試験をしよう
私は拠点の椅子に寝転がっていた。
クシナダが何か見つけたようで戻ってきていると言ってた。ミカボシは買い物をしに行ったようで拠点には現在私一人。
「ふあーあ…。依頼人来ても困るしな…」
目を閉じて二人が帰ってくるのを待っていた。
すると、扉に取り付けられた鈴が鳴る音が聞こえてくる。私は起き上がり振り向いて…。
「帰ってきたか二人と…も?」
私が振り向くと男の子と女の子が二人立っていた。年齢は見たところ中学生くらい。
ただ日本人は若く見えるからな…。高校生かもしれないってのはある。
「依頼?」
「依頼ってわけじゃない、んですけど…」
と、ドギマギする男と、
「私たちをチームに入れてください!」
と、頭を下げた女の子。
どうやらアマノイワトに入りたいということらしいが…。
「悪い、私たちのチームは三人で活動してるからさ、あまり人は入れたくないんだ」
「そこをなんとか…」
「お願いします! 入れてください!」
と、二人は頭を下げる。
ここまでお願いされたら入れてはあげたいけど…。
私一人で決めれることじゃねえしな…。
「とりあえず座りなよ。他のチームメンバーもそろそろ帰ってくるから二人にも聞いてみな」
「は、はい!」
私は強く追い返すこともできないので二人が帰ってくるのを待つことにした。
私は所詮下っ端だし私一人で決めれる問題でもないし。
私の前に二人は座る。
何か焦りのようなものも感じる。二人のこの焦りはなんだ?
私は聞いてみることにした。
「なんでそんな焦ってるの? なんで私たちのギルドに?」
「え、えと…」
「私たち、いじめられてるんです」
女の子がそう話した。
「クラスメイトがみんなランキング上位のチームに入ってて…。みんなが見下して来てるんです。私たちも見返したくて…」
「で、ランキング上位に入った私たちのところに、ね。他にもあるでしょ?」
「他は軒並み断られたんです! お願いします、最後のチャンスなんです…」
後がないって感じか…。
上位チームに入ったクラスメイトに見下されてるというのがつらいのもわかるけどさ…。
私個人としては入れてあげたいけどね。
「ただまー」
「帰ったぞ」
と、ちょうどいい時に二人が帰って来たのだった。
「あれ? お客さん?」
「依頼か?」
「そういうのじゃないけど…」
私は説明することにした。
ミカボシとクシナダは私の隣に座る。
「その理由、嘘偽りはないよね?」
ミカボシが冷たい目を向ける。
ミカボシは結構明るい子だけど人を深くまで信用しないていうか…。私たち以外と話すときは若干の壁を作るっていう感じがある。
特に関わりにきた人たちに。
「ありません…。事実、です」
「だそうだぞミカボシ。どうする? 私はどちらでも構わんぞ」
「ま、ここはリーダーであるミカボシが決めてよ。私は反対しない」
私とクシナダはミカボシに決断を委ねる。ミカボシもミカボシで強く追い返そうとはしないあたり少し悩みはあるようだ。
「厳しいこと言うけど、そのいじめは私たちとはなんの関係もない。それで入れるという動機にはならない。だからテストをしようか」
とミカボシは述べる。
「平原を彷徨うボスのヘルベアーのレアドロップを2個、持ってくること」
「ああ、確率2%っていうやつか」
「え、なにそれ…」
まずボスなんていたの?
始まりの街にいて全然知らなかった。
「もちろん私は仲間として加勢しない。誰かから購入して私に来ないよう誰かをついていかせる。そうだなあ、ミーミル頼める?」
「え、試験官私?」
「二人が死んだら戦っていいわよ。それまでは戦わないこと」
「えぇ…。私がこいつらの手助けをしたらどうすんの?」
「そんなことはしないって信じてるから」
そういった。
安っぽく信じるなんて言わない方がいいけど…。頼まれたならやるしかない、か。
「わかったよ。やるよ」
「オッケー。じゃ、いってらっさーい」
と、ふりふり手を振る。
ったく、こいつら意図はなんとなくわかったぞ。私のためか…。
ボスを攻略しないと何かが進まないのかもな。だからこいつらに倒させて私を楽させようと…。ずっるいこと考えんなーあいつ。




