私たちの未来
世界を救ったことがあるかと聞かれたらイエスと答える。
それは昔のことだが、今もなおその気分の高揚は忘れなかった。あの時の興奮はちょっとすごかったと思う。
「人の体は…」
私は今医療大学に進学していた。
獣医志望だったが、人の体も覚えておいて損はないと思っていた。父の名はこの国でも有名らしく名医の娘として言われていた。
実際、割と簡単に思えている。これも才能というもんだろうか。
「アテナ!」
大学を終えて門のところに待っていたのは木戸くんだった。
木戸君に修学旅行の時に告白された。なぜ好きになったかは知らないが、私も嫌いじゃないし割と好きな部類なので了承して今でも交際が続いている。
私が卒業したら結婚を申し込むつもりでいた。
「よー、どうだい。そっちの大学は」
「大変だよ。弁護士ってこんなにつらいんだね。法律で頭の中がぱんぱんだ」
木戸君は弁護士を目指すことにしたらしい。そのために大学に通い日々六法全書などを読みふけっている。
バスケはやってないのかと聞くとバスケもやっているらしい。もちろん趣味の範囲で。
インテリスポーツマンとかすごいな。
私たちが一緒に帰っていると。
「やっほーアテナー!」
「よう、アテナ。今帰りか?」
三日月と灘の二人に遭遇した。
三日月は大学に通う傍らモデル業も始めたらしい。プロポーションは割といいので結構雑誌とかの表紙を飾っているのを見る。三日月が写ってる雑誌は購入している。
灘はというと高校を卒業して実家の八百屋を継いでいる。眼帯をして中高生に人気らしい。まだイタイままなのだ。
「どうよ、大学は」
「そこそこ。二人いないとやっぱつまんないわ」
「私もそっち行きたかったけど頭がねぇ」
「まあ今もこうして集まれる距離にいるんだからいいじゃないか」
そうだね。集まれる距離にいるのはいいな。
私たちは歩いていると電器屋の前を通る。電器屋のテレビには新たなゲームの宣伝が写っていた。私たちは立ち止まって見てみる。
「懐かしいなぁ。アンクロ。楽しかったよね」
「アテナが割と楽しんでいたな。あれはすごかった」
「今あのようなパフォーマンスできるかって言われたらできるかわかんないや」
「もう四年ぐらい前の話だもんな」
ノスタルジーに浸る。
「私は世界を救ったんだよな。世界を救うヒーローになれた」
私はしみじみとそうつぶやいた。
ゲームといえどあの世界は私にとってはやっぱ本物だった。あの世界でかかわった人。割と個性的な人もすごかったが、でも、楽しかった。
またあの時のような熱中できるゲームがあれば……。私はまた楽しめるだろうか。
「また、みんなでやりたいね」
「今度はお互い敵としてあいたいもんだねぇ」
「やめろ。私らはお前に勝てない」
「また数年後、こういうゲームが出るよ。ゲームって言うのはいい作品が数年おきに出る紋だしな」
また数年後。みんなとやれるのなら。
また、私の武勇伝を作ってもいいかもしれないな。人生にはやっぱり刺激が必要なのだから。
「……ねぇ、今ちょっとやばいこといっていい?」
「なんだ?」
「あれ、煙上がってるよね」
「ああ、そうだな」
空に昇るは黒い煙だった。
「火事かな」
「アテナの家の方向だな。っていうかあの場所アテナの家なんじゃないか?」
「あはは。たぶん」
私は笑って頭をかく。
現場に行くと私の家が燃えていたのだった。消防車がとまっており消火作業に追われている。
「……今日、ガスコンロの火を消さずに来たかもしれません。てへっ」
「「「笑い事じゃないだろう!!!」」」
みなさん、私は今日も前を向いていきます。というか行かないといけません。
おしまい。
これにて終わりです。
ミーミルちゃんが割と自由奔放すぎてめちゃくちゃ好き勝手してました。
あと、火事落ちになるのは自分でもちょっと想像してなかったです。ミーミルちゃんならこういうこともありそうだなって考えたら火事になってました。火の用心はしっかりとしましょう。
読んでいただきありがとうございました。
たまに気まぐれで番外編を投稿するかもしれません。
また多分これが投稿されてるときには次回作も書いてるんじゃないかなと思います。




