234話 ヘルゲート
「轟雷号浮上!」
「轟雷号浮上します」
ジェームズさんの号令に、時田さんがそう答る。
「飛空石に魔力供給」
時田さんがそう言いながら、操縦席の近くのレバーを倒すと、轟雷号が
ふわりと浮いた。
「着陸却収納」
時田さんがそう言いながら、操縦席のパネルのスイッチを入れる。
今、まさに轟雷号が、ブレイブ基地から発進しようとしているとこ
ろだ。
轟雷号ブリッヂのキャプテンシートには、ジェームズさんが座り、
キャプテンシートの両脇にある副官用シートには、ソフィーの父
エドモンド王とシュイの父、カカ皇帝が座っている。
そして、キャプテンシート前にある2つの席に俺とソフィーが座
る。
俺は、左側のエンジン出力の調整する席で、ソフィーが右側のエ
ネルギー充填する席。
で、正面の操縦席には時田さん、その隣の武器担当席には、α(アルファー)
チームのヴァンスさんが座ってる。
そして、左壁側のコンピュータの解析席には、時田さんの部下の
伝説のハッカーでもあるパーマーさんが座り、右壁側のレーダー及
び通信担当席には、シュイが座る。
(今回、シュイの席はあまり意味ないけどね)
轟雷号は、今ゆっくりと浮上を初め、空中で待機中のオブリヴィオンの船の
”ギラン”の横に並んだ。
それを見た、ソアラねぇーちゃんは、ジェームズさんの肩から降りて、背中
の羽を”パタパタ”させて、ブリッヂ中央に進むとこう叫んだ。
「ワープゲート!」
すると、前回同様、前方に大きなブラックホールのような黒い大きな渦が発生
する。
「魔動エンジン起動!」
「魔動エンジン起動します」
ジェームズさんの号令に俺が答えエンジンを起動する。
「セイルを格納!」
「続いて、セイルを格納します」
ジェームズさんの号令に時田さんが復唱しながら操作すると、俺達がいる
ブリッヂがゆっくりと沈んでいき、本体に格納された。と同時に、操舵席
前の窓にモニターパネルが降りて来て、すぐさま外部カメラからの映像が
映し出される。
「メインエンジン点火!」
「メインエンジン点火します」
と時田さんの復唱と同時に、”キュルキュルキュルゴー”
「全艦発進!」
「轟雷号発進!」
≪ギラン発進!≫
ジェームズさんの号令に復唱する時田さんと、念話で復唱するソンブル翁。
轟雷号と”ギラン”の2隻の船は静かに黒い大きな渦に入っていった。
◇◇◇◇◇
「What the hell is that?(なんだこれ)」
キャプテンシートに座るジェームズさんが、スクリーンに映し出された
それを見て思わず叫んだ。
俺も、他のみんなもその光景に絶句する。
ソアラねぇーちゃんが作ったワープゲート抜け、轟雷号と”ギラン”
(俺達)の前に現れたのは、直径十数キロの巨大な魔法円。
「でっ……デカイ」
空の魔法円を見た俺の正直な感想が、俺の口から洩れる。
超巨大魔法円は、外側と内側の円が、それぞれ反対に少しずつ回っ
ているようだ。
「あそこの▼と▲が合った時、奴らは出てくるからねぇ~」
と、ソアラねぇーちゃんが無邪気に言う。
その言葉に俺達は、魔法円の三角の印を見た。
外側の大きな円に▼の印、内側の小さい円が▲で、動きから言って、
後数分でその印が一致しそうだった。
「セイルを上げろ!」
「セイルを上げます」
ジェームズさんの号令に時田さんが復唱しながら操作すると、俺達がいる
ブリッヂがゆっくりと本体から、せりあがると同時に、モニターパネルが
上がり、操舵席前の窓にモニターで見た大きな魔法円が見えた。
「全艦!第一種戦闘配備!」
ジェームズさんの号令の下、シュイが艦内放送で轟雷号内の全クルーに
向け言う。
「総員!第一種戦闘配備!」
と同時に、アニメ”宇宙戦艦ムサシ”の警戒音が轟雷号内に鳴り響いた。
「Mr.セイア、Missソアラ準備を!」
「はい!」
「アイアイサー」
ジェームズさんの言葉に、俺とソアラねぇーちゃんが軽く敬礼して、
ブリッヂを出て行った。
◇◇◇◇◇
「 チェインジング!(Changing)」
俺は、轟雷号の甲板の上に立ち、変身した。
俺がガイ・ブレイブの姿になったのを確認したソアラねぇーちゃん
は……。
「フェード・イン~」
俺の胸のあたりで、くるりと背中を向け俺の中に入ってきた。
続いて、ユニコーン、フェニックス、ヴァイスデルフィンの3つの支援機を呼び
出し叫んだ。
「こい!聖神合体だ!」
3機の支援機にそう叫ぶと……。
各3機の支援機は光の球に変わり、俺と1つになる。
そしてその光が一段と明るく、巨大化し……。
「完成!ギガ・ブレイブ!」
身長18mの巨人の姿へと変身したのだった。
背中の折りたたんだフェニックスの羽を伸ばし、ジャンプする。
と同時に背中のバックパック部分から噴射し、轟雷号から離れ飛行する俺。
その間に、轟雷号の横に並んでいた”ギラン”は、轟雷号の後方へと下がる。
”カチ、カチ、カチ”
”カチャ”
魔法円の▼と▲が合う。
すると、魔法円が消え、大きな大穴が空中に開いたかと思うと、その大穴は、
一瞬、眩い光に包まれた、次の瞬間、暗黒の穴へと変わる。
そして、そこから大穴いっぱいに大きな黒い球のような物体が出てくる。
外周おおよそ30Kmあろうか……。
"ピッ”
≪名称不明≫
≪レベル不明≫
≪戦闘力 不明 ≫
≪防御力 魔法攻撃無効 ≫
≪スピード 不明 ≫
≪EP 不明 ≫
≪特徴 アンチマジックシールド ≫
俺を含む全員の脳にそう浮かんだ。
(魔法攻撃無効って……)
俺がそう心で思うと、
≪そう、ギガ・ブレイブの右掌から発生させる、アンチマジックシールドと
同じ原理の物よ≫
とソアラねぇーちゃんが俺に、念話で説明する。
≪それじゃ~≫
と俺も念話でねぇーちゃんに聞き返すと……。
≪そうよ、ギガ・ブレイブの武器も、轟雷号の武器も効かない
……ってことよ≫
ギガ・ブレイブ自体も武器も、元々は魔法でできている。
そして、轟雷号自体は、魔法ではないが、そのほとんどの武器は魔法。
≪それだけじゃないの≫
≪それだけじゃない?って≫
≪エネルギー兵器つまり、”ギラン”の武器の陽電子ビーム砲も無効になるのよ~≫
≪あっ、だから……現代兵器!?≫
≪まぁ、そう……なんだけど今は使わない≫
≪今は使わないって……そんじゃどうするだよ≫
俺の質問に俺の中で”ムフフッ”って笑い。
≪ジェームズ~用意してぇ≫
≪ああ、わかった!≫
ねぇーちゃんの念話に、そう念話で答えるジェームズさん。
≪艦首対消滅弾発射用意!≫
ジェームズさんが、キャプテンシートから支持する。
≪艦首対消滅弾発射用意に入ります≫
時田さんの隣の席のヴァンスさんが、そう答えると、轟雷号は”消滅弾の発射体制に入る。
≪でも……”消滅弾”も魔法……じゃないのか?≫
と俺が念話で聞き返すと、
≪まぁ、見てなさいw≫
とだけ、言うソアラねぇーちゃん。
(まぁ、……)
俺は心でそう思いながら、黙った。
≪魔力エネルギーを反物質に変換!≫
と時田さんのセリフの後、ヴァンスさんの
≪変換率70……85……100≫
カウントが続き、次に、ジェームズさんが
≪時田!轟雷号の操舵をヴァンス渡せ≫
と言うと、時田さんの
≪渡しました≫
の声に、
≪よし!≫
とヴァンスが小さく頷くと、
≪ターゲットスコープオープン≫
≪誤差修正、右にマイナス2度……≫
≪目標!軸線上に乗った!≫
と今度は大きい声で言と……。
急に、ねぇーちゃんが叫んだ。
≪聖霊力ビィ―――――ムゥ~!≫
すると、俺の目から光線が出て、一直線に外周おおよそ30Kmの黒い球に向
かう。
そして、
”ピシャ~”
って、ビームがその大きな黒い球に当たった瞬間、その黒い大きな球体の一部に穴が開く。
この武器は、唯一、ギガ・ブレイブの中で、聖霊力を魔力に変換せずにダイレク
トで、聖霊力を行使している武器……って言ってもなぁ……もう少し、ましなネー
ミングなかったのかな?
≪えっ!?≫
俺がそう声に出すと次の瞬間!
≪対消滅弾発射!≫
って言いながら、消滅弾発射用トリガーを引くヴァンスさん。
すると、轟雷号の艦首のドリル部分が飛んでいき、マジックシールドに包まれ
た黒い球体に開けた穴に……今まさに命中……って誰もが思った瞬間!
その開いた穴から、大竜巻が現れ、ドリルを包み込んだ。
≪えっ!≫
≪えっ!≫
俺とねぇーちゃんが、そう絶句する中、ドリルを包み込んだ竜巻は……。
包み込んだまま、球体に変わり、暴風の球となる。
そして……。
”ボフッ”
と鈍い音と共に、一瞬大きくなったが……やがて静かに消えていった。
その光景に、俺の中にいるねぇーちゃんが叫ぶ。
≪うっ、そ~ん≫
そして次の瞬間、大きな黒い球体の、俺が、開けた大きな穴から出てきたのは
……。
"ピッ”
≪名称プルウイルス≫
≪体長 40m≫
≪体重 2,450t≫
≪レベル不明≫
≪戦闘力 700,000≫
≪防御力 860,000≫
≪スピード 10,000 ≫
≪EP 2,000,000≫
≪特徴 天候を操れる(暴風、雷撃等)
強固な鱗を強風に乗せ攻撃等 ≫
体長40mの大きなドラゴン。
全体的に青緑掛かった体色で、紫色の斑点があちらこちらにあり、形は所謂
、西洋のドラゴンって感じ。
この数値を見て、ソアラねぇーちゃんがびっくりしたように言う。
≪あっら~予想より強くなってるわねぇ~≫
≪ふん、猪口才な……同じ手が2度も通用するか!≫
(へっ!ドラゴンが念話してきた!)
驚く、俺……だけでなく、ソアラねぇーちゃん以外のみんなも驚いていると思
う。
≪その声は……ピヤー……?か≫
とアロガンが言う。
≪その声は……アロガンか!?≫
とプルウイルスが聞き返すと、アロガンが、
≪ああ≫
と答えた。
≪お前、まだこざかしい人間の味方をしているのかぁ~?≫
≪おお、そうだ≫
≪何故だ!人間どもは、そのことを知らぬどころか、帥達を魔王扱いして
おるではないか?≫
≪定めだからな≫
≪定めぇ!……その定めと言うのは、そこの老い耄れが決めた
定めだろうに≫
≪それでもだ≫
≪健気よのう……ならば死ねぇ!≫
そうアロガンに言うと、プルウイルスは自分の周りに竜巻を起こし、その渦をどん
どんと広げて行く。
それを見たソンブル翁は、自身の乗る”ギラン”を轟雷号の前に出し、円盤上部
にある陽電子ビーム砲を放った。
”ピーッ”
しかし、その暴風の輪はそれを弾く。
≪なんじゃと!≫
驚く、ソンブル翁にプルウイルスが不敵に言う。
≪ただの暴風ではないわ!≫
≪なんと!≫
≪その暴風の中には我の鱗を飛ばしておる……この鱗はアダマイト鋼より強固
なしろものよ≫
その間にもプルウイルスは暴風の輪を広げて行き、”ギラン”と轟雷号に迫る。
(”ギラン”と轟雷号が危ない!)
俺はそう思い、咄嗟に放つ!
≪聖霊力ビィ―ム~!≫
”ピシャ~”
って、ビームがその暴風の輪に命中すると……。
”ボワッ”
って感じで、暴風の輪が七色のシャボンに代わり消えた。
≪なっ…何もんだ~貴様~!≫
驚き、俺を見て言うプルウイルスに俺とねぇーちゃんは声をそろえて言った。
≪≪通りがかりの勇者と聖霊ですw≫≫
と答えるのだった。
聖霊力ビーム=光子力ビームのオマージュです。
少々ダサいとは思いましたが……何となくこれにしました。




