56 魔石を有益に
わたしの提案は、平民に?平民の家かな?すべてに水の魔道具を配り、魔石を支給することだ。
ブルーリードの家にいるとき、お風呂が不満で能力が出たけど、この国ではお風呂とか洗面所で水を不自由なく使えるって恵まれていると後で気づいたのだ。
小さい子供が水汲みをしているのを見たとき、驚いたけど一緒にいたガイツは奴隷の経験があるのに、あれを問題と思わないのが不思議だった。
水汲み。あの労働から開放されたら、次は学校を提案してみてもいい。 時間ができれば・・・字を知っていると仕事も違ってくるし・・・
わたしの提案を彼らは、すぐに理解できなかった。都会の隅に暮らす人々は単なる景色なのかな?
根気よく話すとわかりはじめたようで、賛成してくれた。
財源は魔道具に税金をかければ、魔石の支給を続けられるのではとだけ・・・後は官僚がなんとかするだろう。
そして、ウィルヘルムの即位を外国に広めるために即位式をやる事が決まった。
イースト皇国への使者はフィル元王太子が行く事になった。
お土産にあの『王都の思い出』『番が一番』のおもしろグッズが混じっているのは興味深い。確かに魔石で動く玩具で手軽に持ち運べる点は評価出来る。
そして研究塔の人たちは魔石が不足して頓挫していていた転移陣の研究を始めた。
その他にわたしが希望をだしていた下水道だが、各家に転移陣を設置して直接、浄化陣を設置した場所へ送れるよう研究が進んでいる。
確かに地下を通すより速い。無線?てことか・・・
気になっていたガイツ大好き女の家族は、行くところもないので、引き続き王城で暮らしているそうだ。
へぇーーと思っていたら、
「あいつら、魔石で意地悪しただろう?だから魔石なしでくらしているんだ」とアーネストが言っているが、水汲みとかしてるって事だよね。
それは、大変だよね。でもそれくらいの罰はいいと思う。でもウィルヘルムのお城に変なのを残すのは良くないと思うけど・・・
そしてわたしたちはウィルヘルムと一緒にお城に引っ越した。
お城の中は転移陣の、実験施設となりエレベーターの役目の転移陣などが作られている。
これはすごくおもしろい。庭園にでたり、鐘楼にあがったり。前の世界でも経験できないものだ。
そして今日はお城の庭園をアーネストと散歩している。
友達をやめたわたしたちは、少しいちゃいちゃしている。ちょっとびっくりしたが、アーネストはあずまやで、改めて真摯に詫びた後、改めてわたしへの思いを告げた。
わたしがうなずいた後、わたしを軽く抱き上げて膝に乗せると、
「やることが多すぎて、サミーと離れて暮らした。本当ならここから始めるのだ。順序が逆になった。
だが、サミー、番として出会うより深く君を知ったし、深く君を愛した。サミーも同じでいてくれるとうれしい」
「アーネスト、恨んでるんじゃないのよ。でもこの世界に来てからのことを聞いて欲しい」
「あぁ聞きたい。俺の知らないサミーがいるなんて嫌だ。全部知りたい」
わたしは、神殿の事をアーネストに話した。
奴隷三人に言わなかったあちらの世界の事、一人暮らしをしていた事にアーネストは驚いたようだった。
ときおりうなずいたり、ちょっと驚いた顔をする以外、アーネストは口を挟まず、黙って話を聞いてくれた。
「話してくれてありがとう。ガイツたちには、俺からもお礼をしないとね」とアーネストが言った。
アーネストはわたしを部屋まで送ると、
「俺の隣の部屋へ移って貰いたい。もう荷物は移してる」と言うなり、わたしを横抱きにした。
ドアを勢いよく開けると部屋に入り、わたしをベッドに横たえた。
「番だ。もう我慢できない」
ふん、番って便利な言葉ね・・・でも嫌じゃない・・・わたしはアーネストの首に手を回すと抱きしめた。
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