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私は――コクリ――とコップを傾けて中の赤い紅茶を飲みました。このままではやばい。いや、やばいというか? 別にもうかかわらないのなら、別に関係なんてない。いくら現宇宙が小さくなっていってそこにいる神と龍達が少なくなっていこうと……まったくもって……そうまったくもって私には関係ない。
「もう見ないでいいんじゃない?」
目の前のウサギっ子がそんな風にいってくる。私の目が目の前の光景じゃなく、遠い宇宙を映してるのだとわかってる。そうだね。そうしたいよ。
「それならあんたもこっちに魂事移りなさいよ。なんで向こうにまだ軸足あるのよ」
「それは……当然じゃん」
当然とは何が? である。だってもう現宇宙は風前の灯火といっていい。そんなところにとどまってるのは今や自殺願望があるのと同じような?
「私は神になった」
「そうね」
私のお陰だけど。でもそれを言うと私も神になったのはおこぼれみたいなものだった。私は負けたからね。アクトパラスとゼンマイに……けど彼らのせい? おかげ? で神になった。そして今や始祖だ。まさか?
「私はあんたが嫌い」
「はいはい」
嫌いきらいも好きの内――ってあれだね。しってる。大体ウサギっ子がツンデレってのはもうみんなわかってるからね。だからそんな風に言われても私的には愛い奴め……としか思わない。
「このままこっちに魂を完全に移したら、私はまたあんたのものじゃない」
「まあそれは否定しないけど……」
でもそれを言うなら今もそうだけどね。だってウサギっ子は神になったけど、私の眷属的な神だよ? 私とつながった神だ。だからこそ向こう、現宇宙の神だけど、この新生宇宙でこうやって普通に生きてられてる。
それはとても特別な事だ。一応私と少しは関りがあるヴァラヴァレレイドだって龍だけど、こっちではそのまま生きるなんてできない。宇宙で生きられる龍の肉体も全く違うルールの宇宙には適応できないのだ。
風船のように膨らんで爆散したりしてしまうんだ。でもウサギっ子は余裕そう。それはとても特別な事。本当ならこんな風に軸が現宇宙にある存在が私のこの新生宇宙でこんな風に普通にいられるのはおかしい。
でもこうやって普通にしてられるのはそれはやっぱりウサギっ子が私の物……だからだと思うんだよね。まあけどこうやって反抗するウサギっ子はみててかわいい。だから叱ったりはしない。これもじゃれあいというか?
一種のウサギっ子の愛情表現なのだ。嫌いだと、嫌だと……支配されたくない……といいつつ、私が離れたらきっとウサギっ子は寂しいと思うだろう。そうこれは私を試してるのだ。私は絶対にウサギっ子を手放さないとわかってるから、こうやってウサギっ子はその中で反抗してる。
かわいいじゃない。
「じゃあどうしたいの?」
「私は……始祖になる」
「へぇぇぇぇ」
まったく、そういえば私が焦るって思ったんだね。かわいい奴も。私は足を伸ばしてウサギっ子の脚に触れる。




