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&497

『友達……になってくれるの?』

「もちろん。別に離れ離れにしかいられなくても、私たちは友達だよ」


 私のその言葉に蝶はとてもうれしいのか、私の周りをヒラヒラと飛んでる。さらにその体から出てる光の鱗粉がよりキラキラとしてるような……そんな気さえするね。感情に反応してるんだろうか? 

 ふふふ、私的にはこれ以上の相手はいないって感じでとてもいい取引というか? 『お友達』だよ。だってこの蝶は別になにかとんでももない物を要求とかしてこなさそうだしね。始祖同士で何か契約をする……とか想定してなかった訳はない。もしも始祖の龍と対話が出来たのであれば、話し合っての解決とかあったし? 

 けどその時に何を差し出すのか……それはきっととんでもないものになるはずだ。だって始祖は自身でなんでも生み出せるし、手に入らないものがあるのか? って感じだ。世界も、命も意のまま……それが始祖だ。

 さみしかったら世界を想像して沢山の信者に囲まれればいい。金銀財宝が欲しかったら、手のひらからだっていくらでも出せる。心躍るような冒険がしたいのなら、それ用の星でも作ればいい、干渉する側になりたいのであれば、新たな命を配置すればいいのである。


 ほら、私達始祖にできないことなんてない。そうなると始祖との取引ってなにかよくわからない。だから想像もできないような、とんでもない物を要求されるんだと思ってた。でもこの蝶には欲がないのだ。

 ずっとこの無で命も何も生まずにただ漂ってただけみたいだしね。退屈とは言ってるが、別に自身で何かを生み出すこともしてない。実は始祖じゃない?


(いや、それはない)


 だってとんでもない力を内包してるのは私も感じる。間違いなく、この蝶は始祖だ。でもその力を一切使ってない。そして使う気もない。こんな都合がいい相手がいるだろうか? いや絶対いないよ!

 まあ都合がいいからって私は蝶になんでもさせようなんて思ってない。


「実は今困ったことになっててね」


 ――という体でちょっと話をするだけだ。私って実はここでこんな油を売ってていいわけじゃないんだよ。現宇宙は今まさに始祖の龍に食われつくしてるかもしれないからね。


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