17 アーネスト・ブルーリード
やっと皇国を出られる。馬を飛ばして行ったのに待っていたのは、公爵家のいけすかない女だった。
謝罪の為にその女に付き合い、昼間は馬に二人乗りでピクニック。夜は夜会でエスコート。散々な目にあった。
あげくの果ては媚薬まで使われた。冗談じゃないと思っていたら、なんとクロエが、王女殿下がやって来て公爵家の女。名前はえーーと、ローズ。そう、そいつとやり合い始めた。
どちらも俺と婚約してるとか言いやがって・・・・・
俺は皇帝に直談判して、マークとクロエと一緒に国を出た。王女殿下は面倒だから、だって一人で来たんだから一人で帰れるでしょ。だから置いて行こうと思ったが連れて帰るように皇帝からきつく言われた。そうじゃないと公爵家のローズをつけるとか言うのだ。
ちょっと皇帝に同情した・・・・・姪っこだそうだ。大事な姪は手元に置いておけ。
あの兄妹は競争で俺が困る事をやってくれる。
昨日は宿の枕が気に入らないと、王女に呼びつけられた。腕枕をしろと言うのだ。
侍女は俺と目が合わないようにあっちを向いている。俺はのんきに寝ているマークの首根っこを掴むと、ひきずって王女の部屋へ連れて行ってベッドに放り投げた。
兄妹仲良くしてくれよ。
中で言い争う声がしたが、護衛に絶対ドアを開けるな。開けたら俺はこの足で宿を出ると脅した。俺の本気がわかったのか護衛は、ドアを開けなかった。
翌日、俺は二人を前にはっきりと言った。
「俺は迷惑ばかりかけるあなたがたの、側近でもなんでもない。ただの知り合いだ。友人だと言うのか?友人は迷惑をかけて平気なのか?何回目だ?
俺は番を得る事になった。その番を置いてマークを迎えにきた」
「なんだって番?」とマークが仰天して叫んだ。
「そうだ。あなたの負担になるかと思い、黙っていたが、そんな気遣い気が付くはずもないよな。
我慢しても無駄だった。二人揃って迷惑ばかりだ。もう嫌だ」普段は押し殺している本音をバンバン口にする。
「王女殿下、わたしはあなたと結婚する事はできません。勝手な思い込みは迷惑です。
マーク、いい加減にして下さい。部屋で寝ている時間に酒場でけんかとはどういう事ですか?
あなたの正体を隠すのにどれだけ苦労したか・・・・側近の皆様もおかしいです。お目付け役二人にも迎えに来て貰っています。どれだけ迷惑かけたら気がすむのですか?もううんざりです」
俺が言い終わると王女がわーーと泣き出した。そして俺に抱きつこうとしたので、あわてて避けた。
「いいですか。あなたがたと旅はいやです。ここでお目付け役を待ちます。なにかあれば護衛と側近の責任ですからね。心するように」と側近に向かって言い、続いてマークに
「妹を慰めろよ」と言った。そして、
「二人を部屋から出すな」と護衛に命ずると部屋を出た。
それから、宿に聞いていた宝飾店に行った。
番の容姿について、なにも情報がないが、番がつければなんでも素敵になるのだ。俺は髪飾りを選ぶと包んで貰った。
それを届ける手配をすませると、小物の店のウインドウに飾ってあったブックカバーが目に入った。
それを買うと追加で荷物に加えて貰った。
この髪飾りをつけた彼女が、俺の帰りをこのカバーをつけた本を読みながら待つ光景を想像した。
なんて幸せな未来だろう・・・・・
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