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『急いでた理由はそれなんだね』
私はとりあえず蝶に事情を離してみた。もちろん困ってる感をありありとだしてね。それにちょっと涙だって……まあそこまではやってないけどね。やり過ぎはよくない。ちょっと困ってる感でいい。
あまり深く困ってる感を出すと、蝶も困るだろう。
「なにか対策はあるかな?」
『対策……かぁ』
蝶はなにか考えてるようだ。ここで私が期待してるのは「それなら私が一緒にいくよ」――とかだ。まあけど、どうやら始祖の共闘はなんかできなさそうだよね。だって一緒にいるだけで引き離されるんだよ? そうなると一緒に共闘なんてこの無が許しそうにない。
(いや、でも現宇宙は無じゃないし? いけるのか?)
無は始祖をひきはなそうとしてくる。でも宇宙は? そこはわかんない。それに……私達は始祖だ。お互いになにかマークというか? 発信機てきな物を仕込んでおいて互いの場所がわかる用になってればいくらでも超えて集えそうじゃない?
だって私達始祖だし。時間も空間も、次元さえも私達を隔てる壁にはならない。色々と始祖の共闘を想定してる私。けど蝶はこういってきた。
『だめだよ』
「うん?」
『私達で喧嘩はメッ――です』
そう言って私の頭にのる蝶。私の髪飾りになってくれるの? それはありがたい。似合ってるしね。でも私と始祖の龍の争いは喧嘩というレベルじゃない。いや、正確には喧嘩ではない。
私が始祖の龍の食事を邪魔してるような? そんな感じだ。
「喧嘩というか……私は始祖の龍を止めたいんだよ。いうなればこれは仲裁だよ」
ほら、仲裁とかいうとなんかこっちが正しいような気がしてくる。でも蝶は鋭い所をついてきた。
『その場所はその龍が作った宇宙なんだよね?』
「それはそうだね」
『なら、その場所の所有者はその龍ではないのかな? その龍がどうしようと、それは仕方ないと思うな』
案外この蝶ドライだな……とか私は思った。まあけどこの蝶はここでずっと過ごしてるんだし、誰かと関わったこととかないんだろう。友達も私が初めてみたいだし……それにこの蝶の視点は始祖……としての視点しかない。
私達が作る世界には無数の命があるんだよ? 確かに作ったのはあの始祖の龍だ。けど、無数の命は始祖の龍の所有物なのか? ということだよ!




