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ぐて――と私は自身の身体から力を抜く。そしてキラキラとした光とともに……消えていく。食べたうさぎっ子の前から消えただけじゃない。私の今の体。龍の姿の体だって……消えていってる。
『ラーゼ!』
『ラーゼ様!!』
ルドルヴルヴとヴァラヴレレイドの声が聞こえる。私は視線だけ向けて、訴える。いやまあ、それが伝わったのかはわからない。けどとりあえず、私はそのまま消える事を選んだ。
「ぁあああぁぁ! ぬああああああああああああああああああ!!」
私の耳には苦しんでるみたいなゼンマイの声が聞こえてた。おい、お前らのせいだからな。一番責任を感じてほしい奴らが私の事無視してるよ。その断末魔もべつに私が消える悲しみじゃないしね。
「ふう……」
とりあえず私は新生宇宙に戻ってきた。
「イタタ……」
背中側がズキズキするじゃん。やはり始祖の龍に体当たりされたのはただではすんでない。一応回復してるはずなんだけど……痛みが残ってる。でも実際、どうやって新生宇宙に戻ろうか? と困ってたからね。うまく始祖の龍の前から撤退できたのはある意味で良かった。でも……
「私一人だけ帰ってもね」
それである。今もなお、うさぎっ子たちは始祖の龍と戦ってるのだ。だから私だけがくつろぐ事はできない。
「痛い……けど……」
私は自分の身体にムチを打つ。そして現宇宙の光景を見るために、ドラグとその視界を共有することにする。
私がいなくなっても、戦いは当然だけど続いてる。突進を繰り返してる始祖の龍。それによって皆が蹂躙されてておかしくなかった。だって始祖の龍の攻撃は運命を確定してあててくるのだ。
私はまだ何回か避けれたけど……現宇宙の存在ではその運命を捻じ曲げるのは……ね。ちょっと目を話した隙に、皆が始祖の龍に蹂躙されて、そして戦い事態が終わってる……という光景が広がっててもおかしくはなかった。
でも……どうやら皆はまだ無事なようだ。
「おかしい。皆が確定された運命に抗ってる?」
始祖の龍は現宇宙の生みの親。現宇宙のすべての原点。そのが定めた運命は絶対といっていい。それこそ神でも龍でも拒むことはできないほどの確定事項。それこそその気になったら、始祖の龍をどうにかすることはできないという……そういうことの根拠のハズ。
それにもうあの場には一番の不確定要素だった私がいないのだ。なのに……
「始祖の龍が定めた運命を狂わせてる? けど……そんなことが出来る存在なんて私以外には……」
いるはずはない。もしもそれが出来るであればそれは……始祖の龍自身しか……まさか、始祖の龍に取り付いてたアクトパラス?




