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アンダーワールドクロニクル  作者: 鳩胸 ぽっぽ
私たちの歴史の始まり
40/442

PKと帰り道

 サッカー、もといフットボール。

 起源は私の母国イギリスだという。イギリスではフットボールが人気であり、熱狂するほどだ。


「灘がキーパーやるんだね」


 私は三日月と一緒にPKをする。

 三日月も髪をまとめており動きやすい格好になっていた。

 足を伸ばしたりなどの運動をしている。


「灘、私のシュート止めれるかな?」

「ボールはトモダチ!」


 灘はやる気満々のようだ。

 だがしかし灘は運動神経悪いんだよな。割とマジに。


「灘、無理しない方がいいよー」

「無理してないぞ三日月。やってみたかったんだ」


 私はボールを置く。

 灘は止める気満々のようで構えをとった。私は助走をつけ、右上の角を狙い蹴る。

 ボールは一直線に向かっていく。灘はなぜか左に飛んだ…。


「…ゴール」

「なんで右に飛んだの!?左に来てたじゃんそっちからみて!」

「い、いや、左と思わせて右に来るシュートだと思ったんだ…」

「そんな漫画みたいなことできないから…」


 私は漫画の登場人物じゃないし。

 それに、仮にプロがそういうのできるのだとしても私はプロじゃない。

 フットボール発祥の地出身の私もフットボールはそんなしたことがない。


「灘、今からでもアテナと変わろう?」

「意地でも止めてやる」

「意地になっちゃったねぇ」


 三日月は呆れながらもボールを置いた。


「灘、左角狙うから」


 と、三日月が宣言する。

 それは舐めプなのか。いや、宣言しているのもブラフかもしれないが、三日月はそういうことはしない。いつだって宣言通りにする。


 三日月はボールを蹴ると左に向かっていった。灘はまた右に飛んだ…。


「宣言したよね!?」

「クソッ!」

「クソじゃないよ!? 私宣言したよね!? 指まで指したよそっちに蹴るって! なんで逆行くの!?」

「ブラフかと思った」

「そこまで深読みしなくてもいいじゃん!?」


 ただ宣言通りやる三日月を深読みしちゃうのが灘なのだ。

 思えば小六の時給食でプリンが余って灘と三日月がジャンケンすることになった。三日月はグーを出すと宣言していた。で、三日月はグーを出したんだけど灘は深読みしすぎてなぜかチョキを出した。普通グーだろうとは思ったが…。


 昔から深読みしすぎる癖は治ってないなあ…。


「私と付き合いながいから大体宣言通りうつってわかるでしょ!? アテナですらわかってんだよ!?」

「人間は容易く嘘をつく生物だからな」

「もうダメだぞコイツ」

「もう呆れるしかないね…」


 






 時間も時間で帰ることになった。

 灘は一度もボールを止めれず、三日月は宣言通りうってその宣言通りに灘は動かず。

 二人は落ち込んでいた。


「私そんな信用ないのかなあ…」

「なぜ止められないのだっ…」


 灘は完全に自業自得なのだが三日月が可哀想だ。きちんと宣言してあげる優しさがあって本当にそのようにうつのに毎回逆のことをする…。

 

「私がキーパーしたほうがよかったな…」


 私はそうぼやいた。


「ほら、二人とも落ち込むなよ。コンビニ寄ってアイスでも買ってやるからさ」

「わーい」

「いただこう」


 立ち直り早いぞ。

 私たちはコンビニに入りアイス売り場までやってくる。

 日本のアイスは美味いからな。私もどれがいいか悩む。チョコミントもいいが…。今はカップアイスじゃなくアイスキャンディが食べたい気分。


「私カリカリ君にしよ」

「え、じゃあ私は…スイカバア」

「ふむ、私はハゲーンダッツを…」

「一番高いやつ頂こうとするのかよ…」


 美味いには美味いけど内容量が少ないからあまり得した気分になれないんだよな。

 私たちはアイスを買い外に出る。外はもう月が昇って星が見えている。綺麗な星空だった。


「うーん、やっぱ美味しースイカバア」

「食べ歩きに向いてないぞこのアイス…。くそ、ソフトクリームにすべきだったか」


 今更後悔しても遅いっての。


「明日から学校かぁ…。やだなぁ。英語の時とか私外国から来た先生と話すことになるんだし」

「いいじゃん。かっこいいしょ。アメリカ人の先生」

「いやいや、それはいいんだよ。私が外国人だからって映画の時だけそういうことしないでほしいじゃん? たまには違う人にしてもらいたいってか」


 嫌なんだよなー。私が外国人だからってそういうの。

 私だって一生徒です。


「でも英語の先生は優しくて好きだぞ。さすが老年の教師なだけある」

「経験は豊富そうだからねー」

「だが、数学の吉崎はダメだ」

「あれは厳しいよねー…。贔屓とかすごいし」


 吉崎はお気に入りの生徒を贔屓する。一応生徒指導の先生なんだが…。

 いつも校門の前に立ってては生徒を監視し気に入らない生徒にだけ注意するのだ。


「私はお気に入りだから注意されてないけど私と同じくらいスカート短くしてる子は注意されてたよ」

「私はスカートも標準丈なのに毎回止められては測られるぞ。セクハラだろう」

「私は金髪だからか黒く染めてこいって毎回言われるなー。地毛だって校長先生とかには言ってるし他の先生は理解してるんだけどなー」


 どうせ始業式の日も吉崎立ってるんだろうなあ。行きたくねぇなぁ。


「吉崎転勤しないかなー」

「全く。贔屓するのはありえん」

「まー、彼も人間だから好き嫌いはあるだろうけどさー」


 それでも純外国人の私に髪を黒く染めろっておかしいですよね。

 たしかにイギリス人みんな黒髪ではないが黒髪の人だっている。私は昔からのブロンドヘアーだ。


「ま、嫌いだなんだ言っても始まらないか。頑張ろうな。お互い」

「うん。ま、私には優しいから別に頑張るもクソもないけど…」

「ウィッグでもつけていくかな…」


 でもそれだとバレるかしら。
















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いずれ王となる君に~部下である剣士の私はその才能をゲームでも発揮します~
新作です。VRMMOものです。
読んでもらえると嬉しいです。
― 新着の感想 ―
[気になる点] ハゲンダッツってハーゲンダッツ?
2021/02/01 22:11 風鈴月桜花
[良い点] どんな時代でも、そんな人は一定数いるんですね。 もしも、パン子の時にいたら酷いしっぺ返しをくらいそう。
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