのもあり、ハイドに少し力を分けてもらいに来た。
「ということでハイドさん。ハイドさんの力を少し譲ってください」
とお願いすると、しょうがないなあと言わんばかりに立ち上がる。そして、泉の方を向けと言われたので泉の近くに行くとまた突き落とされた。
ぶくぶくと沈んでいく私にアナウンスが響く。
《スキル:神獣化(ジキルタイガー)を取得しました》
というアナウンスが。
説明は体の全部、もしくは一部をジキルタイガーにすることができる。ただしジキルタイガーのテイムが必須となる。
なお、変化するとステータスがジキルタイガーと同じになる…。
私は泳いで上に上がるとジキルタイガーはにっこりと笑っていた。
「ありがとなー! ハイド! でも、私にやけに協力してくれるね?」
そういうとハイドは嬉しそうに鳴く。
私のことを友達、というよりかは親のように慕っているらしい。私といると心地よくて、私がいなくなるのは嫌なんだとか。死ぬくらいならスキルを教えて生き延びてほしいということ。
健気ないい子じゃないか…。嬉しいぞ!
私はハイドを滅茶苦茶撫でてやる。
「今度また戦おうな! ハイドもやりたいだろ?」
「ガル!」
「いい返事だ。私はハイドと出会えてとても運がいいね。神様がいるなら感謝するよ。私はもういくね。ごめんね、昼寝の邪魔して」
「ガル」
気にするなと言っていた。
私は聖域を後にする。利用している感はすごいが…。だがしかし、愛情がないわけじゃない。寧ろめっちゃある。私は動物が好きだからな。人間より好きだ。
私が森を歩いているとクロムさんから返信が来る。
『かしこまった。アマノイワトの拠点に向かう』
と、来たので了解と返すとまたフレンドメッセージが届いた。今度はオルタナさんと、あとユーミールさんという人。ユーミールさんはテイマーギルドのマスターだ。テイマーとしてはプレイヤーの中でも一番強いとか。
『オルタナさんから聞いたよー。バフ要因として参加するよ俺も』
『今クエストが終わったから向かう。集合場所はアマノイワトの拠点といいたいが場所を知らないから黄金の煌きの拠点に来てくれ。ユーミールもそこにいけと伝えてある』
というので私は急いで向かっていった。
クロムさんアマノイワトの拠点に向かうといっていたが場所知ってるのだろうか…。教えてないはずなんだけど。
私は黄金の煌きの拠点に行くとオルタナさん、デコイさん、ユーミールさんがいて、あとクロムさんがいた。
「クロムさんアマノイワトの拠点に向かったんじゃ…」
「場所が分からなかったのを思い出した」
「やっぱりですか…」
「とりあえずこのメンバーなら基本負けないと思うから大丈夫だよ。あとはミーミルさんのチームメンバーだけだね。アマノイワトの拠点に案内してくれるかな?」
「わかりました」
私はアマノイワトの拠点に四人を連れていく。
私はアマノイワトの扉を開けると二人が結構いい防具を買いそろえたようで武装していた。私を見て、二人は驚く。
「すっごい人たち連れてきたね…」
「ミーミルさんから話を聞いたんだけど、君たちが引いた隠しボスはちょっとやばいかもしれないんだ」
「え…」
「ラスボス級に強い奴かもしれないんだって。だからトッププレイヤーたちを連れてきた」
強い人をかき集めてやらないとな。
「とりあえず自己紹介をしようか。黄金の煌きのリーダーのオルタナだ」
「同じく副リーダーのデコイです。フーの兄です」
デコイさんがそう紹介すると二人は驚いていた。
「フーの兄!? 似てな…」
「はは、よく言われる。僕は母さんでフーは父さん似だからね」
「私はクロム」
「俺はユーミール。テイマーギルドマスターね」
「あ、私はアマツミカボシです。アマノイワトのリーダーです」
「ふふふ、私は普遍なる特異点、クシナダだ…覚えておけ」
自己紹介で中二病を発揮するなよ。クロムさん以外引いてるぞ。
「ふっ、貴様が特異点か。仲間同士よろしくな」
「むっ…お前何者だ?」
「私はすべての始まりの者。始まりは私からだ」
「ほう…」
クロムさんが静かそうに見えて中二病を患っているようだ。
クシナダとクロムさんが握手を交わした。
「意外な組み合わせ…。中二病って伝染するんだね…」
「いや、もともとそっち側だったんだろう。中二病と出会って古傷が再発したとかそんな感じだろうな…」
「二人とも的確ですね」
「…あの子を友達に持って苦労してるねぇ」
「はい。あの中二病さえなければいい子なんですけど」
ミカボシが愚痴を吐いていた。
なんでそこでわかり合ってんだよ。いや、私も気持ちわかるけど…。
「さっさと行きましょうよ」
「そうだね。夜も近づいてきてるし。さっさと討伐に行こうか」
そういって私たちは拠点から出ていったのだった。




