12 王女 クロエ
お兄様がとんでもない話を持って来た。なんとアーネストが、番に選ばれたと言うのだ。
まだアーネストには知らせてないと言うからちょっと安心だ。アーネストは子供の頃から番っていうのに憧れている。選ばれたのを知ったら、なにもかも振り捨てて番を迎える準備をするだろう。神殿の門前で寝ずの番くらいやりかねない。
「聞いてクロエ、僕に番が来るんだ。ずっと待ってたんだ。夢が叶う。夢が現実になる。あぁ素晴らしい。どんな人だろうね。あぁ僕の番」とか言うに違いない。
だめよ。あなたはわたしと結婚するのよ。わたしだって子供の頃から願っていたのよ。アーネストのお嫁さんになるって・・・・・決して逃さない・・・・
泣き喚いていたらお父様がお兄様へなんとかしろって、言ったのよ。そうよ、お兄様だもの。なんとかしてよね。
そうしていたら、アーネスト様はマーク兄様の用事で遠くの国に行く事になった。マーク兄様なんてほっといていいのに!!いやだと言っていたけどアーネスト様の番は文句言わないって説得されて旅立って行った。ほんとに人がいいんだから。やっぱりわたしがそばにいないとみんなに利用されてしまうわ。
今日も公爵夫人から連絡があった。アーネスト様が番に送って来たお手紙と贈り物を受け取りに行くの。
本当だったらわたしが、受け取るものよ。それをあのみすぼらしい番が・・・・
聞いたら番は能力もないって。そんなのにアーネスト様は勿体無い。
一度、図書室に行く所を見かけたけど、みすぼらしい格好をしてた。
あんなの、一生、公爵んちで番を待っていればいいのよ。
アーネスト様が戻って来るのを楽しみに待っていたら、とんでもない連絡が来た。
お兄様がお父様に話すのを盗み聞きしてよかった、あの国のあばずれがアーネスト様を狙っているって・・・・・冗談じゃない。おまえなんかアーネスト様を見る資格もない・・・・・わたしが行ってピシッと言ってやらなくては・・・
気がついたら執務室に入っていた。
「お父様、わたしが行ってアーネスト様を助けます。あばずれに手出しさせません」
お父様もお兄様のわたしの勇気に感激してなにも言えなかった。
さぁ決めなさい。すぐに手配しなさい。アーネスト様待っていて!
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