夜の礼拝堂 ②
デカイ騎士の右手にはオノを持っている。
私は目を疑う。
「what?」
浄化されるんじゃなかったの? あの神父、嘘かよ!
私は闇の二面性を発動しする。
「先手必勝!」
私は一瞬で距離を詰め張り手。グーでパンチすると痛そうだから張り手にしたが…。
相手は吹っ飛ぶだけでまだまだ動いていた。なので…。
「いでよジキルタイガー!」
と、紋章が光ると同時にジキルタイガーが飛びかかる。
私もジキルタイガーに続き、また張り手を繰り出した。ジキルタイガーは爪で鎧を引っ掻く。鎧はぶっ壊れて地面に落ちた。
「ナイスハイド!」
「ガルッ!」
ハイドを戻し鎧に近寄る。
鎧の中から何か白い魂みたいなのが出てきた。、白い魂は天に登っていく。
ったく、全然浄化されてねーじゃねーかよ。本当に効果あるのかあの札は。
ま、でも回り込む必要は無くなったしその点に関しては感謝かもな。
だがしかし、なぜこんなところに廃教会があるんだろうか。二人には悪いがもうちょい探索でもしていこう。何か見つかるかもしれない。
「ロンドンブリッジがおちたー、おちたー、おちたー…と」
歌を歌いながら教会の中を探索していく。
席の下とか隅々まで丁寧に。教会といえば怪しげな実験施設とかあるんだよなー。
実は神父が悪い奴で人体実験ばっかしてるーとかそういうのがよくある。
「深夜に一人で教会探索って虚しいことしてんなー…」
もう現実では何時だろうか。
たしか7時くらいに始めたから…今は8時かそこらってところかな。
だがしかし、あいつらは何してるのかな。
あいつらと一緒に昼間探索しにきてもいいけど…。
「うーん…」
でも、なーんか嫌な予感はするんだよな。
あの神父は胡散臭くはなかった。けど、なぜここまで幽霊が湧いているのか。
その原因がこの教会のどこかにある。礼拝堂に置いてもあの幽霊は浄化されなかったところを見るにそう考えていい。
神父は礼拝堂が幽霊の溜まり場と思っていたのかもしれないが…。
そう思っていると後ろから男性の声が聞こえる。
「お札を置いてくれましたか」
「あ、ああ。でも幽霊の気配はあると思うよ。礼拝堂が原因じゃない」
「…たしかに感じます」
神父は冷や汗をかいている。
「この教会ってなんだ? なんで廃墟になってんだ?」
「この教会はかつて私どもの前の宗教であるアポカリズム教の教会だった…ということしか私は知りませぬ。アポカリズム教は国王によって断絶され今は亡き宗教です」
「…そう?」
「はい。私が神父になる何十年も前なので私は詳しくは知らないのです」
アポカリズム教は何十年前に断絶した。
だがしかし、今頃になって幽霊騒ぎ? わからないな。なぜ今頃なのか。
「ちなみにさ、あんたが仕える…。何教だ?」
「ヴァルハラン教です。私はヴァルハラン様に仕えております」
「ヴァルハラン教がこの街に来た年…とかは?」
「何十年も前となります。歴史で言うとアポカリズム教が無くなって数年後にやって参ったという文献が残されております」
ふむ、ヴァルハラン教も特には関係なさそうだ。
私は椅子の下を探している。神父は何やらキョロキョロと辺りを見渡していた。
「そういやあんた名前聞いてないよな」
「私はカムイと申します」
「私はミーミル。で、神父よ、何か感じないか?」
「何かとは?」
「霊的なものだよ。そこが一番強いところが怪しいんだけど…」
私はそう聞くと神父は聖卓を指差した。
私はそこに近づき避けてみると、地下に繋がる階段があった。
「ここから強い怨念を感じます。生身で行くのは危険です。きちんとした装備をしなければ呪われることでしょう」
「呪いは解ける?」
「解けますが…」
「なら大丈夫」
私は一歩、足を踏み入れる。
「なっ、怨念があなたを包まない? そういえばあなたからも神聖な気を感じる…。まさかっ、その左手の紋章か? その紋章はもしや神獣の…」
神父は意外と鋭い。
「神獣の強い聖気があなたを守っている…」
「幸運だなあ。さて、私は地下に降りるけどカムイは?」
「…私もついていきましょう。成仏させてあげるのが聖職者の務め。助けを求められるのなら私もついていきます」
そう言って私の後ろに立った。
私たちは階段を降りていく。カツン、カツンと靴音が響き渡るほどの静寂さが少し恐怖を感じさせるのだった。




