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ククール神はこっちに顔を向けてこない。それは私が目立ちたくないってことをわかってるから、あくまで私に向けて言ってるわけじゃい体を示してくれてるのかもしれない。でもこうやってそれぞれ別の方向を向いて会話をしてたとしても、ずっとこうしてると、「ん?」――とおもう奴は出てくるだろう。
「ふぇぇぇぇぇぇん! やめて、 私は違うんですー」
そんな風に泣いてるロリっ子神には悪いけど、もうちょっと周囲の神達の視線を釘付けにしてもらおう。静かにこの場から離れようとするククール神。それに私もついて……いくわけない。でも大丈夫。私もククール神のことはきになる。
それに……
「占いは使えるか?」
って思った。そもそももう神たちはそういう曖昧なものにすがる程に追い詰められてる。追い詰められたら藁にも縋るというのはきっと人も神も変わらないんだろう。そういう弱みにつけ込んで、うまく逃げ腰の神やら龍とか竜を動かす。
「でもただ動かすだけじゃ意味もない」
ただ死地に送り出すことになる。それだと始祖の龍の腹に自ら飛び込んでいってるようなもの。でも……ここの神たちがゼーファスみたいに自身の存在を更に上の……いや別の存在に昇華できるか? っていえば無理だろう。そんな志なさそうだし? 覚悟だってそうだ。
ゼーファスにはこの宇宙を導く覚悟があったんだろう。でも今ここに集まってる神の気持ち……それは「逃げ」――が大半だ。逃げてきた。逃げないと。怖い……そんなのだろう。
それは立ち向かう者の気持ちじゃない。気持ちなんて……とはいえない。だって気持ちが負けてたら勝てるわけないのだから。もしもこっちが完全に強くて、その気持が謙遜からくるものなら、問題ないんだろう。
けど逆だからね。圧倒的に始祖の龍が強いからね。気持ちで負けてたらいくら数を揃えても……始祖の龍には意味なんてない。このままではね。でも……もしも私が彼ら神を皆別の存在に置き換えることができたら? ちょっとは希望があるかもしれない。
説得? なんてのは私はしたくない。面倒だし? でもそれをすがられてるこのククール神に任せれば……うまく神たちを使えるかもしれない。とかおもった。




