121話 海運都市テネア
って、言うことで報酬を受け取ったが、俺の手元には何故か?”太陽剣”がある
……。
マリオンさん曰く、奪還のクエストを受けたが、届けるクエストは受けてないっ
て事もあるし、何よりイーシャイナに届ける途中に紛失やすり替え……それに再び
誰かに奪われでもしたら、それこそ自分の首が飛ぶって言うのだ。
なので、そっちで何とかしてくれって言われてしまった。
(まぁ、良いけど)
それは兎も角、傭兵ギルド本部をソフィーと2人出た俺は、皆が待つ【ウェール
ス】へと向かった。
お店に着くと丁度皆の料理が配られている途中だった。
「Nice timing」
俺とソフィーを見るなり、声を掛けるシノブ。
店員のショーン君……。
あ、そうそう、この店を訪れるのも3回目なので、少し仲良くなっていろいろお
話もした。
なので、店員さんや店主の名前も知っていてね。
店員の男の子(14歳)がショーン君で、店主の名前がブランドンさん。
ショーン君はイーシャイナ王国出身で、このパルタスへは、傭兵ひいては冒険者
になりたくてやって来たそうだ。
現在は、傭兵の試験に合格するべく勉強中?ってか訓練中。
店主のブランドンさんは、パルタスの元騎士(ってことは元S級の傭兵)で、引
退してこの店を開いたそうだ。
そして、ショーン君はこの店で働きながら、店主のブランドンさんに傭兵になる
為訓練も受けているそうだ。
ってことまでは知っている。
店員のショーン君に促され、皆の居るテーブルへと俺とソフィーは座る。
「すぐにセイア様とソフィー様の分をお持ちしますので」
と言って声を掛けてくれるショーン君に俺とソフィーは席に座ったまま会釈を返した。
俺は、既に目の前に料理が置かれているメンバーに先に食べてくれと言うと、
「では」
とゲキが言って皆に目配せをして、俺とソフィー以外のメンバーは、ゲキが先に手を合わせ
「いただきます」
を見て、同じように手を合わせる。
「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」
と言って食べ始めた。
皆が食べ始めてから、しばらくすると俺とソフィーの前に料理が置かれた。
「これは?」
と目の前に置かれた料理を見て言う俺にショーン君はにっこり笑って言った。
「ユベチです」
一見、ジャンバラヤ?のような焼き飯の上に肉が乗った物に見えるが、これはご
飯でなくパスタ?らしい。
お米型のパスタの上にラム肉を焼いたのがのっかっている……。
確かに食べると食感はパスタだ。不思議な感じだが……。
「美味しい♪」
そして、料理の横に置かれた飲み物……。
緑色でシュワシュワ泡が出ている液体……。
(何だっけか……?あっそうだ!)
そう、以前イーシャイナでアイーシャさん達の行きつけの店で飲んだ。
”ベンバー”つまり異世界版”コーラ”だ。
◇◇◇◇◇
食事が終わり、途中トレーラーによってマジックボックス小(主に食料が入っ
てる)を一つ持って、俺達は、冒険者ギルド本部にある自分達の部屋に帰った。
因みに【ウェールス】での食事代金は、20,000ドルマ(日本円で2万円)
これは、”ユベチ”が一人1,000ドルマで、12人分と”ベンバー”が一人
500ドルマで、約2名の大喰らいが追加の骨付きラム肉のステーキを1人前1,
000ドルマづつ食べたから……ランチとしては少し高めかもしれないが、まぁ、
妥当と言えば妥当かな?宿場に比べたら。
部屋に入ってから、マジックボックス小から飲み物(アイスコーヒーとアイステ
ィー)を出し、それぞれに俺が配り、皆部屋の中央のソファーに座り、俺とソフィ
ーで”太陽剣”の報酬額と共にアメリオさんのから聞いた話をした。
俺とソフィーの話を一通り聞いて、ニールさんが言った。
「では、”太陽剣”は私とファルコでイーシャイナ迄届けましょう」
「えっ、こっちでのお仕事は終わったんですか?」
と俺が尋ねるとニールさんは、ニッコリ笑って、
「ええ、デスロ同盟国の各都市へのアンテナ設置は終わりましたし、まだ、アンテ
ナを設置していない他国へのアンテナ設置のため、一度ブレイブ基地に戻らねばな
りませんから」
「じゃ、僕達も一緒に戻らないと……」
とニールさんに俺が言うと、ニールさんは、
「いえいえ、セイア殿達は、折角ここまで来たのですからデスロ同盟国の観光をし
てからお帰り下さい」
と言いながら俺にウインクした。
(ああ、はい例の件の為ね……)
◇◇◇◇◇
話が終わり、ニールさん、ファルコさん、それにシノブの所のかぼちゃパンツ…
…いや修復班2名だけでなく俺達も出発の準備をする。
って言うのも俺達も、これからデスロ同盟国の海運業が盛んな城塞都市テネアに
向けて出発するためだ。
俺達は、冒険者ギルド本部建物の近くに止めてあるトレーラーの所まで行き、1
号トレーラー(俺達の乗っているトレーラー)から、バイクとマジックボックスを
降ろし、ニールさん達は2号トレーラーへ乗り込む準備をする。
先日の戦い(ブレイブロボ・Gvsゴーレム)で傷ついたロボをマジックボック
スから出し、2号トレーラーに積み込んだ。
故障って訳ではないんだが、ゴーレムに踏みつけられ、ボディーのあちこちが傷
んでいるので、ニールさんがブレイブ基地に帰るなら、ついでに基地で修理しても
らうためである。
ミオンが腕時計型無線機でロボに命令し、ロボ自らトレーラーに乗り込ませると
、腕時計型無線機を腕から外して、ニールさんに渡し、
「じゃ、ロボをお願いしますニールさん」
と言うとニールさんは、腕時計型無線機をミオンから受け取り、
「はい、お預かりします」
と言った。
そして次にマジックボックス中に入っていた例のUFO型転送装置と思われる物
や、電磁パルス(EMP)を照射したと思われる装置なども2号トレーラーに積み込
んでから……。
俺が、魔法馬車を出した。
「出でよ!馬車」
そう言って、俺は、地面に”ポ~イ”ってジッポライター型のカプセルを投げる。
”ボ~ワン”と煙と共に馬車が現れた。
続いて、俺は一旦変身してユニコーンを召喚することにした。
「 チェインジング!(Changing)」
の掛け声と共に俺の体が光だし変身する。
変身後、ユニコーンを召喚し、そのユニコーンをゲキが馬車に繋ぎ、俺とシノブ
はバイクに跨り、俺の後ろに、ソフィーで、シノブの後ろにミオンが乗って、馬車
の御者をゲキが勤め、それにクレアさん、エドナさん、アイーシャが乗ると言う今
や定番になった布陣で、ニールさん達の2号トレーラーと共にパルタスの城壁の門
まで、向かった。
城壁の門に到達しると俺は後ろに乗るミオンからバッチを(冒険者証)受け取り、
黒い黒板のような四角い木の板に向かって、冒険者証を近づけると、”ズズズ”と
言いながら城壁が左右に別れた。
そして、俺達はニールさん達が乗る2号トレーラー共々パルタスを出て、しばら
く行くと道の分岐点で、
≪それではセイア殿達もお気をつけて≫
ってニールさんが無線で言ってくれたので、俺も
≪ニールさん達も気を付けて帰ってください≫
と返し、ニールさん達が乗る2号トレーラーは右(北西)に俺達は左(南)に道を
進むんだ。
(2号トレーラーにも、多少武装もつけてるし、大丈夫だと思うけど)
因みに2号トレーラーは、主に荷物を運ぶようになっているので、あまり武装さ
れてはいない……が、トレーラーの前部、けん引トラック部分の本来エンジンがあ
るフロント部分には、ブローニングM2重機関銃口径:12.7mm、装弾数:1
10発が2つと、トレーラー下部から毒ガスを噴射できるようにはなっているんだ
けどね。
それに、シノブの所の修復班2名もアサルトライフルで武装しているし、魔導士
のニールさんの魔法もあるので、並みの魔物程度ではびくともしないのは解ってい
るけど、オブリヴィオン(魔王軍)達が動き出したとなると……。
(まぁ、心配したらきりがないか……)
◇◇◇◇◇
約3時間くらいで、パルタスの南にある海運業が盛んな城塞都市テネアに着いた。
内陸まで運河が、何本か引き込まれており、城壁は……ない。
って言うかあれなんだ!?
(都市の後方には大きな……大きな貝!?)
都市後方には大きな貝殻のような物が立っており……これは!?
聞くところによると、これは都市全体を包み込むシェルターなんだそうで、
非常時にはこれが、倒れて来て、都市全体を覆うそうだ。
その貝殻のようなシェルターは扇形で、太い五本の放射状の溝が波状に湾曲し、
光沢のある純白色で厚い。
この形が俺が知るシャコガイの形状に似ているのだ。
普段はそれが都市の後方東側に立っている。
なので、ここには城壁も門もない。自由に出入りできる。
その大きな貝型のシェルターがそびえる圧巻の光景に見取れながら俺達は、街の
中へと進んで行った。
街の中心手前は大きな湾になっていて、それ以上進めない……と思っていたら、
運河沿いの道の端に渡し場があり、これで湾を渡って街の中心部向かえるようだ。
馬車はここまでらしい、ここテネアに馬車などで陸上から荷物を輸送する場合、
馬車の荷物はここで降ろされ、船でテネアに搬入されるらしい。
なので、俺達もここで馬車を降り、中の荷物を降ろして、
馬車を元のカプセルに戻す。
「戻れ!」
そう言って、カプセルを投げた時のポーズの逆再生のようなアクションをすると、
馬車は”ボワット”消えて俺の手元にジッポライター型のカプセルが戻ってくる。
次に、ユニコーンを送還し、シノブとミオンがマジックボックス小をそれぞれ、
背中に背負い、ゲキとクレアさんが、マジックボックス中を2人で運び、俺とシノ
ブがバイクを押しながら渡し場へと皆で向かった。
渡し場に着くと、そこには長さ6m、幅2m位でかなり平べったい感じの船が4艘
浮かんでいた。
運賃を聞くと、人1人100ドルマ手荷物は無料だが、ゲキとクレアさんが持っ
ているマジックボックス中は別料金で200ドルマかかるそうだ。
そして俺とシノブが押しているバイクは……馬1頭200ドルマだそうだ。
8人分の運賃800ドルマに荷物代200ドルマそれに馬2頭で400ドルマ合
計1400ドルマの銅貨14枚を船頭さん?船長さん?に渡し、皆で船に乗り込ん
だ。
船の船尾には櫓があり、そこには船頭さんでなくオートマトンが櫓を持って立っ
ており、その横にある椅子は船頭さんが座って舵をとるための席だそうだ。
船に乗りしばらく待っていたが、俺たち以外お客が来ないってことで、船頭さん
は船を出した。
船が進むにつれテネアの街並みがはっきり見えて来た。
俺達の世界ほどではないが、街の建物は軒並み10階くらいの建物がびっしり並び、建物前にある運河は、まるで道路網のように街のあちらこちらに走っている。
そして、陸上を移動しる為の道は、運河沿いに同じように伸びてはいるが、まるで、運河が車道で、道は歩道って感じになっている。
「スゲー!」
と思わず声を出す俺だった。
テネアのモデルは、勇者ラ〇ディーンのムトロポリスを参考にしました。




