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「迷った……」
やっぱり無茶だったんだよ。無の構造もわかんないのに、どこにあるかもわかんない現宇宙を見つけようなんて……確かにズラララバライトとウサギっ子がいれば「まあ、行けるか」――と思ったのは事実だ。
だって二人はちゃんと現宇宙を『観測』してたんだからね。そんな二人を頼りにしてれば、私だって現宇宙を見つけ出せる……と思うのは当然というか? まさか私が迷うとは……
「おかしいな、ちゃんとついてったはずなのに……」
私は一人、どこともわからない場所で小首をかしげることになってる。取りあえず迷ったらその場を動かないことが鉄則だという。でもそれって救助が来る前提の事なんだよね。ここは無……である。実際なんていうのかは知らないが、一応私たちは無と呼んでる。
そしてウサギっ子がやってきてくれる? どうだろうか? 無理っぽい。だってあの子は点と点を一瞬で移動してるような? そんな感じじゃん。道路を移動してるん訳じゃなく、ワープゲートを使ってる感じである。
でもそれは当然だ。だって新生宇宙と現宇宙は道路でつながってないからね。寧ろ空間とかでも地続きじゃない。そもそもが物理的に移動なんてできない。じゃあズラララバライトに迎えに来てもらう?
それもむりっぽい。
「おーい、ちょっと誰か聞こえる?」
私はそういう声を頭に響かせる。でも反応する声はない。一応私の知り合いすべてに対して強制的にたたきつけるようにその声を送ってるんハズなんだけど……けどなんの反応もないとは……
「まずは一回帰るか」
すでに現宇宙とはつながりがなくなってる。だからこそ、私は迷ってるわけだ。でも私は新生宇宙とは強固につながってる。てか、そっちが私の宇宙なわけだからね。始祖である私が=新生宇宙といっていい。切ってもきれない関係? みたいな? だからそっちには帰れるはずだ。ウサギっこを独りで現宇宙に送ってしまった形になるが……まああの子はなんか簡単に行き来できるから、危ないと思ったら勝手に新生宇宙に帰ってくるでしょう。
だから私も帰ろうとおもった。無にいたってなんての面白味もないからね。なにせ無だし? けどどうして私はこんなことになったんだろう? ちゃんとウサギっ子を伝って移動したはずなんだけど……もちろん点と点でね。線ではない。それなのにいきなりこんなところに私はいた。
気づいたらいた。
どうやら別の点にでた……ということらしいが、そもそもそれがおかしいからね。そんなこと本当なら起こらない。普通ならね。でもそれが起こった。それなら、なにか原因があるんじゃないのか? と思うのは普通だろう。
その時だ。きれいな蝶がみえた。この無に、綺麗な蝶が、見えたの。




