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対価……見返り……それらって何かを求めるのならどうしたって必要になるものというか? むしろ、むしろだよ? それらを求めない、無償とかいう方が人によっては、いや神によっては信じられない……とかあると思う。
「何もいらないですよ」
――程信用できないっていうね。まあある意味でそれは心が淋しいのかもしれない。でも、気持ちもわかる。だって私は要求にはちゃんとした見返りを求める側だからだ。
「私のこと、知ってるの?」
一応この見た目は今回始めて使ったんだけど? 目隠ししてるが、実は見る人が見たらちゃんとかわいい! という風に造形したんだけど? そこに注目……したわけじゃないよね。きっとククール神は私がラーゼだと気づいてる。
「もちろんですラーゼ神」
「貴方とは会ったことないと思うんだけど?」
それに……だ。それに私の今の力は新生宇宙の方の力によってる。いやほとんどそうだし? そうなるとこっちの神時代の私に会ってたとしても、同一人物と見るのは無理があると思うんだけど? だって神の本質はその力。その魂。魂には変化はない……いやあるのかもしれないけど、力程変化はしてないと思うけど、普段から魂を感じてるわけはないからね。
そこは一番重要な部分だし、そんなオープンにしてる神はいないだろう。それに普通は会ったこともなかったから、その力を感じたりもしたことないんだからさ、新旧で変化だってわかりようもないはずだ。
だって基準がないからね。でもこのククール神は私を私だと見定めてる。それはどうして?
「私は、大抵の事は見通せるんですよ?」
そういって彼女は琥珀的に微笑む。占い師前としてつけてるのかは知らないが、その口元を覆ってる薄い布の奥の唇が僅かに笑ってるのが見える。見える……か。確かに占い師なんだから見通せるし、その実力は確かなのものなんだろう。だってあれだけの神がこんな状況の中彼女にすがってたんだよ?
ならばそれだけ神に信用されてたということだ。でもそれならだ……私は一つ気になることがある。
「貴方占い師なんだよね? なら、私がこの宇宙を救う未来が見えてるのかな?」
意地悪く、私はそんなことをきいてみた。




