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218話 食事会の秘策




「例の場所……って?」


 ”例の場所”の話で、ソアラねぇーちゃんと盛り上がるハーン王初めとするリ

ザードマンのリーダー達にミオンが聞いた。


「あっ……あ、そうね、説明しないとね」


ミオン言葉にリーザードマン達とはしゃぐソアラねぇーちゃんが振り向き言った。


「それはねぇ……」


 ねぇーちゃんの説明によると、オブリヴィオンがソフィーを差し出せと言って

この世界に宣戦布告をした時のことだそうで、たまたまその時、ソアラねぇーち

ゃんは仲間からはぐれたFairy(妖精)を探しに、ここ、ノウンの森に来てい

た時のことだだそうで。


 ノウンの森ではぐれた仲間のFairy(妖精)を捜索中、そこに出くわした

そーだ。


 ベラトーラ首長国の総戦士長を務めているダエンさんが率いる精鋭の第一騎士

団100人と、ゾンビ、スケルトン300体が戦っていた。


 ダエンさんが率いる第一騎士団はベラトーラ首長国の精鋭中の精鋭であるものの

死霊系魔物に有効な魔法”浄化”を使える者が一人もいなかった。……って言うよ

り、ベラトーラ首長国には、”浄化”を使える者が元々いなかった。


 代わりに炎系の魔法や剣技で戦ってはいるが、相手は死霊。


 自分の体に受けるダメージを物ともせず、責め立てるゾンビやスケルトン達に徐

々に押され気味になるダエンさんが率いる精鋭の第一騎士団の騎士達。


 挙句、次々にゾンビに噛まれ、ゾンビ化し、仲間を襲いだすリーザードマン兵達。


 倒れても倒れても襲い掛かるゾンビ、スケルトンに加え、仲間を襲いだすゾンビ

化したリーザードマン兵に、ダエンさんが率いる精鋭の第一騎士団は総崩れし、全

滅寸前だった。


 それを見たねーちゃんは、


(このままではリーザードマン達が全滅するわね……)


そう思い、戦闘中のリーザードマン達と死霊の頭上に飛んで、あたり一帯広範囲に

”リバース”魔法を発動させ、ゾンビ化したリーザードマン兵を元に戻すと同時に

襲い来る死霊達にこう言った。


「んもう、森に代わってお仕置きよぉ~!」


そして広範囲に放つ”浄化”の魔法。


あっという間に群がるゾンビ、スケルトン達を塵に変える。


それを見たダエンさんが率いるリーザードマン兵達は口をそろえて言った。


「「「「「「「「「「おおっ、神よ!」」」」」」」」」」




◇◇◇◇◇




その後、ダエンさん達に案内されベラトーラ首長国へ来たソアラねぇーちゃんは、

ダエンさんの報告を受けたハーン王から懇願され、リーザードマン達の守護神へと

祭られる。


 しばらくベラトーラ首長国に滞在し、時折現れる死霊を退治しまくったそうだが

、ある時気づいた。


「あれ、いつも同じ場所に現れてんじゃん」


って、そこで、ダエンさんが率いる精鋭の第一騎士団を伴いその場所付近を捜索す

ると、古びた石造りの転移魔法円を見つけたそうだ。


 早速そこを封印したら、以後、死霊達は現れなくなったってことだ。


「じゃ、今回その封印した転移魔法円を使うって言うの?」


と言うミオンに大きく頷き、


「そう、それを今回逆に利用して奴らの所に殴り込みよ」


と言うソアラねぇーちゃん。


その言葉に俺たち一同納得するのだった。


(なるほどね、さすが我が姉だわ)






◇◇◇◇◇





 その後、ハーン王から夕食をご馳走になることになり、その準備のため、俺達

は一旦、別室の控室で寛ぐことになった。


 しかし、ここでシュイの様子がおかしいことに気づく。


「どうしたんだいシュイ」


「……いえ、なんでもございません」


と首を振るが……。


「少々お顔の色が悪いようですが……」


と、時田さんも心配顔で言う。


「どうしたのさ、シュイ」


ミオンも心配し声を掛けると、


恐る恐るシュイが言う。


「はい……夕食会なのですが……わたくしは……ちょと」


「食欲がないのか」


「気分が悪いなら少しそこのソファーで休んだら?」


小さい声で呟くように言うシュイに俺とミオンがそう声を掛けるが……。


「いえ、気分が悪いわけでは……その……」


歯切れの悪いシュイに、悪そうな顔でニヤニヤしながら、


「ここの食事が食べたくないんでしょw」


と突然言うソアラねぇーちゃん。


「えっ、どういうこと?そんなにまずいのここの料理?」


驚きそう聞くミオンにシュイは、


「まずいとか、そういう問題ではないんですが……」


「なら!っ」


と言いかけたミオンにソアラねぇーちゃんが言う。


「食べ方でしょ」


「……あっ、はい」


「食べ方!?」


俺がそうシュイに聞き返すと、


「生で丸飲みなのよねぇ~シュイw」


そのソアラねぇーちゃんの聞き捨てならない言葉に


「えっ、丸飲み!!!」」」


と目を向き言う俺とミオンとシノブ。


普段から何でも食べるゲキですら、目をむいて絶句した。





◇◇◇◇◇






 シュイの話だと、子供のころ一度、父であるカカ・フォ皇帝とベラトーラ首長国

に訪れた際、ハーン王やベラトーラ首長国の首脳陣達との会食会に出たそうだ。


 その時の食事会では……。


 テーブルにはお皿や料理が載っていたのではなく、各人の席の前にただ、水槽

が置いてあったそうだ。


 その水槽には、元気よく泳ぐ”ザーカス”と言われる魚と……メルヒーと言われ

るカエルが泳いでいたそうだ。


 因みに、ソアラねぇーちゃんの話だと、”ザーカス”と言われる魚はおそらく

俺達の世界で言うニジマスで、メルヒーと言われるのはウシガエルを一回り大き

くしたカエル……だそうだ。


 ベラトーラ首長国の人達は、元気よく泳ぐ”ザーカス”を素手で掴み、そのまま

”ゴクリ”と一飲みに……。


 父であるカカ・フォ皇帝はそれを見て一瞬”ギョ”っとしたようだったが、食べ

ないわけにはいかない。


 そこで、お得意の火炎を口から吹いて、こんがりと焼いて食べたのだそうだ。


 シュイも父が焼いてくれた”ザーカス”を食べたそうだが……これは意外にそこ

そこだったらしい。


 できれば、塩を振って塩焼きにしたかったそうだ。


(なんだ食えるじゃん)


って思ってたら、


「そこまでは良かったのですが……」


とシュイ。


 シュイの話の続きはこうだ。


 問題は、その後のメルヒー……大きなカエルだそうだ。


 体調25cm~30cm、俺達の世界で言うウシガエル(食用ガエル)の一

回り大きいカエル。


 当然、リザードマン達は、それを生きたまま丸呑みするが……。


 固まるフォ皇帝とシュイ。


 その時だった。


 シュイの目の前の水槽から、メルヒー(食用ガエル)が”ピョン”と飛び出し、


 シュイの顔に……”ガブリ”と噛みついた。


 歯はないそうなので、怪我しなかったものの、突然襲われたことにパニック

になり、大泣きしたそうだ。


 それ以来、それがトラウマになっているそうで、カエルが苦手なんだそうだ。


「なるほど……」





◇◇◇◇◇






「それでは、お夕食は我々がベラトーラ首長国の方々に振舞わせていただくと言う

のはどうでしょう」


と時田さんが俺達に提案する。


「えっ、わたくしたちが……」


「はい」


時田さんの提案に聞き返すシュイを見て、にっこり笑て返事をする時田さん。


「そもそも、今回はわたくしどもがベラトーラ首長国の方々にご協力をしてい

ただく身ですので……」


「そうね、こっちがお願いに来たのだから筋は通るわね」


時田さんの申し出にミオンが賛同する。


「でもさ、あの子ら猫舌ってか、基本、生で丸呑みだから、温かい食べ物は苦手

だよ~」


と時田さんの言葉に異議を唱えるソアラねぇーちゃん。


 そんなねぇーちゃんに、時田さんは再びにっこり笑ってこう言った。


「日本には、生で食べるあれがございますよね」


の発言に、俺、ミオン、ゲキにソアラねぇーちゃんが同時に”はっ”として、


「「「「ああ、なるほど!」」」」


とハモるのだった。





◇◇◇◇◇






 ソアラねぇーちゃんとシュイが、ベラトーラ首長国側にその旨の了承を取り付

けに行く間に、時田さんとゲキにエドナさんは一旦、轟雷号に戻る。


 今回、”あれ”を振舞うには轟雷号にある設備を使う必要があるからだ。


 まぁ、もともとベラトーラ首長国には基本、料理を作るための”厨房”って

のがないからなんだけどね。


 ゲキとエドナさんが時田さんに同行したのは、うちのりゅう じーちゃんのわが

ままで、轟雷号に設置したある装置があるとはいえ、さすがに大量に作るには、

時田さん一人では無理ってことで、料理経験があるゲキとエドナさんがお手伝いす

るためなんだ。


 移動には、マジックボックス大に収納してある予備のどこでもミラーを使う。


(緊急用に、もう片方はすでに轟雷号に設置してあるのよ)


 ソアラねぇーちゃんとシュイが戻り、ベラトーラ首長国側の了承が取れたことを

確認……って言っても元々、ソアラねぇーちゃんのことを”神”とあがめるリザー

ドマン達が断ることはないって、思っていたんだけどね。


 すぐさま俺達は、どこでもミラーを夕食会会場に運ぶとともに、夕食会の準備に

とりかかった。





◇◇◇◇◇






準備が整い夕食会の会場へと、ハーン王とその家族に続き、先ほどのベラトー

ラ首長国のリーダー達も入ってくる。


 アニメに出てきそうな超長いテーブルに、俺達と向かい合わせで座る。


 俺達側は、俺……に俺の肩にソアラねぇーちゃん、ニールさん、ミオン、

シュイ、シノブ、ローゼ、クレアさん、アイーシャさんと並び、その向かい側に

ハーン王、ハーン王の第1婦人のハタンさん、第2夫人のハワルさん、第3夫人の

ドルラルさんと座り、次いで、第1王子のジョノンさん、第2王子のフフさん第3

王子のザローさんに第1王女のグンジさん、第2王女のオーランさんと続く。


 そして更に、大臣のボトフさんで族長のホロヨン、グワン、ドロヲン、タワン、

ズラカーンさん達が続いた。


 俺から見て、最後の方のタワンさんやズラカーンさんは、ほとんど見えない。


 全員が席に着いたところで、時田さんを初め、ベラトーラ首長国王族専用メイ

ド長のフンスさん率いるメイドさん達が、”どこでもミラー”から現れ、配膳し

て行く。


 俺達主催の食事会ではあるが、人数的に配膳まで手が回らないので、お手伝い

をお願いした。


 ハーン王はじめベラトーラ首長国の人達リザードマンの前には、直径50cm

の木製の桶が置かれ、俺達の前には直径25cmの桶が置かれる。


 木製の桶……そう、お寿司である。


ハーン王をはじめ、ベラトーラ首長国の人達リザードマンは、初めて見る寿

司に興味津々。


 全員が、舌をベロベロ出している。


(確か、爬虫類って舌で匂いを嗅ぐんだっけか……)





◇◇◇◇◇





「「「「「トグトーヨw」」」」」


「「「「「カンパーイw」」」」」


ワイングラスに日本酒を注ぎ、俺を含めた全員で乾杯。


 こちらが用意した飲み物を、主催者側の俺が飲まないのは相手に不信感を与え

るから……。


 なので、口だけでも付けることにした。


 ぐぅ~と、一気にグラスの酒を飲み干し、お代わりを催促するミオンに、


「ミオン、それくらいにしておけ!」


って言いながら、ニールさんの横に座るミオンを睨みつける。


 ミオンに気を取られた俺の手元で、


”チュー”って音がする。


 即座に俺が自分の手元を見ると……。


 どっから持ってきたかわからないが、俺のグラスにストローを指して、

一気に日本酒を飲み干すソアラねぇーちゃん。


「えへっw」


俺と目が合い、愛想笑いをするソアラねぇーちゃんに、


「何やってんのねぇーちゃん!」


と言うと、少しもじもじしながら、


「だっ~って……おいしそうだったんだもんw」


と笑顔で言う姉に


(昔っからそうだった……この人)


と頭を抱えながら思う俺であった。





豆ごはんには、姉がいませんが、弟がいて……。

似たような感じでした。


昔、おばさんにジュースとアイスクリームどっちがいい?と言われ、俺がアイス

クリームで弟がジュースを選択し、俺がアイスクリームを堪能していたら、一気

にジュースを飲み干した弟が、俺が食べるアイスクリームを物欲しそうに眺めて

きました。


 本来、気持ち的にはあげたくなかったのですが……。


豆ごはん家には、上の者は下の者に食べ物を分け与えなければならない!


と言う鉄のルールーがあり、半分取られました。


幼いながら、世の中の不条理をかみしめる豆ごはんだったのであります。



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