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θ7

「「「皆!! いっくよー!!」」」


 そんな私達プリムローズの声が響いて、同時に大きな声が重なって響く。私たちは再び舞台へと立ってた。これで三回目のライブである。毎回毎回お客様は満員御いや、やる度にその数は増してるまである。それだけ私達に魅力があることだね。まあ私がいるから当然といえば当然なんだけど。でも実際に私が一番人気かと自信を持って言えるかといえば……そうではない。


 だってなんかやっぱり私は近寄りがたい存在のようなんだよね。いや、それはそれでいいよ。私の神聖さは何者にも汚されないからね。けど、けどさ……明確に私だけなんか別次元って疎外感があるっていうか? 具体的に言うと、皆の人気遠巻きに眺めてるだけって悲しい。私が同じ土俵に立てないことが問題だけどさ……それでも私は誰よりもちやほやされたいのだ。


(ステージでは問題ないんだけどな……)


 ここでなら私に皆の視線が集まる。みんな興奮の中でなら私を直視できるらしい。だから私は今、ステージ上が一番好きだ。もっぱら気合入りまくり。激しく体を動かして笑顔を振りまく。目が合ったらパチンとウインク。そのままその誰かは昇天してしまったかもしれない。



「ふう……」


 楽屋にて私たちは用意されてた水を喉に流し込む。今日も今日とて大成功。私たちの知名度は人種の国の全ての領に知れ渡ってる事だろう。


(ツアーも考えないとね)


 私は同じように水を飲んでるプリムローズのメンバー達を流し見しながらそんなことを考える。知名度はうなぎ登りに上がってる。それは蛇の報告からも明らかだ。でも車……まあここの世界ではダンプだけど。それを使ったとしても遠いから誰もがこの領にまでこれるわけじゃない。それにあの戦いの傷跡を抱えた場所ではこんな娯楽に目を向けてる余裕はきっとない。


 これないなら行けばいい。私達には船もあるしね。もちろん、船といっても海を進む奴じゃないよ。空を飛ぶ船である。私はもうそれを手に入れているのだ。約束の地とかも亜子の為にも探してあげたいけど……いかんせん、最近はちょっとね。まあ最近というか二年前からだけど……少し亜子は変わってしまった。キララもそうだけど……二人ともちょっと疎遠気味だよ。


 だから本当はあの二人を誘いたかったんだけど……そんな雰囲気ではなかった。まあ結果的にこのメンバーでよかったと思ってるけど。


「ラーゼ様、呼ばれてますよ」


 そう言ってくるのはミラだ。最年長の十七歳。鮮やかなウェーブかかった金髪がきれいでちょっときつめの目が、でもそれがいいって感じの娘。彼女が実質的にはリーダーみたいな? 私はセンターでリーダーはミラなのだ。私はみんなをまとめないからね。ミラは皆のお姉さん的位置にいるから自然とそんな感じになってる。ミラ自体はそれを否定してるけどね。


 ミラの言葉で周囲を見ると、皆がこっちをみてる。そして聞こえるアンコールの声。皆意味は分かってないだろうけど、これをライブ終わりに言えば再び私たちに会える。その一心で叫ばれる声。


「そうだね、これ以上待たせてもね……いこっか?」


 その言葉に皆がうなずく。コランも数回のライブで少しは度胸がついたのか、おどおどとはしてはいない。私達は歩き出す。あのステージに向かって。


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