194話 万能戦艦『轟雷号』
「いや、俺はいらない」
そう言ってゲキが差し出す、枝に突き刺した腕のようなものを断る。
「そうか、旨いのに」
ゲキはそう言って、それをまた、ムシャムシャと食べだした。
「で、八岐大蛇は倒したんだよなぁ」
って俺がミオンに言うと、きょとんとしたミオンが俺に聞き返す。
「えっ!、セイア覚えてないのぉ~」
「ああ……」
「ああ……ってあんた、ひょっとして、また無茶な戦い方したんじゃないでしょう
ねぇ」
って言うミオンの言葉に、ソフィーとシュイが心配顔で俺をのぞき込む。
「いや、その……」
言い淀む俺を、ソフィーやシュイだけでなく、メンバー全員の視線が俺を突き刺
した。
「いや、奴の口の中に飛び込んで……」
「飛び込んだのあんた!」
俺の言葉にミオンが語尾を強め言う。
「ん……うん」
「でぇ!」
また、語尾を強めてミオンが話を進めろと目で俺に言う。
「で、奴の腹の中で……」
恐る恐る言う俺に、
「腹の中でどうしたの」
と強めに聞き返すミオン。
「プラズマ・バードアタック……」
「プラズマ……何だって!」
殆ど怒鳴ってる状態のミオン。
「プラズマ・バードアタック」
と怒られた小学生のように小さい声で俺が言うと、
「だから!それはどんな攻撃なの!」
切れ出すミオンに、横からシノブが割って入って来て、
「いや、Mr.オオワシが言うプラズマ・バードアタックと言うのは、
Garuda形態で体にプラズマを纏い、その熱で敵を焼き切る技だよMiss
シラトリ~」
と自慢げにシノブが説明しかけて、ふと何か疑問に思ったのか、俺に、
「?……でも、いくら高温のプラズマと言えど、あの巨体を焼き切るには
……数秒とか数分の照射では無理ではないのか……Mr.オオワシ、よく
GUY BRAVAボディーが保たねぇ~」
と関心顔で聞き返した。
「えっ、それって、1歩間違えたら、セイアの体は溶けて無くなってたって事?」
横からミオンがシノブに聞き返してくる。
「Yes、だって、プラズマの温度って、何万度もする高熱だよぉ~Missシ
ラトリ~」
シノブの言葉を聞いた瞬間、
”バシ”
「いてっ!」
ってミオンに俺は頭を叩かれた。
「いてっ、じゃなぁ~い」
”バシ”
とまた叩かれた。
「もう、無茶ばっかり!」
怒るミオンに、泣き出しそうなソフィーそれに、心配そうなシュイを含む他のメン
ンバー達。
その時、ムシャムシャ魔物の腕を食っていたゲキがボソリと言う。
「昔からそうだっただろ、ミオン?無茶はセイアの専売特許!」
と食べならがら無表情に言うゲキに、
「だから、心配なんじゃない!」
と怒るミオンだった。
◇◇◇◇◇
プンプン怒り、口を利いてくれないミオンに代わり、魔物(後で聞いたらサ
ハギンの腕)を食べ終わったゲキが説明してくれた。
八岐大蛇に飛ばされた、電龍が再びオロチが居た場所に戻ってみると、
俺が仰向けで海に漂っていたそうだ。
辺りにはオロチは見当たらず、海に漂う俺の頭上には、よくダンジョンでボ
スモンスターを倒した時に出るアイテムが入った光の玉が浮かんでいたそうだ。
それがあるってことは、俺がオロチを倒したんだろうと判断した電龍は、そ
の光の玉と俺をくわえ、皆の所に戻って来たそうだ。
で、その光の玉にミオンが手を突っ込み、俺達が今回目的としたアイテムを回
収したそうだ。
俺が気を失っている間に、皆は昼ご飯を食べたそうで、俺の前にソフィーが、
新たにマジックボックス小から取り出した俺のお昼ご飯……某有名牛丼チェー
ンの牛丼を置いてくれた。
「めしあがれ」
「ありがとう~ソフィー」
「いただきます」
俺はソフィーにお礼を言って、牛丼をかきこんだ。
「ご馳走様」
俺は牛丼を食べ終わり、両手を合わせて合掌した。
それを見て、ミオンが皆に言う。
「じゃ、そろそろ皆~行くよ~」
その言葉に、俺以外の皆は荷物をまとめ、部屋(竪穴式住居)を一斉に出ようと
するのを見て、俺は慌てて出発の用意をしながら、ミオンに言う。
「ちょ、ちょ、待てよ~!」
「待てない!」
ときっぱり、はっきり言うミオンに
「そりゃないだろう~」
と言いながら、ミオンを初め皆を追いかける俺だった。
◇◇◇◇◇
このゾーン入口付近まで戻り、入口左側にある道をしばらく歩いた所にそれは
あった。
小さい……と言っても俺達全員が入れる祠のような建物が立ってた。
早速、ミオンを筆頭に中に入る。
祠の奥の壁にそれはあった。
すぐに、マジックボックス小から、今回手に入れたアイテムをミオンがだした。
・八咫鏡 直径50Cmの金属製の鏡
・草薙の剣 刃渡り1.2mの両刃の剣
・八尺瓊勾玉 尾っぽまでの長さ180Cmの赤い勾玉
(一応、これはこの世界の三種の神器、俺達の世界で言うものとは違うと思う
けど)
それぞれを、壁にある同じ形をした窪みにハメると……。
一瞬、ふわりと無重力のような感じがしたと思ったら、すぐさま重力を感じた。
「着いたのかな?」
そうミオンが言って、祠の扉を開けてみると……。
そこには、昔のスパイ映画に出て来る悪の組織の潜水艦ドックのような感じ
の構造物が見えた。
祠の入り口下には、コンクリート製の階段が下の潜水艦ドックまで、続いて
いる。
そこを、ミオンに続いて皆で降りてみると、そこには同じくコンクリート製の
桟橋があり、その横に横たわる……巨大な潜水艦があった。
全長:150mもあり、潜水艦の先端はドリル状になっている。
また、後部はあの宇宙戦艦のようなロケットの噴射口が、水に半分浸かった
状態で見えた。
「何なのこれ!」
と言うミオンの言葉に、シノブが間髪入れず言う。
「Wow~♪ゴウライゴウではないかw」
目を輝かせて言うシノブ。
「ゴウラ……何て?」
「ゴウライゴウだよMissシラトリ~」
ミオンが聞き返し、再度名前を言うシノブ。
(ゴウライ……何か聞いたことあるような)
「バンノー Battleshipゴウライゴウ知らないかい?」
シノブの言葉を聞いて、”ハタ”と俺はひらめいた。
「あっ、ひょっとしてシノブが言いたいのは、万能戦艦『轟雷号』の事かい?」
「Yes!」
満面の笑みで頷くシノブ。
俺とシノブのやり取りについて行けないミオンが、今度は俺に聞いてきた。
「それ、何なのセイア」
「いや~詳しいことは良くわからないけど……」
と言ったん言葉を切り、続けた。
「うちの とうさんのコレクションに、昔の特撮映画に宇宙戦艦『轟雷号』って
言う映画に出て来る宇宙戦艦のプラモデルがあってね、それがここにあるその
潜水艦ぽい乗り物に似ているってのと……。」
「と?」
「確かそのプラモデルを見せてもらった時に、その宇宙戦艦『轟雷号』って言う
特撮映画は、その昔の”万能戦艦『轟雷号』”って言う映画のリメイクものって
、うちのとうさんが説明してくれたような気がする……。」
「Yes!まさにその通りだよMr.オオワシw」
俺の話を聞いて笑顔で大きく頷くシノブ。
「なるほどねぇ~」
とあまり関心なさそうな返事を返すミオンだった。
「兎に角、中には入ってみよう~Missシラトリ~w」
はしゃぎながら、言うシノブに
「そう~ね」
と、あっさりと返すミオンだった。
◇◇◇◇◇
「これどっから入るんだろう~シノブ知らない?」
と聞くミオンに両手を広げ”さあ?”って感じのゼスチャーを見せるシノブ。
(たぶん映画では乗り込むシーンがなかったんじゃないかな)
「もう、役立たずねぇ」
と怒るミオンにシノブは言い訳を言う。
「普通、Submarineは、艦の真ん中のセイルの上部ハッチから乗り込むん
だけど、この『轟雷号』のセイルは艦橋になってるからねぇ~」
「えっ、あんな高いところに登るの!?」
と『轟雷号』の艦橋と言うかセイル部分を見上げ不満を言うミオン。
その時、ゲキが指差し言った。
「あそこにあるのは、転移魔法円じゃないか?」
その言葉に俺達全員が、『轟雷号』が停泊している桟橋の真ん中を見た。
「はい、確かに転移魔法円ですね」
そうニールさんがゲキの指差した物を見て行った。
「行ってみましょう」
ミオンの言葉に全員で、桟橋中央部に異動した。
そのには、転移魔法円と、共に、またもや日本語で書かれた看板が!
『こちらからどうぞ』
(間違いなさそうだね)
万能戦艦『轟雷号』って『〇天号』のオマージュです。
ヤマトだとデカすぎるし、少人数の人員で運用するのには
これくらいが、丁度いいと思いました。
それと、これ以降は少しUpする間隔が開きます
よろしくお願します。




