15 大きな町で
わたしたちは、大きな街道が交差する町に落ち着いた。ここはまわりの国の共同統治らしくギルドが管理している町だ。
町外れの小さな家を借りて、ポーションをギルドに卸し、高めのポーションを自宅で売ってのんびり暮らしている。
この町は人が流れて行く所なので気にすることなく、ギルドの大掃除の時の武器、鎧を適当な店で売った。
そしてわたしは家事担当の奴隷を探している。
お金も溜まっているので何度か奴隷商に行ったが、希望している奴隷は見つからなかった。
そんなある日、町の近くの景色が綺麗な湖に行こうと街道を歩いている時、野営をする広場で奴隷市が開かれていて、死にかけた奴隷を見つけてしまった。そして死にかけているから安かった。
彼の扱いは酷くて、テントの外に杭を打ってそこに足枷が鎖でつながっていた。
「あれは貴族ですね」とレオンが囁いた。
「犬とか付いてないよね」とチャーリーを見ながら言うと
「それはないようですね」
「強いかな?」
「それなりに」
「料理できるかな?」
「どうでしょう」
「その人、手当しないの」と店番の男に聞くと
「そいつは厄介物だから、ほったらかしだし、飯を食わせてないんだ」
「死ぬのを待ってるの?」
「そうだ。魔力を封じられた魔法士なんて役立たずだ。水汲みもできない」
「魔法士ってたくさん勉強っていうか修行してる人?」
「そうだな。だが封じられているぞ。腹に魔法陣がついてる」
職業魔法士・・・・いいじゃん。当然安いよね。
金貨五枚と言うので
「五枚?」と驚いたら、ちょっと悲しそうな顔になって
「四枚。食費くらいは欲しいかな。だめ?」と上目つかいをされた。やめろ。おっさん・・・・それに安くて驚いたんだから・・・だけど
「買うよ。着替えはある?靴も履いてないね」と聞くとため息をつきながら
「つけるよ」とおじさん。
おじさんいい人だね。
チャーリーが「ワン、ワーン」と鳴いた。
手続きが終わるとぐったりした奴隷をレオンが担いで、町に向かった。程よい所で街道を外れた。
奴隷の口にポーションの瓶を突っ込むと、なんとか自力で飲み込んだ。自力で飲めなかったらレオンに口移しをさせようと思っていたのに少し残念だ。
飲んでしばらくすると、男の意識が戻った。それから残りを自分で飲んで貰い、お弁当を食べさせた。
「ワオ」の声でチャーリーにも少し食べさせた。
少し男の顔色が戻ったので、水を出して体を洗うように言いつけた。
「サミー様、わたしが面倒を見ますので、もう一つ水を出して下さい。そしてサミー様はチャーリーと一緒にあちらでお弁当を食べていて下さい」とレオンが言うのでわたしは、少し離れた所でお弁当を食べた。
「サミー様お待たせしました」と声をかけられて振り向くと、奴隷が片膝ついていた。
「サミー様。救って下さいました事、感謝申しあげます。わたくしの忠誠はサミー様の物です」
と言うのに
「ありがとう。期待してます。名前は?」
「名前はサミー様が」
「奴隷って本当に名前を買い手がつけるの?もともとの名前を使いたいってことはない?」と言うと
「名前はご主人様に与えて欲しいと思います」と返ってきたので
「ガイツ」
「ガイツ・・・・ありがとうございます」
「ガイツ立って」と言うと立ってもう一度頭を下げて来た。
それから少しふらつくガイツをレオンが助けながら、家に戻った。
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