190話 八岐大蛇とサハギン(半魚人)
今度のセーフテーゾーン(小屋)は、二階建て。
入口付近が土間になっていて、奥には畳が引き詰めた8畳程度の部屋がある。
ここまでは前回を同じだが、そこに階段が付いており2階がある。
2階の部屋は1階より狭く、6畳の畳の部屋になっていた。
それと、1階の部屋の奥にあったトイレが1つだったのが、2つに増え、また、
シャワールームも同様に2人用から6人用に一気に増えていた。
(流石に布団は用意されてないな……)
◇◇◇◇◇
時刻は、夕方の5時になろうとしているところ。
俺自身は、まだまだいけるんだけどね、さすがに皆は疲れが出ている。
どうせ次はボス戦だし、ここらで英気を養うとしますかね。
って訳で皆で夕食を取る。
今日のメニューはもちろん『カレーライス』なんだけど。
これはお昼の『うな重』同様、ナ国製なんだ。
(元勇者は、どんだけ元の世界の食べ物に執着してたんだ)
っては思うものの、カレーの香辛料は、元々カカ帝国の南西部で取れるし、インド
風の”カリー”は、カカ帝国でも食べられていたんだから、要は白米さえ再現でき
ればそんなに苦労はなかったんだと思うけどね。
昭和の喫茶店に出てきそうなカレーの皿に、半分ご飯、半分カレーが入ってい
て、福神漬けまで添えてあった。
「「「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」」」
みんなで手を合わせてカレーをいただく。
(結構、コクがあり次の日のカレーって感じで美味い。)
◇◇◇◇◇
夕食後、男女交代でシャワーを済ませ、シノブはブレイブロボの給弾作業や
、自分の武器の手入れをし、他の皆もそれぞれの武具の手入れを行っていた。
また、武器を待たないニールさんやソフィーも、明日使う魔道具を制作した
り、自身のスティックの魔力充填やクレアさんの剣の柄に内蔵してある、魔力
電池の充電をしたりしていた。
何もしなくて良いのは、俺、ミオン、シュイに櫻ばーちゃん。
何やらシュイと一瞬目が合ったが、俺はスマホのゲームをするふりをして
無視した。
武具の手入れが終わったら、後は寝るだけ。
1階に女性陣、2階に男性陣に分かれて早めに寝る……。
その前に俺とソフィーは”エネルギー補充”の時間、最近仲間の前でするのには抵
抗は無くなってる……・
が、
(ばーちゃん!ちかい、近いって)
俺とソフィーがキスする真横で、それを眺める櫻ばーちゃん。
挙句に、俺とソフィーがキスし終わると、
「ほ~」
って言うんだよ。
(何がほ~なんだ、ばーちゃん)
◇◇◇◇◇
次の日、朝6時に起床。
マジックボックス小から、おにぎりを出して、朝ごはんにした。
「 チェインジング!(Changing)」
俺は再び変身し、各自準備が整ったのを見たミオンが言う。
「出発ぁ~っ!」
ブレイブロボとミオンの後に俺達は続いた。
しばらく歩くとそれは見えて来た。
今度の入り口は、向こう側に倒れる跳ね橋タイプの入り口のようだ。
今回は、ブレイブロボではなく、
「シュイ!」
「はぁ~い」
ミオンに言われ扉の右側のレバーをシュイが引いた。
”カラカラカラカラ”
ゆっくりと跳ね橋は倒れ入り口が開いた。
「えっ」
「へぇ~」
驚くミオンの横で俺も声をあげる。
ここは入り江状になっている、小さな漁村。
って言っても、ここナ国によくある竪穴式の住居が点在し、浜辺には小さな木造船
が数隻置いてあったから、直感的にそう思っただけだが……。
入り江になっている浜のはるか向こうに、小さな島のような物が浮かんでいる様
に見えた。
俺は視界をズームして見て見る。
”ピッ”
≪Enemy≫
≪名称 ヤマタノオロチ≫
≪戦闘力 500,000≫
≪防御力 600,000≫
≪スピード 300≫
≪MP 10,000≫
≪特技 スチールニードル、炎、冷気、電撃、自己再生≫
×1
「えっ!あれが……オロチ!?」
驚く俺の言葉を聞いて、シノブが慌てて双眼鏡で覗いてみる。
「Wow, it’s amazing!(うわぁーすごい!)」
シノブと俺の言葉に、ミオンがシノブから双眼鏡を奪い取り見る。
「何なの!全然イメージが違う!」
俺達が何故驚いたかって言うのは、伝説の八岐大蛇とは全然違う物体だか
らだ。
全長!?って言うのかな、直径約40mの大きなお椀……ってか、クラゲの傘の
部分に、左右4本ずつの……。
東洋で言う所の”龍”が突き刺さっているって感じで、しかも、そのクラゲの傘
の部分には大きな目が2つと、大きな口が1つある。
「龍と言うより怪獣だな」
っと俺の横でゲキがぽつりと言った。
(そだねぇ~)
◇◇◇◇◇
八岐大蛇を観察していると、その手前で、さざ波が立っているのが見える。
「あれは何だろう?」
シノブから、双眼鏡を奪い取って見ていたミオンが言う。
俺はすぐさま、そのさざ波が立っている所に視界をズームした。
”ピッ”
≪Enemy≫
≪名称 サハギン(半魚人)≫
≪戦闘力 300≫
≪防御力 200≫
≪スピード 海中1,000/陸上200≫
≪MP 150≫
≪特技 銛 ≫
×300
「さ……さ、300って!」
思わず俺は大声で言った。
「えっ何々……」
横で双眼鏡を除くミオンが聞いてきた。
サハギン(半魚人)についてミオンに説明した。
「戦闘能力はゴブリン並みだが、数が300匹もいるんだ」
「あっ、そうなんだ」
俺の説明を聞いてあっさり言うミオン。
(何なんだこの反応)
そう俺が思っているのを知ってか知らずか、ミオンが皆に作戦を告げる。
「じゃ、2班に分けま~す」
「セイア、シュイ……シノブに……その補助にアイーシャさん、それに電ちゃ
んはオロチを」
「ああ、」
「はい」
「Roger(了解)!」
「ラジャーにゃん!」
「あっ、はい電ちゃんさんを出します」
各々返事をする。
「んで、シュイは青龍を出している時無防備になるから、それを、ソフィーとニー
ルさんでフォローよろしくです」
「はい」
「分りました」
ソフィーとニールさんも頷き返事をした。
「で、ローゼはオロチ戦に当たるシノブとアイーシャさんの護衛頼める?」
「うん、わかった」
頷くローゼ。
「私とロボでサハギン(半魚人)を正面で押さえるから、その護衛をクレアさん頼
めるぅ~?」
「もちろんです!ミオンさん」
力強く頷くクレアさん。
それを見てミオンは話を続ける。
「エドナさんは入り江の右端からサハギン(半魚人)を狙って……。エドナさんの
護衛を、櫻さんお願いできますか?」
「ん?そんな他人行儀な言い方せんでもええぞ」
「ああ、すみません」
櫻ばーちゃんに言われ、謝るミオンに、
「謝らんでええ」
「……いえ……。」
と口淀むミオンにゲキが聞く。
「俺はどうする!?」
「えっ、ああ、ゲキは……あ、そうだセイア、ユニコーン出して~」
ゲキに聞かれ慌てて説明しかけるミオン。
「うん」
俺が頷くと、
「セイアの出したユニコーンに乗って、ゲキは臨機応変に皆のフォローよろしく。」
「相分かった」
ミオンの言葉に力強く頷くゲキだった。
◇◇◇◇◇
「出でよ電龍!」
「出でよ青龍!」
ソフィーが電龍を出し、シュイも入り江の海水を使い青龍を出す。
そして、シュイを漁村と思わしき村の一角にある竪穴式住居に入れ、その前に
、ニールさんとソフィーが陣取った。
そして俺は、聖獣(GUY BRAVAの支援機すべてを召喚する。
まず、Phoenixを電龍と青龍と共に八岐大蛇へと向かわせ、次いで、
Unicornをゲキに渡した。
ゲキは俺からUnicornを受け取ると、それに鞍を付け準備をする。
”ドッボ~ン”
俺は海に飛び込み、残ったWeiß Delphinと合体する。
≪Charge up Triton≫
頭の中のカーソルを選択する。
すると、Weiß Delphinは、俺の真下に先回りして背中の背びれが引っ込み大きな空洞が開く、そこに俺の下半身がすっぽりと治まり、上半身がガイブ
レイブで下半身がイルカの形態になった。
と、同時に尾びれが変形し回転するスクリュウへと変わる。
「完成!Triton!」
俺の頭には、八岐大蛇へと海中から向かう中、ゲキに渡したUnicornから、
皆の動きの情報が入って来る。
俺が八岐大蛇へと向かった後、ミオンとブレイブロボ、そしてその護衛のクレア
さんは、シュイを護衛するニールさんと、ソフィーの前方の船着き場手前に陣取っ
たようだ。
そして、エドナさんと櫻ばーちゃんは入り江の右端に陣取り、シノブとアイーシ
ャさんに護衛のローゼは入り江の左端へと陣取る。
最後に、ゲキはUnicorn跨り、丁度、エドナさん達とミオン達の中間位
の位置で待機した。
(さー戦闘開始だ!)
本編にでてくる八岐大蛇のイメージは東映のアニメ映画「決戦! 大海獣」(マジンンガーシリーズ映画)に出て来る”ドラゴノザウ〇ス”をモチーフにしました。




