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θ19

「意義あり!!」


 某何とかゲームみたいにそう宣言したサイオス。その無駄な勢いだけでにじり寄ってた兵士たちを止めて見せる。けど問題はここから続く言葉がでてくるか……だ。


「彼女は重要参考人だ。それをかばいだてするというのなら……君にも疑いの目が向くことを覚悟することだ」

「上等! 俺にやましい所など何もない!! 俺は魂に従って生きてるからな!」


 なんの迷いもなくそう言い切るサイオス。ギルドの中の何人かはそんな宣言を聞いて呆れるやら、密かに笑うやら……反応は様々だけど、大体「またか」みたいな空気が感じれる。うん、やっぱりこいつがこんな奴ってのは周知の事実みたい。


「なら、その魂とやらに従って彼女をかばうと?」

「かばうは違うな。俺は俺を信じてるだけだ!!」


 もうこいつ私、関係なくなってない!? むしろ、私はどうでもいいのでは? てか論破はどうした? 私はとりあえず庇ってもらっておいてなんだけど、一度膝裏を蹴って置いた。


「わかっている。全くじゃじゃ馬め」

「誰がじゃじゃ馬よ。誰が?」


 私たちは小声でそんなやり取りをして兵士の人達に向き直る。多分目の前にいる無精ひげのおじさんが一番偉いんだろう。つまりはこいつを論破できれば、とりあえずこの危機を追い返せる。出来ればだけど……私はあんまり積極的には動けないからね。私はこの見た目だし、顔を隠してるからって美少女感? って奴は損なわれないのだ。なのであんまり目立つことをしたらバレる。声だって私は美声だからね。あんまりしゃべるとラーゼだってことに気づくやつがでてくるかもしれない。


 まあ私の狂信者的なサイオスが気づいてないくらいだから、やっぱり声って奴は結構曖昧なものなのかもしれないけど。でも要人は必要でしょ。私、自分を抑圧するのは嫌いだけどある程度なら我慢はできるよ。そこらへん、ちゃんと成長してるからね。


「それで君はその信じる彼女の為に何をする気だ? 私たちを倒すか?」


 ちらりとサイオスの武器を見たおじさん。一応警戒してるみたい。こんなところで馬鹿なことを起こすわけないと、思ってそうだけど、こいつにはそんな常識通用しないですよ? 実際論破できなかったら暴れると思う。そんなことを思ってひやひやしてる私を他所にサイオスは口を開く。


「いいや、その必要はない。彼女に罪などないのだからな!」

「それは君が決めることではない」

「いや、俺が決める! なぜなら、俺が英雄だからだ!!」


 論破とは!? どこら辺が論破だったの今の? 論破のろの字もなかったよ!? おいおい……なんでこいつどやってるの? どこにドやる要素あったの? 私はなんか頭痛がしてきたよ。よし、こいつを囮に逃げようそうしよう。もうそれしかない。私は意思を固めて拳を握る。多少手荒になるがしかたない。ギルドの立て直しは補助金を出してあげるよ。そうおもって地面に拳を打ち付けようとした時だった。何やら後ろからバタバタとした音が近づいてきたのは。


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