八話
調べましたが、神奈川に民間が使える空港ないんすよね…………まぁ?フィクションですから!(重要)
東京からバイクをすっ飛ばして三時間。ようやく、神奈川の空港へたどり着いた。瑛太は有香へ、バイクを置いた場所のメールをちょちゃいと送り、急いで空港へはいる。
「瑛太っ!」
バイクから降りて先に空港を覗いていた美麗が、小声で瑛太を呼ぶ。足音を立てないように美麗の側へ近づくと、美麗がとある方向を指さす。
「……あれは……西条家の追っ手だな」
いかにも周りの一般客と比べ、身長が高く、引き締まっている体をしてる強面の人がいた―――というよりかは、バリバリに二人の知り合いである。
「えぇ……しかも、本田さんが来ているということは、かなり本気のようね……」
西条五右衛門が、少し遠出に行く時に必ず護衛としてついて行くSP本田さん。30歳後半でありながら引き締まった筋肉をしており、瑛太に全ての格闘技の技を教えこんだ師匠である。
「ちっ………仕方ないか。美麗、少しトイレに行くから着いてこい」
「え、えぇ……分かったわ」
瑛太は、美麗の手を引き張っているSPに見つからないようにトイレへと向かった。その理由は、更なる変装のためである。
美麗はこれ以上の変装は出来ないが、瑛太はまだまだ変装の引き出しはある。
「わぁ………」
それは、女装だってお手のものである。
「……す、凄いですわ!瑛太!可愛いですわ!」
「ありがとう、天音」
少し化粧をして、ショートカット風なウィッグを被り、ボーイッシュ系の変装で攻める瑛太。口調も男によせ、声色も変えれば、瑛太は瑛子に早変わりである。
「さ、これで大丈夫ね。行くわよ天音」
こうして、無事にゲートを通ることが出来た二人。流石にSPでもゲートの中までは入ることは出来なかったようだ。
トイレへ入り、ササッと化粧を落としてから女装を解いた。
「………もう少し見ていたかった……」
「いや、あれってかなりダメージが……」
主にダメージを受けるのは瑛太の男としての心である。
とりあえず、既に飛行機には乗れる時間なので、搭乗する。ここまで来れば、もう安心だろう。
「……ふぅ」
「……これが成功すれば、私達は誰にも見つからずに、一緒に過ごす事ができるのね……」
椅子に座ると、隣にいる美麗が腕に抱きつき、体全体を瑛太に預けてくる。完全に甘えモードである。
「……そう、だな。西条の魔の手からも逃れられ、静かにダラダラと過ごすことが出来るな」
「はい、楽しみです。瑛太……」
と、美麗は安心しきった顔で、瑛太の肩に頭を乗せた状態で眠りについた。
『まもなく飛行機が発射します』
そして、二人は長崎の地へと向かった。
あと三話くらいで最終回です




