表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
番って便利な言葉ね  作者: 朝山 みどり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/62

30 番のもとに駆けつけない。何故?

「今、番が閉じ込められていた部屋を見てきました」部屋に入るなりこう言った俺に


「閉じ込められたなんて人聞きの悪い、ちゃんと侍女長が配慮して侍女もつけていたのよ。大事に守っていたのよ」


 と言った母上は


「我が公爵家に番は必要ないのよ。あの時はマークの事があってきちんと話が出来なかったけど、王女殿下との婚約の打診がまたあったのよ。


 どうしてもあなたを諦められないそうよ。そこまで思われたのなら、受けるしかないでしょ。番なんてものよりずっと有用な婚約よ。


 もう一度王家の血を入れたい所だったのよ。クロエだったら遊ばせておけばいいんだから、楽よ。そう思うでしょ?それにねあの番は能力も魔力もないと鑑定されたのよ。


 そんなのいらないわ。番って番同士だと重要だけど、他人から見てわからないでしょ。あなたも番に夢見るのはやめて・・・いなくなったし」と続けた。


「それに母上は関わってますか?」


「まさか、そんなことしないわ」


「そうですか。その番が行方不明になったのに探さなかったのはなぜでしょうか?」


「探したわよ。だけど見つからなかったのよ」


「そうですか?母上が見え透いた嘘をつくほど愚かとは思いたくありませんが・・・所で我が番の名前はなんと言うのでしょう」


「名前?・・・名など・・・」


「わかりました。もうしばらくここにいて下さい」


「アーネスト、待ちなさい!アーネスト」と言う母の声はドアを閉めると消えた。



 死ぬまでそこに居ろ。





 それから、俺は王太子に会いに行った。


「家で気になる事があった・・・番の面倒を母もお前も見ると言う約束でマークを迎えに行ったが・・・母から番の様子を聞いているか?」


「あぁ報告が来ているがひどいものだ」とファイルをよこした。


 散財してるだと?確認もなにもしてないな?こんなやつらの為に・・・・


「ほお、この報告は誰が書いたのか?母か?侍女長かな?」


「公爵家からの報告だと言う事は間違いない」とフィルはにこにこと答えた。


 俺はフィルのアホヅラを、睨みつけると


「ほんとに、ろくでなしだね」と言うと部屋を出た。





 その足で、俺は神殿を訪ねた。名前を告げると奥から上の者らしい神官が出てきた。


「やはり、ご不満が?」と言うのには答えず


「確認したいと思って」と言うと


「なるほど。これは本当に神の御技ですよ。お見せましょう。こちらです」


 神殿の主神像の後ろに石版があった。そこに俺の名前も書かれていた。本当に選ばれたのだ。


「番の名前もないのにどうして彼女が番とわかるのだ?」



「わかりません。番同士この人だとわかるようです」と言うと神官は少し笑い


「お宅様の番は能力のない番と言う、前代未聞の存在でした。誰が連れて行くか心配してたんですよ。そしたらちょうどお迎えがない、彼女が余りましたが、偶然です。番同士を組み合わせるのは神です。私たちはなにもしていません」


 ここで神官は口調を変えて、


「まぁ必ず優秀な世継ぎが生まれると言うのが番ですから、子をなした後は好きにお過ごしになればいいでしょう」


「まぁそうですか?所でポーション作りを教えてくれた人は神殿の人ですか?」


「あぁ、神官長が教えたようです」と神官が答えた。


「そうなんですか」と相槌を打つと


「道具を貰ったのはいいけど、ヒーヒー言いながら持って行きました。おや、仮にもあなたさまの番に失礼なものいいですね。謝罪いたします」



「いえ、お気になさらずに」と答えた。それから



「神官長はどちらに?」と訪ねると、彼は一瞬ためらったが、


「庭の奥にいます」と言った。それから


「それでは、これで失礼します」と足早に去って行った。



 案内しないなら、勝手に探そうと俺はぶらぶらと神殿の奥に向かって歩いた。


 ポーションを作るなら薬草のある所かなと歩いていると、庭師らしき男が作業している。


 その男の近くを通りすぎる時、声をかけられた。


「君が番かい」


「あぁそうだ」と答えた。



「いつ来るかと思っていたが、やっと来たね」


「あの子にポーションのつくり方を教えたのはわたしだ。神官長だ」


「番を迎えに来なかったアーネスト・ブルーリードだ」


 神官長は俺を見て笑うと


「こちらへ」と言うと歩き出した。





いつも読んでいただきありがとうございます!


誤字、脱字を教えていただくのもありがとうございます。

とても助かっております。

楽しんでいただけましたら、ブックマーク・★★★★★をよろしくお願いします。

それからもう一つ、ページの下部にあります、「ポイントを入れて作者を応援しよう」より、ポイントを入れていただけると嬉しいです。


どうぞよろしくお願いいたします。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ