137話 ドラキュラ屋敷からの脱出!
俺は、円形の筒状の部屋の壁を調べたが、入口が見当たらない……。
仕方がないので、壁を俺が通れるくらいの大きさにプログレッシブ ブレードで
切り取り、部屋の中へ入った。
部屋に入ると同時にプログレッシブ ブレード刃をガントレットのスリットの中
へと納め、部屋を見回した。
直径8m位の筒状の部屋……。
その真ん中に反応が……って言うか、目の前に椅子に座っている女の子……?
近づき、声を掛けようとしたら…….
(プロキシ オートマトン!!)
小型のプロキシ オートマトンが居た。
「なんだこれ?」
俺のセンサーの反応は、目の前にいるプロキシ オートマトンからだ。
俺が躊躇していると、突然黒い壁が円筒形の部屋を覆う。
"シュー””ガッチャン”
「ん!っしまった!」
俺がそう言うや否や俺はその壁に吸い寄せられ……。
”バーン”
張り付いた。
「うっわ!」
そう言いながら踠くが、壁に張り付いた体はビクともしない。
「ハッハッハァ!」
と笑い声と共にドワーフのジーモンさんが現れた。
「ジーモンさん!」
俺がそう叫ぶと、ジーモンさんは壁に張り付いた俺の所まで、近づいて来たかと思
ったら、急に姿がブレだし、見慣れない老人の姿へと変わった。
「えっ!誰!?」
そう驚く俺に、見慣れない老人は言う。
「勇者も形無しじゃの~う」
そうニヤケながら言う老人は、俺に会釈すると
「お初にお目にかかる……でよいのかのう~」
と言いながら俺をマジマジと見つめながら話を続ける。
「……と言っても、わしは一方的に知っておるがのう~」
(一方的?)
「わしはソンブル。オブリヴィオンでは、翁と呼ばれておるものじゃよ」
俺はその老人の言葉に驚き言う。
「オブリヴィオン!」
「さよう……最も、そちらの中には、魔王軍と呼ぶ者もおるようじゃが……」
「くっそ~俺達を騙したのか!」
と俺が叫ぶと、その言葉に目を丸くしてソンブル翁は言う。
「騙した……さよう騙したが、それが何か?……騙される方が悪い……最も、こん
なに簡単に騙されるとは思わなんだがな」
”ウハハハハァ~”と大笑いしだした。
「おのれ~!」
と言いながら、体を再度動かそうとするが、やはり張り付いたまま、俺の体は微動
だにしない。
「しっかし、本当じゃったわい、お主の体が機械仕掛けだと言うことが……」
「なぁっなにー!」
ソンブル翁の言葉に更にもがく俺。
「無駄じゃ、無駄じゃ、その壁はあらゆる金属を引き付ける云わば、強力な磁石の
ようなものだ……いかに、勇者の力が強大でも、そこからは一生抜け出せんて」
ソンブル翁はそう言いながら、指を”パチン”と鳴らすと、その横に光の
粒が集まり、大きな人型に変わった。
≪Enemy≫
≪名称 フレッシュゴーレム≫
≪戦闘力 20,000≫
≪防御力 20,000≫
≪スピード 200≫
≪特技 怪力 ≫
×1
(ん?フレッシュゴーレム!?って、フランケンじゃねぇか!?)
俺が驚きながら、フレッシュゴーレムを見つめていると、
「お主、その状態ではご自慢の武器は使えまいて」
「……」
ソンブル翁の言葉に俺は黙った。
(確かに腕がこの状態だとなんの攻撃もできん)
俺が黙ったのを見て、図星だろうって感じで薄ら笑いを浮かべ、こう付け加える。
「あっ、そうじゃった。もう一つ土産をお主しプレゼントせねばのう」
そう言うと、ソンブル翁の側に、床から何か機械のようなものが迫り上ってくる。
直径30cmで高さ1mのこれまた円筒形で俺の方に窓があり、何やら数字が見える。
【180】
(なんだ?)
俺がそう思っていると、ソンブル翁はニヤリと笑い言った。
「ここの数字が”0”になったらこの屋敷ごとお前も、お前の仲間も木っ端みじん
じゃよ」
「なんだって!時限爆弾!」
と俺がそう叫ぶと
「さよう」
って言ってソンブル翁は手に持ったスイッチのようなものを押した。
”ピッ"
【1**】
の数字が目まぐるしく動き、明らかに数字がどんどん減って行く。
(ヤバイ!)
焦る俺に更にソンブル(おう)は言う。
「最も、お前はこいつの怪力でその前にバラバラになるがのう」
と言いながら、フレッシュゴーレムに命令した。
「こやつをバラバラにしてしまえ」
「フンガ!」
ソンブル翁の命令に、フレッシュゴーレムは、壁に張り付き身動きできない俺に
、渾身のパンチを繰り出す。
「フンガ!」 ”バキーン”
「フンガ!」”バキーン”
俺の体は、フレッシュゴーレムの渾身の右と左のパンチを受け、軋む。
痛みはないが、全身に電気のようなものが走るし、視界にノイズが幾度となく入
る。
そして、目の前のゲージには体のあちらこちらの部位の故障を告げ、俺の頭の中
にはアラームが鳴り響いた。
そんな、俺を見てソンブル翁は、
「では、これでわしは出て行くとするかの~お前達が死んでから、ゆっくりと例の
娘をいただくとするわい」
その言葉を言うやいなや、持っていた杖を上に上げると、一瞬、光に包まれたかと
思ったら、次の瞬間虹色の泡の粒になって消えて行った。
(ヤバイ~ヤバイぞ俺……しかもミオンやシノブ、ゲキ達もヤバイ……それより何
よりソフィーも危ない!)
とにかく、ミオン達だけでも脱出させねば……って思い、無線で話しかけるが無
線が通じない。
(どうしよう)
”ズシン!バキーン”
相変わらず容赦のないフレッシュゴーレムの攻撃、パンチでは効かないと思ったの
か、壁に張り付いた俺に対して、今度はショルダータックルをかましてきていた。
(俺もますますヤバイ)
それに加えて、例の数字が刻々と減って行く。
この世界に来て最大のピンチを迎える俺であった。
◇◇◇◇◇
”ズシン!バキーン”
相変わらず、遠慮なしに、俺にショルダータックルをかまし続けるフレッシュゴ
ーレム。
それに伴って、俺の体の各箇所が壊れて行く。
刻々と数字が減って行く時限爆弾。
そして、今だ仲間にそれを知らせることが出来ない俺……ん?
(そうだ!)
俺はあることを思いついた。
(無線はだめでも、これがあるじゃないか)
そう思い、早速ソフィーと念話をする俺。
≪ソフィー……ソフィー≫
≪あっ!セイア様、どうなされました≫
≪うん、ちーと、緊急事態だからよく聞いてくれ≫
俺はソフィーにそう言って、俺が身動きできないこと以外の状況を説明する。
俺が身動きできないことを伏せたのは、それを聞けばソフィーは動揺して、冷静に行動できないのでは?って心配からなんだけどね。
≪だから、至急ここを離れる様にソフィーから、無線でミオン達に連絡してくれ≫
≪かしこまりました……でもセイア様は……≫
と心配げに言うソフィーに俺は努めて明るくこう言った。
≪なぁに、後1分もしないうちに、こいつを倒して合流するから……心配しないで
いいよ、ソフィー≫
≪でも……≫
まだ心配げなソフィーに俺は、
≪ソフィー、俺はソフィーが夢でみたお告げの勇者なんだろう?≫
≪はい……≫
≪なら、これくらいでクタバル訳ないだろう≫
と言い返すと、
≪はい……そうですね、分かりました……≫
そう言ってわかってくれた?ようだ。
”ズシン!バキーン”
その間にもフレッシュゴーレムの攻めは続く。
(相変わらず、律儀な奴だな)
そう心で呟き、今まさに再度俺への突進を慣行せんと迫ってくる、フレッシュゴー
レムを見て、叫んだ。
「Release!」
俺は元の大鷲青空に戻り、吸いつけられていた壁からずり落ちると、迫ってくるフ
レッシュゴーレムの股間をすり抜け反対側に回り込む。
”ドスン”
と大きな音がして、俺が居なくなった壁へとフレッシュゴーレム突っ込み、壁にぶ
つかった反動で、頭を打ち付けたようで、フラフラし出した。
そこに俺が上段蹴りをフレッシュゴーレムの頭にお見舞いする。
”バシ”
俺のケリを食らったフレッシュゴーレムがその場に”ドスン”と倒れた。
(まぁ、死んでないと思うけどね)
その時、ソフィーから、念話が入る。
≪ミオン様達全員無事屋敷を脱出なさいました≫
≪分かった≫
俺はそうソフィーの念話に短く言って念話を切った。
≪0≫
”ドカ~ン”
◇◇◇◇◇
------ソフィー視点------
馬車の前で待っていた、私とクレアにエドナの元へ、ミオン様、シノブ様、ゲキ
様……そしてアイーシャが戻って来ました……が、セイア様のお戻りがありません。
≪ミオン様達全員無事屋敷を脱出なさいました≫
とわたくしがセイア様に念話を送ると、
≪分かった≫
とだけ、おっしゃってそれ以後連絡が取れません。
心配で心配で……。
その時です。
”ドッカーン”
と言う轟音と共にドラキュラの屋敷が、炎に包まれました。
「えっ!セイア様~」
「セ・セイア~!」
「セイア!」
「Mr,オオワシ!」
わたくしを初め、ミオン様、ゲキ様、そしてシノブ様が叫びました。
燃え盛る炎を前に、呆然と立ち尽くしわたくし達。
「そ・そんな!」
「信じられないですぅ~」
「まさかにゃ!」
クレア、エドナ、アイーシャの声が漏れる中、しばし呆然としていました。
(そ・そんな戻ると約束して下さったのに……)
わたくしがそう思った時、
「あれ?セイア様の反応が!」
思わずわたくしはそう叫びました。
「えっソフィーどういうこと?」
そんなわたくしにミオン様が聞き返しました。
「はい、確かにあの炎の中にセイア様の反応が……」
「いかに、ガイブレイブと言えどあの爆発で助かるハズは……ん?」
わたくしの言葉にゲキ様が、反論しようとして、何かを感じられたようです。
「これは……セイアの気!?」
そう呟かれるゲキ様に、シノブ様が聞き返しました。
「Really!?それは本当かい?Mr.シモトウゲ」
その時でした、ミオン様が屋敷の方を指差し叫ばれました。
「あっ!アレはGUY BRAVE!」
その声に、わたくしを含め皆様が一斉に、ミオン様の指差すところを見ました。
炎の中、やけ落ちる屋敷の中にそのお姿はありました。
それは紛れもなくGUY BRAVEいえ、セイア様です。
炎の中からわたくし達のほうへやって来たGUY BRAVEいえ、セイア様に
わたくしは嬉しさのあまり泣きながら抱き付こうと駆け寄ったその時です。
「ソフィー俺に近づくな!」
と大きな声でおっしゃいました。
「えっ……」
とその場でたじろぐわたくしに、優しくこう言われました。
「今俺の体は、炎の中にいたから、かなり熱くなっているんだよ。冷めるまで少し
待ってくれないかソフィー」
そうおっしゃいましたが、わたくしは今にも抱き付きたい衝動に駆られ……。
「では、すぐに冷やして差し上げます」
そう言って、わたくしは、魔法スティックを取り出すとセイア様の方にスティック
の先を向け、スティックの白いボタンを押しました。
すると、青白い光がセイア様の体に当たり……当たり……忽ち、セイア様の体が凍
り付いてしまいました。
”ピッキーン”
凍り付き固まったセイア様が、わたくしに向かい一言おっしゃいました。
「ソ・ソフィー……これはやり過ぎだ!」
今回オブリヴィオンはGUY BRAVEの弱点を突いてきました。
少しは考えているようです。




