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このままではヴァラヴレレイドとウサギっ子が始祖の龍にやられてしまう。それが見える。予言とかでなく、これは確実にすぐ来る未来だ。ウサギっ子はさっさと移動をしたらいいと思うんだけど……始祖の龍相手ではその余裕がないらしい。
もっと明確な隙……ができたらウサギっ子ならヴァラヴレレイドごと逃げる事はできそう。なにせウサギっ子の移動の術はまさに本当の天才の所業というか? ちょっと訳わかんない領域だからね。
神となったことでその特性が覚醒したみたいだ。生物だったときには別に空間移動とか使えるようなやつではなかった。そもそもがウサギっ子達のような獣人は魔力とか低かったからね。魔法を使う……なんて発想がなかった。
その延長線上に来たわけだけど、何故か獣人という縛り? から解放されたウサギっ子は「移動」がとても得意になった。まあ獣人の呪いが解けた時点で実は魔法とか使えてたみたいではあるが……でもそういう『使える』みたいなレベルじゃないからね。
今のウサギっ子はまさしく自然と足を前にだすように、空間とか時空とか超えて『移動』をできる。それに煩わしさを一切感じてない。実際、今なおヴァラヴレレイドと二人して生き残ってるのはその自然すぎる『移動』の賜物といえる。
まあ後は始祖の龍の遊びも大いにあるだろう。なにせ始祖の龍は現宇宙の全てを握ってるやつだ。未来も、そして過去も握ってる。未来を確定させることが始祖の龍にはできる。だからいくらウサギっ子の移動が天才的でも、確定されてしまえばそれは自ら飛び込んで行くようなもの。
だから始祖の龍と相対したときには既に終わってる……ということができる。最悪ね。だからまだ遊んでるといえる。まだおわってないから。私という存在がいないから、始祖の龍は今や頂点! って感じなんだろう。簡単に言うと調子乗ってる。
いやとうぜんだよ。わかるわかる。
「外なら、始祖の龍に悟られることはない?」
でもここから攻撃はできないからね。でも……
(もしもーし、聞こえる~? おーい)
私は念話を試みることにしてみた。ここ、宇宙の外である無から現宇宙の中へと通信ができるのか? ってのを確かめようと思った。
(おーい、もしもーし。ちょっとー)
(うるさい! 何よ!! 今忙しいの!! てかあんたどこにいるのよ!?)
どうやら念話はできるみたい。それにしても、キーキーとウサギっ子の声が頭に刺さるようだよ。




