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迷ってる場合じゃない。逃げるかあとちょっと時間を稼ぐか……でもドラグから送られてきたこれを信じるのなら……いやリスク高いけどね。
うまくいくかもわかんない。きっとこれはゼンマイの奴が予めドラグに伝わるように仕込んでたんだろうけど……
「ウサギっ子たちは新生宇宙に送るわよ。邪魔だし」
「はい」
私はそういってやられてるウサギっ子たちを新生宇宙に送るために力を使う。それはドラグは賛成してくれた。まあただ新生宇宙に放っておくってこともできない。けどかまってる場合でもない。
「みんなの事、頼んだわよ」
私はズラララバライトにそういった。それでみんなをズラララバライトに任して私は自身の中に残ってる向こうの力を集める。
実際、これ以降はもう使うこともないだろうしね。すでに聖杯もないしね。だから乗ってあげることにした。ドラグに……いやこの場合はドラグに託したゼンマイの奴にね。
一応ゼンマイの認識では私だってあの宇宙を管理する神だったわけだしね。
「でもよく考えたら先に私はあいつらの前で逝ったはず……」
実際ドラグだけでは宇宙を広げる……というのは難しかったはず。なのにドラグにゼンマイは託した。それは本当にドラグに託したのか、それとも私が生きてるってわかってた? わからないが、とりあえず私は向こうの、現宇宙を広げてあげることにする。
「ええーい!!」
そんな声を出してるが、別に声を出す必要はない。とりあえず気合を入れてみようっていう意気込みである。消えかけてた私の宇宙。
それが一気に再び息を吹き返したように広がっていく。それに対してきっと始祖の龍だってびっくりしただろう。だって誰もいなくなったはずの宇宙が息を吹き返したのだ。何が起きたのか……と思うのは当然だ。
「ドラグ、あんたも早く 戻ってきなさい」
「ラーゼ様、まだです。少しでも時間を稼ぐためにも、誰かがいた方がいいでしょう?」
「バカ! ゼンマイやアクトパラスの奴の為にそこまでする必要ない!」
私は怒ってあげる。だってこれは本心だ。アクトパラスの奴やゼンマイとかよりも私にとってはドラグの方が大切だ。だからそこまで肩入れする必要はない。
こうやって宇宙を広げてやっただけでも涙流して感謝してほしいくらい。でもドラグはこんなことをいってくる。
「違いますよ。彼らの為じゃないです。これは私たちの為です。お願いしますラーゼ様。私を新たに生まれ変わらせてください。貴方の、新生宇宙で」
そういってドラグは一人で始祖の龍へと向かっていった。




