47 クオンと家族
幼い頃からクオンは厳しく育てられた。
王妃が産んだ第一王子で生まれながらの王太子。ゆくゆくは立派な国王にならなくてはいけない。
側妃が産んだ弟たちの方が優秀で国王にふさわしいのではないかと言われないよう、両親はクオンを甘やかさなかった。
クオンは王太子に相応しい優秀な人物に成長する一方で、寂しさや物足りなさを感じていた。
その心を慰めるのは菓子。
次第に食べる癖がつき、常に食べるようになった。
ついに世話役から食べ過ぎだと言われ、菓子が禁止になった。
クオンはイライラした。
なぜ、自分は王太子に生まれてしまったのか。
第二王子以下であれば、もっと自由に楽に生きることができた。愛情も与えられたかもしれないと思った。
菓子ぐらいよこせ!
中等部時代、反抗期が訪れた。
そんなある日、クオンの母親である王妃が様子を見にやって来た。
王太子が勉強せず、機嫌を悪くし、菓子をよこせといっていることを聞きつけたからだった。
弟たちも一緒だった。
王妃はいかにクオンが王太子としていかに大変かを話し、家族で助け合う必要があることを説明した。
「これは貴方を励ます贈り物です」
王妃がポケットから取り出したのは、レモン味の飴が入った小袋だった。
「チョコレートです」
「クッキーにした」
弟たちからも差し入れがあった。
「頻繁に会えなくても、弟たちは貴方のことを知っています。世話役から常に優秀な兄を見習えと言われているのです」
厳しく育てられているのは自分だけではない。弟たちも同じだとクオンは思った。
「クルヴェリオン。私たちは貴方を信じています。そして、応援しています。そのことを忘れないように」
王妃は弟たちを連れて退出した。
クオンは差し入れの菓子をじっと見つめながら考えた。
「優秀な王太子に戻る」
それは大切な家族がいるからであり、家族が支えてくれるからであり、そんな家族を守れる強い存在になるためだった。





