38 アーネストの話
ダンジョン見学はわたしとしては気がすんだ。あの大きな町に戻ってもいいが、帝国にも行ってみたい。
さて、アーネストに誘われたので、町のレストランへ出かけた。護衛としてレオンが一緒だが、少し離れている。
予約しているというレストランの個室に入った。前世でもこんな店は来たことがない。
この店に合わせて、まず服を買ってもらい、それから装身具も買ってもらった。
ちょっと甘えすぎ? 値段はわからないがこれくらいの出費はなんでもない人なんだろう・・・経済力はないよりある方がいい。だけど、お金ならわたしも持ってるからね・・・それほど重要じゃない・・・気持ちの問題か・・・こういう所が好きだ。
レオンは部屋にいるが、離れた壁際に立っている。
食事はとても美味しい。デザートを食べて紅茶のおかわりを飲んでいる時、
「サミー、わたしは君に打ち明けること。謝ることがある。聞いて欲しい」とアーネストが始めた。
番のこと? やっぱり駄目なんだと・・・苦い思いが込み上げたが・・・うなづいた。
「わたしの番はサミー、あなただ」
ぽけっとアーネストを見た。なんて言った?
わたしの番はサミー、あなただってなんて意味? 番って?番だよね。そうだった番としてこの国に来たんだ。
番・・・番・・・わたしは無意識に立ち上がった。
「なんで迎えに来なかったのよ!!」自分の口からでた言葉に驚いた。深呼吸して椅子に座ると
「どうして迎えに来なかったの?」ともう一度言った。
「そのことは謝るしかない。すまなかった」と立ち上がって頭を下げた。そして
「どうしてってことだな。それはマークが、あの時みたあの男。あっ覚えているのだな。そうあの男をイースト皇国へ迎えに行っていたんだ。無論わたしが行く必要はない。だが、押し切られて行ったんだ。
あの男の兄、王太子なんだが、そいつも母も番を大事に守ると言ったんだ。それで迎えに行った。途中から手紙とか贈り物を送ったが、君の手には渡ってないな・・・王太子も母も俺、わたしを裏切った。
もう、あいつらはどうでもいい。むしろ・・・いや、それで迎えに行けなかった」
そこでアーネストと一度口を閉じたが、まだ続きそうだったのでわたしは待った。
「あの店が会った時、あれ?どうして番がここにいる? って思ったが、そんなはずがないから・・・だが、なんとも収まらなくて、すぐ家に向かった。君がいると思って。母と侍女と話してから、神殿に行った。君にポーション作りを教えた人に会ったよ。かれは神官長だ。君に魔力があることを不思議がっていた。
鑑定士とは会ってないが必ず詳しく話を聞く。サミーわたしを許して欲しい。すぐに許せなくともそばにいることを許して欲しい」
番、番って知らなくてもわたしはアーネストに惹かれた。そうだ!番に会ったら
『あんたなんか大嫌い』って言うはずだったけど。言えない・・・
「お話は理解できましたし、アーネストが番って言うのも理解できます。あの家の息子さんですよね。神殿に迎えにきた女性がお母様ってことですね」
そういうとアーネストは苦い顔でうなづいた。
「今日はこれでお暇します。明日会えますか?」
「もちろんだ。迎えに行く」とアーネストが答えるとレオンがやって来た。
わたしはレオンと一緒に部屋を出た。
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