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『それは……わかんない。けどきっと困るから?』
「困る……それってそれを不都合に思うやつがいるってこと……だよね?」
私は始祖にまでなったんだからこれで安全だろうって思ってた。だって神を超えた存在だ。神も、竜も龍も超えて、さらに古龍までも超えた存在。力関係的には古龍>龍=上位神>中位神=竜>下位の神――みたいな感じだ。ざっくりとね。
そんな力の中、私はいろんなことをすっ飛ばしてその力関係の外にいるような『始祖』へと至った。始祖だよ? 他に並び立つようなやつなんていないじゃん。始祖の龍が確かにいたが、私はもう別の宇宙、全く違う宇宙を作ってたわけで、既存の宇宙を始祖の龍が食い尽くしたとしても私には逃げ道がもうある。
それで余裕を持てた。なのに……もしかしたら始祖にまでルールをおつけれらる奴が……いる?
『ううん。誰かがいるわけじゃないよ。私たちは、いるだけで迷惑だから』
「ええ、なにそれ?」
何その生きてるだけで公害みたいな言い方? ちょっとショックなんですけど? いやいや、私たちはゼロから一を生み出せる始祖だよ? 生命だって意のままな始祖だよ? そんな始祖が迷惑なわけないでしょう。だってこんな何もない場所にも始祖なら新たな『始まり』・『創生』を作り出せる。
私たちはすべての起点であり、原点。ほらそう思えば、迷惑なんて思えないよ。
「私たちはとってもすごいんだよ!」
私はそう力強く蝶にいってあげる。だって特別なのはほんとうだ。私たちのような存在はそうそういない。それなのに『私なんて』のはおこがましいよ!! 今の所始祖って確定してる数って私と蝶と始祖の龍と蝶が過去に分かれたっていう存在だけだ。つまりは四……四体である。たったそれだけだよ? もっといるのかもしれないが、そんな数体が数十・数千・数万……いやもう数えきれないくらいの命が生まれる宇宙を生み出して作り出せるんだよ?
そんな私たちに価値がない? 迷惑? そんなことを言うやつがいるのなら私が代わりにぶっ飛ばしてあげるよ。まあ蝶の発言的にそういうやつがいるわけじゃないみたいだけど。
『私たちはすごい? けど、私たちここに変化をもたらしてしまう』
それがいいのでは? とか思うけど、蝶はずっとここにいるみたいだからね。それに別に欲も何もないみたいだし、変化なんて求めてないのか。始祖と始祖がいたらその変化が周囲を巻き込むから、こうやって無が引き離す? そういうことなのかな?




