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異世界のんびり素材採取生活  作者: 錬金王
沼地採取編
164/218

沼シャコ料理

『転生大聖女の目覚め』書籍1巻は6月2日発売です。

そして、コミカライズも水曜日のシリウスにて同日スタート。


「素材の採取も終わりましたし、昼食にしましょうか」


「そうしよう」


 必要な数の毒袋を採取し終わった俺たちは、洞窟の中で昼食を摂ることにした。


 昼食を食べようと思っていた時は、昼食を食べるのに早い時間であったが、毒沼蛙との遭遇や大雨、解体などをやっている内にすっかり遅れてしまった。


 分厚い灰色の雲が空を覆い隠し、雨がザーザーと降っているが、感覚的に中天を過ぎている気がする。


 朝から沼地を歩き回って採取をし、戦闘までこなしたのですっかりと腹ペコだ。


「まずは沼シャコを洗いましょうか」


「あそこに綺麗な水が湧いている。そこで洗おう」


 水魔法で洗おうとしたが、綺麗な水が湧いているのであればそれを使用するのがいい。


 レイルーシカの後をついて洞窟の壁際に向かうと、岩の隙間からちょろちょろと水が出ていた。



【洞窟の地下から湧き出た地下水】

 地中でろ過されているために非常に綺麗で安全



 

念のために鑑定してみたが非常に綺麗な水のようだ。


 こういった地中や岩から染み出た水は地中でろ過されているので、川の水などよりも安全な場合が多いのだ。


 長年、この辺りで住んでいるレイルーシカや一族のダークエルフもそのことをわかっているのだろう。


 網から取り出した沼シャコをザルに入れて、湧き出した水で泥を落としていく。


 水を浴びた沼シャコたちがザルの中でわらわらと動き出す。


「ああっ! 逃げないでください!」


「こいつらはまだまだ元気だ。逃げられないように気をつけろ」


 ザルの中で一斉に動き出した沼シャコにルミアが戸惑い、レイルーシカが笑っている。


 二十匹以上の数がいるので、絵面がすごいことになっていた。


 湧き出している水は一つしかないので、三人で洗っても仕方がないだろう。


「俺はお湯と油の準備をしてきますね」


「ああ、任せた」


 あたふたとするルミアを見守りながら返事するレイルーシカ。


 俺はマジックバッグから取り出した鍋に水を汲むと、そのままスライムシーツのところまで戻る。


 魔道コンロが足りないので追加で取り出し、水を入れた鍋と油を入れた鍋の二つを加熱。


「綺麗に洗えたぞ」


 水が沸騰する頃合いになると、ザルを手にしたレイルーシカとルミアが戻ってきた。


「半分はレイルーシカさんオススメの塩茹でにしましょう」


「もう半分は素揚げか?」


「それもいいですが、少し衣をつける唐揚げはどうです?」


 せっかく唐揚げを作れる材料もあるので、食べ応えをプラスするために唐揚げで食べてみたい。


「素揚げでしか食べたことがないが、そちらも興味深い。もう半分は唐揚げとやらで頼む」


「わかりました。では、半分をお湯の方に入れてください」


「少し待ってくれ。塩茹で用に邪魔な鋏やヒレを落としておく」


 レイルーシカは自前の鋏を取り出すと、塩茹で用に沼シャコの鋏やヒレを落とし始めた。


 手早くカットをすると十二匹ほどお湯に入れてくれる。


 沸騰したお湯の中に入れられて沼シャコは蠢いていたが、やがて高熱で意識はなくなったようだ。お湯の中でぷかりと浮かび出す。


「あっ、綺麗な赤色になってきましたね!」


 そのまま数分茹でていると、沼シャコの甲殻が赤く染まってきた。


 こうして赤く染まった姿を見ると、美味しそうに見えるのが不思議だ。エビという前例があるからだろうか。


 そうこうしている間に、十分に油も温まってきた。


「塩茹での方は私とレイルーシカさんが見ていますね」


「助かります」


 塩茹での方は二人が担当してくれるようなので、それに甘えて俺は唐揚げに専念する。


 唐揚げの場合、鋏や殻なんかもバリバリと食べることができるのでカットはしない。


 しっかりと布で水気をとると、マジックバッグから取り出した片栗粉をボウルの中でまぶす。


 こういった内部に水分を保有している甲殻系は油が弾けやすい。


 被害に合わないように鍋の蓋を盾のように構えながら、静かに油の中に投入。


 衣のついた六匹の沼シャコが油の中でジュワアアアッとした音を立てた。


 静かな洞窟内に油の音が響き渡る。


「意外にも最初は静かな立ち上がり——うわっと! 危ない!」


 などと呑気に観察していたら沼シャコがパチパチと油を飛ばしてきた。鍋の蓋を構えていなければ確実に被弾していたことだろう。


「大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ。油がちょっと跳ねただけですから」


 一人で騒いでいたからだろう、ルミアから心配の声をかけられてしまった。ちょっと恥ずかしい。


 二人は既に茹で上がった沼シャコを食べやすいように剥いてくれているようだ。


 唐揚げもいいが、シンプルな塩茹での味も非常に楽しみだ。


 なんて考えながら揚げていると、第一陣の衣がすっかりと茶色く染まり、浮かび上がってきている。


 きちんと揚がっている証拠だ。それらをゆっくりとすくい上げて油切りの上に置く。


 第一陣を上げ終わると、第二陣となる六匹の沼シャコを投入していった。




 ●




「できましたよ!」


 沼シャコの唐揚げが出来上がると、俺は二人の待っているスライムシートの上へと向かう。


「待っていたぞ! 早く食べようじゃないか!」


 レイルーシカもすっかりとお腹が減っているようで待ち遠しそうだ。


 ルミアも口にはしないがいつもよりソワソワとしている。


 俺も二人と同じで腹ペコだ。


 靴を脱いでシートの上に上がると、沼シャコの唐揚げを載せた皿を置いて座り込んだ。


「では、食べましょうか!」


「うむ、まずは塩茹でからだ!」


 俺のそんな言葉に口々に頷くと、レイルーシカとルミアは塩茹でに手を伸ばした。


 俺もまずは塩茹でとばかりに綺麗に甲殻の剥かれてある沼シャコに手を伸ばす。


 エビのようでエビじゃない長細い独特な身の形。人によっては生理的嫌悪感が半端ない見た目であるが、この世界で数多の料理を目にして経験値の上がっている俺からすれば、そこまで大した見た目ではない。


 尻尾の部分を掴んで長細い身の部分を口に運んだ。


 口当たりはしっとりとしており柔らかい。似ているのはカニの身だろうか。


 エビよりも甘みとコクが強く、とてもジューシーだ。まるでエビとカニを同時に食べているかのよう。適度な塩で引き締められているので非常に食べやすい。


「美味しい! それに全然泥臭くない!」


 正直、このような沼地にいたので多少の泥臭さはあるものだと思っていた。


 しかし、食べてみると全くそのようなことはなかった。


「エビとは微妙に違った味です。酢漬けにしても美味しく食べられそうですね」


 確かにこれだけちゃんと味があってあっさりしていれば、酢漬けにしてもイケそうだ。


「だろう? 見た目はちょっとアレで忌避されやすいが、沼シャコは美味いのだ」


 食べ慣れているレイルーシカが豪快に身を食べながら満足げに言う。


 確かにこんな美味しい食材が身近に獲れるのであれば、シャコ獲りが上手になるのも納得だな。それくらいこの沼地に生息している沼シャコは美味しい。


 頭の方にあるミソも独特の苦みと旨みがあって最高だ。


「次は唐揚げを食べようかな」


「ああ、私もそれが気になっていた」


 塩茹でを食べ終わると、お次は唐揚げだ。


 俺は沼シャコの唐揚げへと手を伸ばし、頭から一気に食べた。


 茶色く染まった衣がサクッと割れ、その下にある頭がバリッと割れた。


 沼シャコのミソや殻ごと食べることができるため、沼シャコの味をより濃厚に感じることができる。


「——ッ!? これは素揚げよりも断然に食感がいいな!」


 初めて唐揚げというものを口にするレイルーシカも気に入ってくれたようだ。


 美味しそうに頬張っている。他人が食べていてもバリッと甲殻の砕ける音がして、非常に音が楽しい。


「塩茹でと違って殻まで食べられるので食べ応えも抜群です!」


 ルミアの言う通り、唐揚げであれば殻や脚まで余すことなく食べることができる。


 そういう点からすると、俺はどちらかというと唐揚げの方が好きかもしれないな。


「唐揚げとやらが気に入った! これはどうやって作るんだ?」


「小麦粉と片栗粉を水で溶いたものを合わせ、油で揚げるだけですよ」


「なるほど! 集落に帰ったら広めてやらねば!」


 そのように教えてあげると、レイルーシカは重大な使命を帯びたかのような顔で頷くのだった。







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こちら新作になります。よろしければ下記タイトルからどうぞ↓

『異世界ではじめるキャンピングカー生活~固有スキル【車両召喚】は有用だった~』

― 新着の感想 ―
[気になる点] まぁ、甲殻類の調理の描写。。。雑。自炊経験がないことがモロバレ(笑)
[気になる点] 海老やシャコを揚げる時は、尻尾の尖った部分の殻を取れば油が跳ねる事は少ないのですがご存知無いようですね
[気になる点] 地球のシャコは茹でても赤く発色しないのに 唐揚げフリッター?に平気で小麦粉やら片栗粉って単語を安易に使ってるあたりに もやっとします。 異世界のダークエルフ?小麦やら片栗知ったんやろ…
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