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「この宇宙の未来を勝ち取るのはこの宇宙に残る人たちで……と思いません? それなのにここに集まった奴らは……ふふっ」
私は悪そうに笑ってあげる。ここは私の領域だけど、とりあえず外の様子をモニターのように映し出してあげる。ほら神なのにみんな絶望した顔してるよ。それかゾロゾロと集まってるやつら。カサノヴァの奴らだね。
まあ実際、誰でもいいんだよ? 始祖の龍に立ち向かう気があるのならね。けど、カサノヴァはきっとそうじゃない。
「こいつ、良からぬことを企んでそうね」
「カサノヴァ神ですね。確かにあの神には黒い噂が……いえ、そういえば貴方は」
思い出したようだ。私とカサノヴァの対立を。私はあいつに殺されたからね。まあお陰で始祖に成れたとも言えるが……でもそれは結果論である。下位の神を上位の神が面白半分でいたぶってくれたんだ。
あんなのはいじめだよ。私が始祖になったのはたまたまだし、色々と運がよかっただけだ。きっとカサノヴァは前科が沢山あると思う。あいつはそういうやつだ。自分のお気に入りをあつめて、それを拒否した奴を排除してきたにちがいない。
「このままにはさせないよ。まああいつがここに集まってる神たちを上手く誘導して始祖の龍と戦ってくれるっていうなら別だけど」
それをやってくれたら私が直接手を下す必要はないだろう。水にながしてもいいと思える。まあほぼそんなことないと思ってるが。だってカサノヴァ神とかいうやつは、自分大好きなのだ。
それは私もだけど、私はこんなにか弱くて可愛いのに、自分自身を危険に晒すことだってやってるよ。けど……カサノヴァは自分が可愛くてしかたないから、他者しか使わない。自分の安全を絶対に確保して、他の奴らを操り人形のように使う。
それを徹底してるやつだ。もちろん勝ちが確定してる状況なら、奴は喜んで痛ぶりにいくんだろう。奴はそういう奴。だからこそ、あいつが沢山の神に声をかけて自身の取り巻きを増やそうとしてるのを見ても、それはきっと始祖の龍をどうにかするため……じゃないんだろうなって逆の確信があるよね。
「それは……」
どうやらククール神もカサノヴァ神のことはよく思ってないらしい。困ったように顔してる。
「でもあいつが貴重な上位の神なのも事実。ねえ……貴方沢山の神から信頼されてるんでょう? なら、カサノヴァも良いように誘導できない?」
あのなんでも手駒にできると思ってる神を裏から操って始祖の龍の前に引っ張り出したら面白いと思わない? 上位の神の責任……取らせようよ。




