31 番の真実
「さて、少し親睦を深める為に世間話でもするところだが、時間もない。すぐに始めようかね」
「はい。そのポーション作りの道具を下さったそうで」
「あぁ、そうだね。作り方も教えたよ」
「それは・・・どうも」やはりあの彼女だ。
「わたしが教えられる事はそれだけだからな、それが彼女のポーションは思ったよりいい出来だった。魔力が豊富に含まれていた」
「それは?魔力はないと・・・」
「そう、鑑定士は彼女を能力がなく、魔力もないと鑑定した」
「なぜ?」
「わからない。彼がそう言うならそうなのかと思ったが、ポーションを作らせてみると魔力は豊富だった」
「多分、今回やって来たなかでは最大の魔力だ。君たちは不思議な事だらけだ。先ず公爵家のものが選ばれた。大抵、下位の貴族とか裕福な平民が選ばれている。迎えが来ない。魔力も能力もないと判定された。
君にちょっと聞きたいのだが、番が来ると思っていたかい?」
「はい、勿論です。異世界から番が来ると信じていました。まわりの者はそんなのは自分以外の誰かに起こる事だと思っていたようですが、わたしは信じていました」
「そうか」
俺と神官長は長く話し合ったが、
番が召喚されると国全体が豊かになるらしい。これはきちんと記録されているそうだ。
昔は番を得ようと多くの争いで起きて、巻き込まれた番が殺された事もあったそうだ。
解決したいと神殿が神に祈ったところ、番を保護する男性が指名されるように、今の形になったそうだ。
ただ、やって来た番のなかには召喚が不満で、暴れたり逃げたりするものがいたそうで、それを解決するためにその時の神官長がお茶を作った。それ以来問題は起きなくなったそうだ。
「それが、君たちと来たら・・・君はどう解決する?」
神官長が俺をみながら質問した。
「すぐに迎えに行きます。彼女を番と思いました。でも家で待っている番がそこにいるはずないと思い、抱きしめようとする自分を抑えました。わたしは番が一番と思っていましたが、間違っていました。彼女が一番です」
「なるほど、そういうものなのか?」
「神殿として彼女の扱いがひどかったのを詫びたい。解決したら一緒に訪ねて来て欲しい」
「それと番封じって言うのは神殿の金策で作っているものじゃから、役に立たんぞ。番は切れない。深い所で結びついているようだ。すったもんだした番同士も最後はくっついた。番封じというのは浮気防止には役立つだろうがな・・・
まぁせっかく来たんだから持っていけ。それとお茶だ。上手く使えばいろいろな面倒がなくなる。使い所を間違えるな」
俺は神官長に渡された包みを荷物に入れると、そのまま番の元へ出発した。
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