09 王太子フィル
神殿から連絡が来た。まさかのことが起こっていた。今回の番にアーネストが選ばれたというのだ。
一瞬胸に沸いた気持ちは妬み。それから妹が泣くと言う思い。だが、すぐに親友を祝福しようと思った。
本当にそう思ったのだ。それで妹のクロエが覚悟を決められるように、俺から話したのだ。
失敗だった。クロエの執着は想像より大きく、わがまま振りはそれよりも大きかったのだ。
大声で喚き、自殺すると窓から身を乗り出し、食事も取らずにベッドから出なくなったのだ。クロエに甘い父王はうろたえるばかりで、なんとかしろと言うばかり・・・・・
そこに追い打ちでマークの起こした事件の知らせがあったのだ。あぁ神殿に万が一アーネストが番に選ばれたら本人に連絡するまえに王室に連絡してくれと言って置いてよかった。お布施をはずんで良かった。
最悪の事だが、マークの問題を解決できるのはアーネストしかいない。とりあえず、アーネストを番に合わせない事が出来る。問題を先送り出来る。
これが問題解決にならない事はわかっている。いつかアーネストはマークを連れて帰って来るだろう。
そしたら番と出会い、二人は決して離れない絆を結ぶだろう。どんなにクロエが泣いてもたとえ王が命令を出しても番の絆を切ることは出来ない。
だけど、だけど奇跡が起きるかも知れない。なにか起きるかも知れない。
そして人の良いアーネストは、マークを迎えに行った。俺とあいつの母親に番の事を頼んで・・・
あいつの母親は番との縁より王女との縁を選んだのに、頼んで行った。すまん・・・アーネスト・・・・すまん
それがなんというか、アーネストの番は、なんというか、能力がないと聞いた。よりによってそんなものがアーネストの番だとは、それならクロエと結婚したほうがアーネストは幸せになるではないか。
俺のやったことは間違ってなかった。アーネストを救っていたのだ。
番は公爵家で飼い殺しにすれば良い。アーネストは番封じをつけてクロエと結婚すればいいのだ。
念の為に公爵家を新しくつくらせよう。クロエとアーネストの為だ。
そう思った俺は番についての公爵家からの報告を読むのをやめた。なんだよ、毎日侍女を虐めて贅沢三昧とは、馬鹿馬鹿しい。
たが、またひとつ問題が起きた。どうもアーネストの事を向こうの公爵令嬢が気にいってこちらに帰れないと言うのだ。
早馬の手紙だからこの後どうなったか、わからないが、なんとクロエがアーネストを迎えに行くと言いだしたのだ。
あーーーーどうしてこう、次から次へと問題が起きるのだ。
父上がクロエに負けそうだ。クロエに嫌われる覚悟で、クロエを止めよう。だが、父上の事だ。絶対俺を後ろから撃つ。
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