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ゲームプランナー転生 異世界最強の魔道士は企画職  作者: 自転車和尚
第五章 忘れられた王国編

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273 シェルリングディナー

「ではこれからシェルリング王国流の馳走を致しますね」


「……うわぁ……豪華ですねえ」

 お茶の後、食堂へと移動した俺たちはトニーが言うところの「シェルリング風おもてなし」である、豪華な食材をふんだんに使った色とりどりの料理がこれでもかと言わんばかりに並べられていた。

 シェルリング王国は大陸における最北端に近い場所に建国されたこともあって、元々は食材はそれほど豪華ではなかったそうだ。

 しかし……海賊などを生業としていた王国建国時の戦士たちは、大陸各国へと海路を使って交易を行なっていった。

 その中で王国には無い食材、技術を持った人間などを連れ帰ったことで文化が花開き、北方文化の礎となったとされている。

「やはり魚が多いんだな」


「そうですな、サーティナ王国は内陸の国でしたっけ……すると魚はあまり食さないですか?」


「ああ、でも俺は大丈夫だよ……むしろ好みだと思う」


「そうですかそうですか……ささ、ビュッフェ方式なので取ってください」

 まあこれも日本人としての性だろうか? 生まれ故郷であるサーティナ王国では肉や豆などの料理が多く、魚は輸送中に腐ってしまうから、という理由でほとんど無く川魚であればかろうじて釣りをすることで手に入れることができたが、小さなものが多かった記憶がある。

 父母は魚をそもそも食べなかったし、本格的に魚料理を目にしたのは聖王国に移動してからだったな……あそこには大陸でも有数の巨大な港があって、海の魚を豊富に摂ることができたかららしい。

 そんな俺の言葉に驚いたのか針葉樹の槍(コニファー)は意外なものを見ているような表情で話しかけてきた。

「王国人だと魚は本当に嫌がる人が多いのだがね」


「食べ慣れていない食材を口に入れることを好まない人が多いだけだよ」


「君は慣れていると?」


「ええ……聖王国でも食べましたし」

 俺は早速受け取った皿に思い思いの料理を取り始めている仲間たちへと視線を向けるが、その視線に気がついたのかアドリアが少し気恥ずかしそうな表情を浮かべたあと黙って頷いた。

 アドリアは見た目によらず結構な量を食べるため、手に持った皿には料理が山積みになっている……もちろん海鮮だけじゃない、肉や野菜など独特のソースなどが掛かったそれらはここのところ保存食などで食い繋いできていた俺たちに取っては久々のご馳走なのは間違いない。

「そういえばクリフは生の魚も食べようとしてたよね」


「……昔の話だよ」


「そうだった……クリフ殿が普通に食べようとしたので店主も含め皆で止めましたっけ」


「あれももう数年前ね」

 アイヴィーとトニーが昔の話をし始める……聖王国魔法大学時代に、四人で食事に出かけた際のことだ。

 その時俺は無性に魚が食べたいという気分になっていた、当たり前だけど前世が日本人だったこともあって俺は「刺身」が食べたくて仕方がなかったのだ。

 聖王国では魚料理が食べられる……その中には生の魚を出すことがあるかもしれない、という期待感から俺はとても期待しながら食堂にいったことを覚えている。

 そこに出てきたのは調理された魚ばかりで「生魚が食べたい」というリクエストをしたんだよな。

「あの時の店主の顔覚えている?」


「すごい剣幕で怒られましたな『南の魚は生では食べられない!』って」

 魚には寄生虫がおり、火を通すことでそれらを殺して食べられるようにする、という当たり前のことを俺はすっかり失念していたのだ。

 前世の日本では生の魚は冷凍処理することで、身に巣くっている寄生虫を殺すことで、生でも安全に魚を食べられるようにしているのだが、この世界ではそんなことはしていない。

 北方でははらわたを抜いた魚を雪の中に沈め、身を凍らせてから調理するなんて料理が存在するらしいが、それでも一度火で炙るのは当たり前なのだ。

「……どんな味がするのか食べてみたかったんだよ」


「でも王国人としてはかなり珍しいですよね、魚が好きって」


「美味しいと思うんだけどね、でも王国はほら牧畜とかが盛んだから」

 サーティナ王国の料理は基本質素だったな……肉と豆、あとは芋などの料理が多くいざという時に保存食になりそうな食べ物だらけだった記憶がある。

 その点帝国は食材を豊富に仕入れたり、何らかの技術で長距離輸送していたりと食事は本当に豪華だったので、王国との格差を感じたものだ。

 しかし……今いるブランソフ王国は海が近いとはいえ、ここまで豪華な料理が出せるような国ではなかったと思うのだが。

「この食材はどこで仕入れているんだ?」


「ブランソフ王国の中で仕入れますよ、国から輸送できるのは香辛料とかですね……なのでこれも多少味が異なります」

 トニーは焼いた白身魚にオレンジ色のソースがかかったそれを、一切れフォークを使って口に運ぶが何度か咀嚼した後に黙って違うとばかりに首を横に振った。

 おそらくシェルリン本国で食べるものと味の差が相当にあるのだろうか、軽くナプキンを使って口を拭ったトニーは少し寂しそうな表情を浮かべてから俺へと微笑んだ。


「これも本来はもっととろけるような味なのですがね……この国の食材は鮮度も味も数段落ちるようです、ただ今できる最高の料理だとは自負しておりますよ」


_(:3 」∠)_ 日本人なら魚食いたくなるよね、特に刺身


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