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ピ、ピー、ピッピ――
そんな不思議な音か頭に響く。まるで誰かがチャンネル合わせてるような……すると次の瞬間だ。
『はじめまして』
そんな男か女かわかんないような声が聞こえてきた。とりあえず私も「こんにちは」とかえしてみた。そして檻にいれた蝶々をみて――
「貴方なの?」
――ときいてみた。すると肯定する言葉が帰ってきた。
『そうです。ここに別の存在を感じるのは珍しいので、なにかな? って思ったんです』
「ふーん」
何やら無邪気そうなやつである。なにか目的があるのかな? でも……普通にただ散歩してたら猫とか見つけたからちょっかいかけました……的な感じのようなきもする。だって別に緊張感とかないし……それに他にも緊張感を持てない理由はある。
それはこの蝶からは強大な力? というのは感じれない。いや寧ろ、まったく何も感じないと言ったほうが正しい。
「それで何か用?」
『よう? ですか?』
はて? って感じだ。でも私はこの存在が私を呼んだと思ってる。だってそうでないといきなりこんな場所に足止めされないでしょ?
「私、こんなところで止まる気なかった。でも強制的にここにこさせられた。それって、誰かの意思が干渉したってことじゃない?」
『なるほど、私が無意識で話し相手を求めてたのかもしれないですね』
案外あっさり認められてしまった。もっとなにか言い訳するかと思ったんだけど、本当にこの蝶は純粋無垢なのかもしれない。てかこんなところにいる時点で普通じゃないし……何とも関わってこなかったのなら、染まることもないもんね。
自分に影響を与えるのは他人である……でもその他人が一切いないのなら、何者にも影響されないものができる。それがいいことなのか、正義なのかはわかんないけど……誰にもかかわらないってことはその定義は自分だけの定義だからね。
常識とかも自分の中でだけの常識になる。そもそもそれでいうなら……
(よく挨拶したよね?)
挨拶なんて他者がいること前提の行為じゃん。でもここには何もない。ならば「他者」なんて概念がないかもしれない。でもこの蝶は挨拶をした。色々と自分で考えても仕方ないかもしれない。
ここはストレートにいこう。
「貴方は始祖なの? だから同じ始祖である私に興味を持ったとかじゃないの?」
『始祖ですか? なんですかそれ?』
「えーと……」
どうやらこの蝶は始祖という言葉事態しらないみたい。まあ……始祖とか言ってたのは古龍だし……彼等が名付けた可能性はある。そもそも始祖の龍は言葉を話さないからね。あいつが「始祖」なんて事を言うわけ無いか。
始祖たちは別に自分達を始祖……なんておもってないよね。まあこいつが始祖なのかはわかんないけど……めっちゃきれいな無に生息してる蝶なのかもしれない。
それはもう無じゃないじゃん? そんなの知らん。
『ふふ、でもなにか通じる物を感じるのは確かです。もっとお話したいです』
「それは私もそうなんだけど……」
私はちょっと困る。確かにこの蝶の誘いは魅力的だ。だってこの蝶の存在は気になるし? でも今この瞬間にも現宇宙が食われてしまうかもしれない。わたし的には諦めつくけど……このままじゃ後味も悪いからね。
「私探してる宇宙があるんだけどわかる?」
とりあえずいうだけ言ってみることにする。だって私、迷子だし? この蝶、コールセンターかもしれない。




