228話 ”撃心流本家”家督相続の儀
部屋を出て行くソンブル翁達を見送った後、俺とミオンが座るソファーに皆が
集合した。
4人掛けのソファーが四つ。
ミオン、俺、ソフィー、シュイが座る左側のソファーには、エドナさん、ゲキ、
クレアさんにローゼが座り、反対の右側には、ニールさん、櫻ばーちゃん、
シノブにアイーシャさんが座り、俺の向かい側には時田さんとジェームスさんが
座った。
テーブルの上にはソアラねぇーちゃんが立ち、自分の背丈の半分もあるアイスクリ
ームの入れ物の上に乗る大きな(ねぇーちゃんにとっては)アイスクリームに顔から
突っ込んでいた。
”ウギュッ”
「あらら、ねぇーちゃんお行儀悪い」
そう言いながら、俺はテーブルのナプキンを取り、ねぇーちゃんの顔を拭いてやる。
「へへへw」
悪びれもなく、満面の笑みのソアラねぇーちゃん。
「子供の時から、一度はやってみたかったんだw」
そうのたまわるので、
「今から大事な話をするんだから、しばらくおとなしくしてようね」
って優しく俺が声を掛けると、
「ハーイw」
と素直に言いながらその場に座り込んだ。
(よしよし、いいこ)
気を取り直して、ジェームスさが、しゃべりだした。
「結論から言うと、こちらが用意できるのは、保管兵器となっている第四世代の
戦闘機2機と、同じく保管兵器になっている戦車2両だ。」
と俺達に言うジェームズさんに、シノブが聞いた。
「じゃ、Daddy!トムキャットは!?」
と前のめりの我が息子の言葉に、
「んっ!……トムキャット……あれがいいのかシノブ?」
と聞き返すジェームスさんに満面の笑みで頷くシノブ。
「まぁ、お前が言うならそれにするか」
とシノブに答えると、シノブは立ち上がり、ジェームズさんに抱き着きながら言う。
「愛してるよDaddy」
そんな息子に、肩をポンポンんと叩きながら
「私も愛してるよ~」
そう言いながら、シノブを元の席に着席させた。
「ただし、一つ条件がある」
唐突に言い出すジェームズさん。
「「「「えっ!!!」」」」
その言葉に驚く俺達に、今度はにっこり笑い
「私と、アルファーチームも参戦することを許可願いたい」
と言いながら俺達にウインクするのだった。
◇◇◇◇◇
ジェームズさんの協力を得て、戦闘機2機と戦車2両を得ることができた。
この現代兵器が、魔法を使う魔人やドラゴンにどの程度通用するかは不明
だが……。
閑話休題。
今、部屋に居るサングラスを掛けた黒服達が中央にあるソファーとテーブル
を退け、畳を持ち込み引いているところだ。
これから、”撃心流本家"家督相続の儀なるものが行われる。
ゲキに”激心流免許皆伝”と合わせ、”撃心流家元"をゲキに継がせるための儀式
で、斬馬刀の授与と下峠家に伝わる対妖戦の甲冑の授与式的な儀式が行われるら
しい。
そのため、今、ゲキと櫻ばーちゃんは奥にある4つのベットルー
ムのうちの1つでお着換え中だ。
ゲキはすでに斬馬刀を持ってるのでは……って俺も思ったんだけど、今ゲキ
が使っている”斬馬刀村金”は撃心流開祖の下峠一刀斎の弟子が作った代物ら
しい。
本来は”斬魔刀村金”と言い、人と戦う武器では、なかったということだ。
で、ゲキが18歳の誕生日を迎え、かつ、撃心流の気功術をすべて扱える
ようになったら、家督相続の儀と言うことで、”斬魔刀村金”と”対妖魔戦の
甲冑”避来魔”の授与を櫻ばーちゃんは考えていたらしいが……。
今回は、魔人や魔王と戦うと言うことで、前倒しの授与になったとのこと。
ただ、前倒しにしても、本来ゲキの誕生日は、11月27日で、その日に
するつもりだったが、ソフィーが拉致られたりしたんで、今日のこの日にな
った訳。
8畳ほどの畳の上に、裃姿のゲキと、留袖姿の櫻ばーちゃんが対峙して正座して座る2人。
その左右の畳の外で俺達は椅子に座って見守った。
本来であれば、俺達も畳の上に正座して座らなければならないのだが、
異世界組やジェームズさん達が、正座に不慣れってことでこのこの形を
取った。
櫻ばーちゃんの左に”斬魔刀村金”が縦に”太刀掛け台”に立て掛けら
れており、甲冑の”避来魔”は右側に置かれていた。
”斬魔刀村金”は、2尺5寸(刃渡り75cm)、今使ってる斬馬刀より
かなり短いってか、これが普通サイズなんだけどね。
(それでも、昔の刀よりは少し長めらしい)
金色のさやに金色の鍔、柄は白色で、金糸で装飾されていて、柄頭も金色。
そして、鞘と鍔には鎖が架かっている。
(これどうやって抜くんだろう?)
甲冑は所謂、赤ぞろえ的な色で、赤と言うより朱色に近いかも……。
そして、兜の前立には、金色の三日月の飾りが施されていた。
この甲冑が赤と言うか朱色なのは、何も、目立つためではなく、魔物や
妖の術除けのコーティング剤が塗り込まれているためだとか。
(……一種のビームコーティング!?のようなものなのかな?)
「では、ゲキ……」
櫻ばーちゃんは、真剣な表情で、ゲキに言うとゲキは黙って頷いた。
櫻ばーちゃんはそれを見て、自身の右側にある”太刀掛け台”に立て
掛けられた”斬魔刀”を台ごと、”スー”っとゲキの前に滑らせるように
置いた。……そして、
「抜け!ゲキ」
その櫻ばーちゃんの言葉に、ゲキは自身の目の前にある”斬魔刀”
を左手で取り、右手で使をつかんで、目を瞑り、気を流した。
10秒……くらいの間があったろうか、
”カキーン”
と言う金属音共に、鞘と鍔には鎖が架かっている鎖が外れた。
「カー!」
と同時にゲキが叫びながら、”斬魔刀”を抜く……。
抜かれた”斬魔刀”の刃はみるみる伸びて、全長5尺(約2m6cm)の長
さに伸びた。
「「Wow!!」」
「「「「「「え―――っ」」」」」
驚く俺達をしり目に、櫻ばーちゃんは、にっこり笑ってゲキに言う。
「どうやら”斬魔刀”は、お前を持ち主として認めたようじゃ」
それを聞きながら、ゲキは黙って”斬魔刀”を鞘に納める。
抜いた時、全長5尺(約2m6cm)だった刀身が、ゲキが鞘に収めよう
とした瞬間に、元の2尺5寸(刃渡り75cm)に戻り、そのまま鞘に納まっ
た。
”チン”
鞘に”斬魔刀”を納めたゲキが、
「ふぅ~!」
と大きく息を吐く。
すると櫻ばーちゃんは、俺達に向かい
「これで、”撃心流本家"家督相続の儀は終わりじゃ」
と言放った。
(えっ!……これで終わり?甲冑は着ないの……?なんんで)
ばーちゃんの言葉に俺は、頭に?がいっぱい浮かぶのだった。
◇◇◇◇◇
”撃心流本家"家督相続の儀が無事終わり、順次各自のProxy Automatonと入れ替わって、パーティ―会場に戻った。
パーティー会場では、ゲキの誕生日のお祝いが終わり、クリスマスパーティー
後半のビンゴ大会が始まっていた。
因みにゲキへの俺達からのプレゼントは次の通りだ。
・≪俺≫ →スニーカー
(あっちの世界では使わないだろうが、こっちの世界では履くでしょ、今履いて
いるのだいぶ傷んでそうだし)
・≪ミオン≫ →『ガンボーイのシオン軍”紅のサー大佐用”パイロッ
トスーツ風スエット』
(おいおい、たぶんゲキはこれ着ないよ)
・≪シノブ≫ →『シャルルのセカンドバック(男物)』
(本当、ワンパタンなやつ)
・≪アイーシャさん≫ →『木彫りのゲキ人形』
(まぁ、これもワンパターン……ってか恒例だな)
・≪クレアさん≫ →『手編みのマフラー』
(あらら、縫物だけでなく、いつの間に編み物覚えたんだろう?)
・≪エドナさん ≫ →『お誕生日ケーキ』
(なんか俺達のよりデカかった……のは気のせいかな?)
・≪シュイ≫ →『男性用カカ服(チャイナ服)』
(これもゲキが着るかどうか微妙……)
・≪ローゼ ≫ →『ローゼ手作りミスリル製のマグカップ』
(まぁ、これも……定番ってことだね)
・≪ソフィー≫ →『男性用スカーフ』
(……ん――っ、ゲキ使うかな?)
≪ジェームズ・マクギャレット(シノブ父)≫
→『サバイバルナイフ』
・≪うちのとうさん≫ →『革の長財布』
(ん……ゲキ……お金持たないからな……)
・≪うちのかーさん≫ →『どてら』(かあさん手作り)
(これからの季節あったかいよね)
後、パーティー会場では渡せないが、
・≪ニールさん≫ →『身代わりの指輪』
・≪りゅーじーちゃん≫→『中華包丁』
(確かにゲキの作る中華料理は絶品だもんな)
ってな感じ。
で、
肝心のビンゴ大会の結果は……。
1位 2週間の豪華客船の旅……ワールドディフェンス社の
事務担当のキャサリンさんに当たった。
2位 ここのホテルの豪華スイートルーム1泊宿泊券とディナーセットが、
なんと!……俺に当たった。
んだけど、これから大事な決戦が控えてるので、それを うちのとうさん
と、かーさんにプレゼントしようと、とうさんに渡そうとしたら……。
それを横から、”ひょい”って、かあさんが奪い取り、言う。
「これは私が預かるわ」
「へっ?!」
呆然とするうちの とうさんに、
「誰と行こうかなぁ~」
って思わせぶりに言う うちの かあさん。
それを見た とうさんは必死に自分を指差し、アピールするも………。
知らんかをする うちのかーさんだった。
高級ホレルのスイートルームって、1泊いくらぐらいするんだろう?




