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静かになった。なにせ今やこの外……宇宙の外である無には私しかいない。さっきまで蝶がいたから寂しさ? なんて感じなかったけど、ここは長時間一人でいたら頭おかしくなってしまうかもしれない。
だって音もなにもないからね。自分の鼓動がやけにおおきく聞こえる。ここにずっと一人でいる? やっぱりあの蝶はおかしいね。まあ元から一人……ならそれでもいいのかもしれない。淋しい……って気持ちもわかんないのかも?
でもあの蝶も始祖の知り合いがいるとかいってた。なら「淋しい」という気持ちがわかるはず。さらにいうと他の始祖が作ってる場所にはいってるようだしね。そこで沢山の命をみてるはずで、命があるところには家族とか社会があるじゃん。
そんなあふれかえる命を見てきても、あの蝶はずっと一人を選択してきたってことだよね?
「本物のボッチか……プロボッチだね」
しかも誰も追随なんてできないほどの本物……それがあの蝶といえる。だって何億? 何兆? いや、もう私が知ってる単位では表せきれないほどの年月をボッチとして過ごしてきたはずだ。それこそ宇宙の年齢よりも上だろうだからね。
何十年引きこもりとかしてる程度のボッチとか全く相手にならないよ。なにせあの蝶は自身の信念でそれをやってるぽいからね。
「さてと、どうするか?」
このままこの現宇宙に入っても……と思って外で考えてるわけだけど、この宇宙はあの蝶が言った通り始祖の龍の宇宙だ。私がなにかできる事ってすくない。外から始祖の龍に嫌がらせでもしようか? と思ったけど、そこら辺は対策というか? 外からの干渉を防ぐような感じになってるみたいだ。
そんな頭があるのか? って感じではあったけど、でも当然でもある。だって他の始祖はいるのだ。そして始祖の龍が警戒するのは宇宙の中の存在では当然ない。そうなると警戒するのは自身の畑である宇宙を横取りする可能性がある相手……野生動物は何よりも自分の獲物を横取りされたら怒るだろう。
それはきっと始祖の龍も同じ。そしてそれができるのは始祖だけだ。だから外への警戒心を強めてるのは当然だ。じゃあ外からは何もできない? いや、ちがうね。確かに直接始祖の龍へは外からはできない。
でも……外からなら宇宙がよくみえる。宇宙って中に入ったら広大じゃん? それこそ今の視界に収まってるのがおかしいよ? 私は別に大きくなったわけじゃないからね。ただ無ではスケール感が小さくなってるってことだろう。
でもおかげで広大なはずの宇宙を見渡せる。私が知らない神達の動き……そういうのがわかる。もちろん、全然余裕はない。現宇宙は諦めムードになってるといっていい。辛気臭い……とはまさに今の現宇宙の状態のことだろうって思えるよ。




