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「確かに私の占いでも、始祖の龍の滅びまでは見えません。そもそも始祖が滅びるものなのかも私にはわからない」
それはある。そもそも神からして滅びってやつはほぼ存在してないし? ならばそのもっと上にあるような始祖が滅びるってことは……ね。でもさすがに同格の存在に食われたら滅びると思うんだよね。だから私にとっては始祖の龍との敵対ってリスクが大き過ぎるんだよね。
だって下手したら私は始祖の龍に食われてそのまま終わりになるんだよ? 私はこの宇宙と共にご臨終したいわけない。
「そうだね。でも私は少なくとも格では始祖の龍と同格なの。同じ奴なら殺せるかもしれないわ。でも今の場合は、私が負ける確率がめっちゃ高いのはわかるよね? 私はこの宇宙の為に死ぬなんてごめんなの」
勝てないのなら、さっさと逃げるに限るよね? 私は逃げる事を恥だなんて思ってないし? そんな戦いの中で死にたい! なんてバトルジャンキーじゃないからね。逃げて生き残ったら勝ちでしょ? そんな心持ちだ。
「それはごもっともです。それならば、この宇宙の存在をそちらに移すというのはいかがですか?」
そう来ると思った。勝てないのなら、こっちに移住しようとするのは当然ではある。だって現宇宙ではどうあっても始祖の龍から逃げることはかなわないからね。ここにいる限り、始祖の龍の餌になるのを待つしかない。それが嫌なら戦うべき。
でも勝てる可能性は限りなく0%だ。そうなると逃げれる場所があるなら飛び込もうとするのは神も人も変わらないだろう。でもね……そんな甘くはないのだよ。
「私の宇宙は私のルールの元に作られてる。簡単に受け入れられるようなものじゃないわよ」
「それは……」
私は脅しを入れておいてあげた。じっさいは受け入れようと思えばできる。まあ広さ的には? 全然足りないが、そこはほら、私って始祖だし? 神たちを別の存在に置き換えるとか、マクロレベルにでもするとか方法はいくらでもある。
でもそんなことよりも、あんまりこっちの宇宙の存在を入れたくないってのがある。だって……
(親しい奴らはいいけど、ほかの奴らは……ね。私はこの宇宙の代替え先じゃないんだよ)
それである。あと他にも理由がある。
「それにね。ただ逃げてきた奴らって、どうなの? 私そんな奴って嫌い……なのよね」
別に始祖の龍を倒せなんて言わないよ。でもただひたすらに逃げの一手ってどうよ? 大体の神が私よりも先輩な訳だよ? この現宇宙に思い入れとか、作ってきた宇宙とか長いハズじゃん。なのに逃げるの? 私よりもいろんな思いとかあるはずでしょ?
そんな気概の奴らを入れても……ね。反乱分子とかになるだけじゃない? 私の宇宙は私の宇宙だからこそ、自分の気に入った奴だけでいいんだよね。それができるのが始祖でしょ? 始祖はわがままなんだよ? 始祖の龍だけじゃなく。私だってそうだ。
そこはもしかしたら始祖の共通点なのかもしれない。




