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「ようこそ、ククール神」
そういって取り巻きどもの中からカサノヴァが現れる。相も変わらずメイクが濃くて、けばけばした印象のある神である。まるでキャバ嬢のようなさ……てか神なんだからその見た目は自由自在のはずなのに、なんでちょっと……そうちょっと歳行った感じの見た目なんだろうか? もっと若々しくてもいいと思うんだけど、カサノヴァの見た目は40代の見た目のキャバ嬢というか? ママ? みたいな?
それに服装だってキャバ嬢みたいなきらびやかな夜の服……みたいな感じだ。さらにその髪は盛られに盛られてる。三つの山……いやドリルのように盛られて逆立つ髪の毛は20種類のくらいの色で彩色ミスか? ってくらいの色使いをしてる。
それにその毛量も自身の伸長を超えるくらいにはある。カサノヴァは女性の見た目をしてる。いや本当に女性か? と思う部分もあるっちゃある。なんかおねえ? というかニューハーフというか? そんな気がしないでもないが……かなり背丈があるのだ。そして頭にはその身長よりもありそうな山のような盛られた髪。
それも20色のカラフルさ。これが目立たないわけはない。派手な扇子を口元に持って行って怪しく「ふふふ」と笑ってるカサノヴァ。それに対してククール神は丁寧にこういった。
「話を聞いて下さりありがとうございます」
「そんなにかしこまらないで。なにせ私たちの仲……でしょ?」
言ってることはまともなんだけどね。なんかその目が怪しいというか? だってカサノヴァって恨みは絶対に忘れないってタイプの女の嫌な所を煮詰めたみたいなさ……そんな神だよ? そんな奴がどうにかこうにかうまくやってきて上位にまで上り詰めた。きっと力にも自信があるんだろう。
ここまできたというプライドはかなりの高さ……もしかしたらカサノヴァのあの髪の毛は自身の三つのプライドを表してるのかもしれない。一つの山はそれこそプライド。自尊心だ。そしてもう一つの山は力への自信。そして最後の山は自分の容姿? の自信かな? 私的にはなんでちょっと歳食ったような感じの見た目にしてるのかわかんないが、カサノヴァの『美』的にはあれがきっと一番の美しさ……なのかもしれない。
私の美しさはそれこそ「ナチュラル」だ。素の輝きってやつを何よりも重視してるといってもいい。だから別に実際見た目がどんなに化け物でも、素がかわいらしいんなら、それもありじゃん? ってスタンスだ。だってかわいいは見た目だけじゃないからね。
けど、カサノヴァはきっと違うね。私とは真逆。カサノヴァの美は『盛る』ことではないだろうか? それかこういってもいい。「かわいいは作れる」とか「誰もが盛れば美しくなれる」? ――とかじゃないかな? まあ否定はしないよ。メイクってそのためにあるしね。でも……カサノヴァのはさすがにやりすぎ……とは思う。




