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「ねえ、私達って友達になれると思うんだけど?」
『友達? それってどういう物なの?』
やっぱりこの蝶は友達というのもわかんないらしい。でもそれはしめしめ……である。この蝶は純真だ。まさに何にも染まってないといえる。私は思った。この蝶と協力したいと。だって普通に考えて私だけでは始祖の龍には勝てない。
でも勝てる可能性は私にしかなかった。同じ始祖だったからね。他でははっきりいって、勝負にだってならないだろう。一時的に攻撃を通す……というのはできるかもしれない。
でもそれは宇宙内の存在の全てをかけて……というクラスである。それをやったら死あるのみ……っていうね。けどそれをやったとしても、始祖の龍を完全に倒せるとは……いえない。寧ろ倒せない確率が90%はある。
でも……だ。でもこの蝶なら……
(この蝶はきっと私達と同じ始祖だ。なんでこんな出会いが起きたのかわかんないけど、この幸運を掴まない手はないよね)
それに何をいってもこの蝶暇そうだし。これがめっちゃ忙してくせわしいやつだったら言い出しづらい。頼み事だってしづらくなる。そのくらいの遠慮? 気遣いと言ってもいいけど、それは私にだってあるのだ。
私は自分の事しか考えてないヤツ……みたいに時々言われるけど、決してそんなことはない。私は相手のことだってちゃんと考えてあげられるいい女なのである。まあいきなりお願い事は図々しいだろう。
歩み寄りが大切だ。与えられたから、与え返す……そうやって距離を縮めていくのだ。とりあえず私はこの無という場所でこの蝶に助けられた。ならば何かを与えなければ対等にはなり得ない。でもこの蝶が欲しいものってよくわかんない。だから真っ先に私自身……それを与えるのだ。
だって一番最初に話し相手が欲しいとかいってたし? そのくらいならやすいものだ。それに美少女にぬいぐるみが似合うように、この神秘的な蝶も私的にはグッドである。言うなれば「あり」――なのだ。
私の神々しさを高めてくれるよね。
「友達ってのはそうだね……一緒にいて楽しい相手で、気楽なあいてで、なにかしたいなって思ったら、真っ先に誘いたいって思う相手かな?」
友達が何なのか? というのは考えてみたら困る。でもとりあえず思いついた事を私は蝶にいってみた。




