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「そんな! 貴方は――」
私は手を前に出してその勢いを止める。あまり無駄な言葉は紡がない方がいいよっていう警告だ。それを察したのか、ククール神は口を噤んだ。
「貴方は色々と見えてるんでしょう? その占いとやらで。なら、私が今どういう存在なのかわかってるんじゃないのかな?」
私はもうこの宇宙とはほぼ関係ない。それに自分が避難させたい存在はもうほとんど新生宇宙に移してしまった。あとはヴァラヴレレイドくらいである。ヴァラヴレレイドが望めば彼が守ってる宇宙の存在とか? あとは彼と関わり深い神ならまあ、招いてもいい。
でもそんな話はあいつしないからね。どうにかこうにかこの現宇宙を守ろうとしてる。だからまだ私はこの宇宙に関わってる。それだけだ。それも見えてるんじゃい? ってこと。つまりは私はいつだって一抜けできる立場なんだってこと。
そう思ってると、ククール神はその場に膝をついて視線を私よりも低くする。私よりも背高かったもんね。見下ろすのは不敬だと考えたのかもしれない。更に体を小さく丸くする。三つ指をついて、小さく小さくなった。それは土下座の姿勢だった。
神にも土下座の文化が? とか思うけど、まあわるくない。神がへりくだってるのは気分がいいものである。まあでも……
「顔を上げてよ。そのきれいな顔、みせて」
私はきれいな女性はじっくり見たい派なんだよね。土下座は確かにへりくだる姿勢としては最上級だ。合格といっていい。でも……きれいな女性を愛でる姿勢としては0点だ。
だってきれいな女性の顔も、首も鎖骨も腕もおっぱいも腰も脚もこぢんまりと縮こまってしまうからね。それは……眼福じゃない。土下座だと上から谷間を楽しむこともできないからね。
これはいただけないよ。まあククール神は別に大きくはないけど、寄せてあげれば谷間はきっとできる。
「お願いします。私たちを見捨てないでください」
私は顔を上げてって言ったのにククール神は顔をあげない。それは覚悟を示してるのかもしれない。私が協力すると言わないと彼女はそのご尊顔を堪能させてくれないのだ。
「私だっ始祖の龍には勝てないわよ?」
そこははっきりと言っておかないといかないよね。下手に希望を持たれても、希望を押し付けられても困るからね。




