国盗りバルバロス ②
国盗りバルバロスと呼ばれている男は無精ひげを生やした山賊みたいなおっさんだった。
「彼はもともと国に使える騎士でした。ある時謀反を起こして投獄されたんです」
「この国の王は頼りねえから俺が王になろうと思っていただけだ。おい、ギャアル……と。そっちは……」
バルバロスはオニキスたちのほうを向いた。
「なるほど。俺たちが地獄で苦しんでいる間てめえらだけはこの世界で元気に楽しく過ごしてたってわけ、かぁ!」
バルバロスはアニキスめがけて石を投げる。
グラッセ執事がその石をキャッチしたのだった。
「お前らも俺と同じ死刑囚だったのによぉ! てめえだけ苦しんでねえなんてむかつくぜ!」
「何を言う。俺は罪の意識を忘れたことなどない。どうせ俺だって地獄に行くんだ」
「今か後かの違いだろうがぁ! あの苦しみを死んでねえてめえらにも体験させたかったところだぜえ!」
バルバロスは剣を持ちアニキスたちに向かっていく。
剣を振り上げ、そして、アニキスがヴェニカをかばうように覆いかぶさった。私は反応が一歩遅れてしまい、攻撃しようにも届く距離ではない。
しくじった。敵認識しておくべきだった。
「そうはさせないよーん」
と、ちっちゃいナイフでバルバロスのけどを受け止めたのはレオンハートだった。
レオンハートはナイフで剣を止める。
「おい、てめえも俺の犠牲になりてえのか!」
「犠牲? なるわけないよ」
「ああん?」
バルバロスのこめかみに欠陥が浮き出ている。
「じゃあてめえもお望みどおりに殺してや……らぁ?」
剣を振り上げた時だった。
グラッセがナイフを胸のあたりに突き刺す。バルバロスはそのまま地面に倒れこんだ。だがしかし、生き返った囚人は……。
そのことを理解しているのかグラッセはヴェニカとアニキスの腕を引っ張る。
「逃げましょう」
「そ、そうだね」
私が最後尾に立ち、警戒しながら逃げようとする。
すると、バルバロスはゆっくりと起き上がった。そして、黒い靄がバルバロスを包み込む。
『許せねぇ……。俺があんなに苦しんだというのに……てめえらは……』
「……ちっ」
この光景は前にも見た。
この後多分……。
「ミーミルさん! 早く逃げ……」
「先逃げて」
バルバロスはどんどん巨大化していく。
そして、バルバロスの体がどんどんでかくなっていき、手が二本生え、そのまま手を地面に着いた。
顔はバルバロスだがもうこれは……化け物。
「なんだこのバケモンは……」
「すごいです。これは……」
と、隣でアニキスとギャアルがそう述べる。
すると突然ギャアルが口を押えた。
「うっ」
「どうした!?」
「なんか、体が熱い……!」
と、その時だった。
ギャアルにも黒い靄が集まっていく。なんで? と思うが考えてみると簡単かもしれない。この怪物を見た蘇った囚人たちは連鎖して自分も化け物に変わるのだろう。アニキスは変わっていないところを見るに。
「うぎゃああああああ!」
ギャアルもどんどんでかくなっていく。
ギャアルは蜘蛛のような形になっていき、背中にギャアルの顔があった。正直キモイ。
「ちっ、二体相手どるのかよ」
『あれ、僕……』
「自我あんの?」
『そ、そうみたいです』
「なら話が速い! やるしかないぞ、ギャアル!」
私はギャアルにそういうとギャアルはわかりましたと言って、蜘蛛の糸を飛ばした。
『おもしれえ! ギャアルよ、俺がてめえも殺してやらぁ!』
『ふふふ、いい響きですね。僕もただでは殺されたくありません』
なんだろう、化け物vs化け物って割とホラー。この場にミカボシたちいなくてよかったな。
ミーミルちゃんの考察は当たってたり。
他の蘇った囚人の化け物姿を見ると連鎖して化け物になるんです。




